日産ダウンサイジング過給第2弾、1.2リッター直噴スーパーチャージャーを味わってみたくて試乗してきました。
試乗車 日産ノート X DIG-S 価格149.94万円(税込)
●外観デザイン
個人的には先代の初期型のほうが好きでした。今回のモデルは個性を持たせようとしてサイドにキャラクターラインをいくつか入れていますが、造形的に意味をまったく感じません。もっとシンプルに面の造形でデザインを表現することはできないのでしょうか。

全長4100mm×全幅1695mm×全高1525mm、ホイ-ルベース2600mm
車重1090kg、前軸重690kg:後軸重400kg(車検証記載値)

●エンジン
1.2リッター直噴DOHCスーパーチャージャーで
スペックは72kW(98ps)/5600rpm、142kW(14.5kgm)/4400rpm。
残念ながら期待したエンジンにはガッカリでした。ECOボタンを解除しても3000rpm以下のトルク感がまったくありませんでした。ディーラーマンにそのことを伝えたら、「このエンジンはエコチャージャーといって燃費のための過給ですから、スポーティーさを求めるクルマではないので...」などと言い放っていましたが、FIAT500ツインエアーは排気量はさらに小さいけれどもっとトルク感がありますよ、と言ったら、FIAT500を知らないのかまったく腑に落ちない顔をしていました。私は決してスポーティーさを求めて言ったわけじゃないんですけどね。ポロTSIのような走りを期待すると、究極にがっかりすると思います。
3気筒独特の音も過給器によってかき消されるかと期待していたのですが、そうはなっていませんでした。同じ1.2リッターではないけれど、up!の1リッター3気筒のほうがよほど元気に走る感じがするし、音・振動の面で質感が高いと思いました。
●ミッション
CVTで、特に滑っている感じはありませんでした。
●ハンドリング
電動パワーステアリングです。結構左右3cm分くらいの切り込み範囲で遊びがあり、まったく反応しません。そこから先の反応は悪くないですが、エコタイヤのせいか路面の感触はあまり伝わってきません。なんだか歯切れが悪い感じはします。
最小回転半径は4.7mとかなり小さいです。
●足回り
フロントがストラット、リアはトーションビームです。
タイヤはブリジストン エコピアEP150、サイズは185/70R14 88Sです。
乗り心地は良かったです。あまり印象に残っていませんが、特に不満になるようなところはありませんでした。
●ブレーキ
フロントがベンチレーテッドディスクで、リアがドラムです。
最初踏んでも反応がなく、踏み込んでいくとあるストロークまでいっったところで急に効き始めるので、扱いづらかったです。まだ100kmも走っていない新車だったことも影響しているんでしょうか。
●静粛性
さすがに3気筒なので、軽自動車のような音が車内に響きます。過給気付きのせいか多少以前乗ったマーチよりも静かに感じました。でも、値段なりという感じですね。
●シート
フロントシートはクッションが短めでホールドが足りないです。背もたれはデザインパターンのおかげで意外と脇のあたりのホールドがいいのですが、不思議なことに横っ腹のあたりに隙間ができてしまっていて、体全体を均一にホールドする感覚がありません。ウレタンは厚みはありますが、明らかに密度が薄くてお尻が安定しない感じがあります。へたりが気になるところです。
リアシートはやはりクッションは短めで、背もたれは適度な大きさです。やはりウレタンの密度は低い感じで、クッションの角などは簡単につぶれて姿勢を保持しにくいです。足元空間、頭上空間はともに十分でした。
●内装(インパネ)
ほぼマーチと同じインパネで、加飾で多少差別化を図っていますが、見た目の安っぽさは払拭しきれていないように思います。
メーターはマーチ違い自発光式で、安っぽさがなく良かったです。
●ラゲッジスペース
容量的には十分だと思いますが、オプションとボードを取り付ける溝が横に出っ張っていて、付けない人にとってはかなりうっとおしいです。床面のボードもペラペラで見た目にも安っぽいです。

先代では標準だった床を2分割できるボードは、オプションになってしまいました。
オプションのボードを付けないと、ボードを引っ掛ける出っ張りがけっこう邪魔に見えます。
それにしてもオプション込みでこれが230万円もするなんて、日本車のほうが安いなんて話はとっくに崩壊してますよね。質感の高い輸入車とほとんど値段が変わらなくなってしまっているのですから。いくら空間が広くて便利でも、この走りやシートのつくりにこの値段を払うなんてありえないです。up!やポロを買ったほうがよっぽどいいと思います。up!のリアドアのウィンドウはポップアップ式にしたり、枝葉末節な部分では割り切りも見えますが、エンジンやステアリング、シートなど走りに関連するところや、衝突軽減自動ブレーキを標準にするなど、肝心なところにきちんとお金をかけています。
ノートのようなクルマを買ってしまったら、とうていクルマ好きにはなりえないでしょう。ユーザーの教育上もよくないと思います。VWのように質の良いものを適度な価格で提供して、たくさんの人に触れてもらうことが、クルマ好きを産み、ひいては販売台数の増加につながっていくのではないでしょうか。ノートのようなクルマだったら、必要な用事意外はクルマに乗りたいと思わなくなるでしょうね。
かなり辛辣な書き方をしてしまいましたが、このクルマを見ていると、日本車の将来がほんとうに心配になってきます。
Posted at 2012/11/02 00:26:12 | |
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