コマーシャルでオレンジのイメージカラーが妙に焼きついていて、乗ってみたいと思っていながら1年以上経ってしまったXV。ハイブリッドが追加されたのを期に、試乗してきました。
試乗車 XV 2・0i-L Eyesight (AWD、CVT) 価格246.75万円
XVハイブリッド 2.0i-L (AWD、CVT) 価格267.75万円
●外観デザイン
XVはコマーシャルカラーのオレンジがいいですね。
バンパーが違うだけでもだいぶ印象が変わりますね。インプレッサよりもこちらのほうがシンプルな造形でいいです。また定番アイテムではありますが、アクセントの黒いフェンダーアーチやルーフレールによってノーマルとは違った個性が与えられているのもいいですね。

全長4450mm×全幅1780mm×全高1550mm、ホイールベース2640mm
車重1400kg、前軸重860kg、後軸重540kg (車検証記載値)

XVハイブリッドは基本のデザインは同じで、ヘッドライトやテールランプにブルーのアクセントがあり、さらにカッコよく見えます。試乗車は白だったので、ブルーのアクセントが際立って見えました。アルミホイールはXVハイブリッド専用デザイン。

全長4450mm×全幅1780mm×全高1550mm、ホイールベース2640mm
車重1600kg、前軸重940kg、後軸重660kg (車検証記載値)
車重がカタログ値と全然違うのは、私が車検証を見間違えたのでしょうか?ナゾです。
●エンジン
XV:2リッター水平対向4気筒DOHC
110kW(150ps)/6200rpm、196Nm(20.0kgm)/4200rpm
アイドリングストップ機能あり。
パワーの出方がアクセルの踏み加減に対して自然なので、乗っていて気持ちいいです。
余裕というほどではないですが、十分なパワーがあり、不足を感じることはありませんでした。
インテリジェントモードだとやはり少しもっさりした感じになるので、Sモードでの走行が
オススメです。
XVハイブリッド:2リッター水平対向4気筒DOHC+モーター(10kW)
エンジンスペックはガソリン車と同じ。
モーターアシストはあくまで燃費のためのものだそうで、乗った感じも通常のXVよりパワーが
あるとは感じませんでした。残念だったのはCVTの特性も合わさって、アクセルに対して
リニアにパワーがついてこなくて、モワーっとした感触でした。昔の出来の悪いCVT車に乗っ
ているようでした。インテリジェントモードからSモードに変えてもそれは変わりませんでした。
燃費はいいのでしょうが、とても自分で操っているという感覚にはなれないクルマです。
●ミッション
XV、XVハイブリッドともに6速マニュアルモード(パドルシフト)付CVTです。
XV:マニュアル操作時の反応はフォレスター同様すばやくてとても好感を持ちました。
XVハイブリッド:エンジンの項でも書きましたが、なぜかこのハイブリッドのCVTだけDレンジ
走行でもっさりしていて、またマニュアルモードの変速も遅くもっさりした感触でまったく印象が
違います。
●ハンドリング
XV、XVハイブリッドともに電動パワステです。チルト&テレスコピック調整付で最小回転半径は5.3m。
XV:インプレッサ2リッターAWDモデルを試乗したときに感じたよいイメージそのままでした。
センター付近の遊びが適度で、切ってからも路面の感触をきちんと感じとりながらイメージした
とおりの感覚で曲がってくれる素直な感触です。
XVハイブリッド:電動パワステに違和感がありました。切手から曲がり始めるまでに妙な壁のよう
なものを感じるのですが、ある一定以上切ると急に舵が効いて、そこからイメージよりも切れ
すぎる感覚があり、なにか不自然です。遊びが大きくて直進安定性も悪いですし、煮詰め不足
に感じました。これがもし個体差だとしたら、それはそれでおかしいですよね。
●足回り
XV、XVハイブリッドともにフロントがストラット、リアがダブルウィッシュボーンです。
足周りの感触は両車とも変わらないです。フラットというほどではないですが、路面からの突き上げもやわらかくいなしてくれるし、カーブでもさほどロールせず、いい感触でした。車高が適度なので、フォレスターよりもこちらの方が足を柔らかくしてあるのか、ゴツゴツ感はありませんでした。
●ブレーキ
フロントはベンチレーテッドディスク(2ポッド)、リアはディスクです。
両車ともに強いブレーキングを試したわけではありませんが、特別不満に思うことはありませんでした。
パーキングブレーキはハンドブレーキで革巻ではありません。
今だったら電動式が欲しいですね。
●静粛性
ごく普通です。静かでもないし、かといってうるさいというほどでもありません。
●シート
XV:運転席のみ電動で、少しバネ感はありますが底づき感はなく大きさも適度で、フォレスター同様 ホールド性はないものの体がすべることもなく、特に不満はありませんでした。

XVハイブリッド:運転席・助手席ともに電動です。シートは布地のデザイン以外特に形状やウレタン
の特性をXVから変えていないと思うのですが、妙に背もたれの中央部分にバネ感があって、
形状も体にフィットせずイマイチでした。

リアシートも形状はXV、XVハイブリッドともに同じで、布地が違うだけです。
ちょっとクッションの形状が平板で体の安定が悪いので、長距離を乗ると疲れそうな感じがしました。底づき感はありませんでした。
●内装(インパネ)
XV、XVハイブリッドともに共通のインパネでインプレッサと同じです。
質感ではさすがにゴルフ並みとまではいきませんが、ドイツ車っぽい事務的なデザインで、面白みはないかもしれませんが、シンプルで飽きのこない感じがあります。
スバルにはエンジン特性を変えられる”SIドライブ”がついていますが、XVはスイッチがセンターコンソールにあるのに対し、XVハイブリッドはステアリングにスイッチがあるという、不思議な違いがあります。やはりスイッチはステアリングにあったほうが扱いやすいと思うので、統一してほしいですね。

XVはフォレスターと同様デザインがシンプルすぎて寂しい感じでした。

XVハイブリッドのメーターはちょっと華やかで気に入りました。
●安全・快適装備
XVのほうにはアイサイトが装備されていました。機能は前回紹介したフォレスターと同じですので、文章を転載します。
今後はステレオカメラだけでなく、ミリ波レーダーを使ってブラインドスポットモニター機能をつけていただけることを期待しています。
・プリクラッシュブレーキ
いわゆる”ぶつからないクルマ”ですね。30km/h以下で走行中にステレオカメラが障害物を検知すると警報を発し、ぶつかりそうだと判断すると自動でブレーキをかけ、衝突を回避または衝突時の被害を軽減する機能です。
・全車速追従機能付クルーズコントロール
いわゆる”ついていくクルマ”です。0~100km/hの範囲で前車に追従していきますが、フォレスターは電動パーキングブレーキではないため、0km/hまで減速したあと、信号待ちではブレーキを踏まなければなりません。日本車が残念なのは全車速とうたっていながら100km/hまでしか使えないことです。輸入車だったら制限がなくてさらに便利だと思います。
・AT誤発進抑制制御
前方に障害物を検知している状態で、アクセルを強く踏み込んで誤発進と判断した場合、警報音と警告表示でドライバーに知らせるとともに、エンジン出力を抑制する制御です。
・警報&お知らせ機能
車線逸脱をしたり前車の発進に気付かず停止したままの場合に、警報音と警告表示でドライバーに知らせる機能。車線逸脱に関しては普通にカーブを曲がっているときでも鳴ってしまうのはご愛嬌です。
●ラゲッジスペース
容量はXVが380リッター、XVハイブリッドが344リッターです。ハイブリッドは床下にニッケル水素バッテリー(容量5.5Ah)を搭載しています。
・XV
容量的には十分です。ボードの下にも小物入れが備わります。
残念ながら、自分の好きなアームレストスルーはありません。

・XVハイブリッド
XVと見比べると、ちょっとだけ床が嵩上げされているのが分かりますね。
床下には、ニッケル水素バッテリーがあります。
XVはインプレッサ2.0AWDを試乗したときと同じ、いい感触を味わう事ができました。車高が高くなっているにも関わらず、走りが犠牲になっていません。インプレッサに比べ、こちらのほうが乗り降りがしやすいので、私が買うとしたらXVを選ぶと思います。しかも色はオレンジ!
XVハイブリッドにはがっかりでした。ダイレクト感のない出力特性やおかしなハンドリング性能など、スバルハイブリッドの第1号車ということもあり、ハイブリッド車作りに慣れていないのと、煮詰め不足ではないかとの印象を受けました。私だったらハブリッドではないXVのほうを選ぶでしょう。
私が気に入らなかったXVハイブリッドはけっこう売れているようで、いま注文しても来年の1月納車とのことでした。
私は燃費を気にしてハイブリッドにするよりも、多少燃費を犠牲にしても楽しいほうがいいという考えの持ち主です。ハイブリッドはリッター20km/h、XVは15.8km/h。この程度の差であれば、XVを選んでもいいのではないかと思うんです。これからクルマを買う方が、あまり燃費やハイブリッドという言葉に踊らされずに楽しいクルマ選びをされるといいのに、と思った次第です。