先日、Audi quattro park に行って、予約していたRS7 Sportbackに試乗してきました。
ルボランCARS MEET2014で息子と同乗試乗して、いつか自分で運転してみたいと思っていたことが実現できました!
試乗車 アウディRS7 Sportback (AWD、8AT) 1615万円(税込)
●外観デザイン
ボディはかなり大柄ですが、流れるようなハッチバックのラインは最高にかっこイイです。
カタマリ感があり、どこぞの日本車のようにサイドに余計なラインなど入っていなくて、形で見せるデザインがいいですね。オプションの21インチホイールも大迫力です。試乗したのは夜だったので、いい写真が撮れませんでした。下の写真は以前ショールームに展示されていたときのものです。

全長4990mm×全幅1910mm×全高1420mm、ホイールベース2915mm
車重2070kg、前軸重1160kg、後軸重910kg(車検証記載値、重量配分56:44)

リアには格納式のスポイラーがありますが、手動操作のスイッチはコンソールには見当たりませんでした。
●エンジン
4リッターV型8気筒DOHC直噴ツインターボで、
スペックは412kW(560ps)/5700-6700rpm、700Nm(71.3kgm)/1750-5500rpmというとてつもないパワーです。2070kgにもなる巨体を0-100km/h加速3.9秒で走らせます。
モード切替があり、どのモードでも回転を上げていった時の振動はほぼ感じられないくらい滑らかで、マウントもしっかりしています。コンフォートで走っているときにはとても静かで、かすかにエンジン音を聞かせながら滑らかに回り、エンジンパワーも若干抑え気味に走ります。ダイナミックモードでは音も荒々しくなり、加速の仕方は尋常ではありません。背中を蹴飛ばされているような感覚です。加速中に「バリ、バリッ」とバックファイヤーのような音もしました。その一方でアクセルを緩めてゆっくり流していても扱いにくさは全くありません。
こんなすごいエンジンにも関わらず、アイドリングストップや回生エネルギーシステムもついていますし、気筒休止システムまで備えている環境に配慮したエンジンなんです(とメーカーではカタログでうたっています)。実際JC08モードも10.8km/ℓと、4リッターのツインターボと考えたらよいほうではないでしょうか。気筒休止システムはゴルフの試乗時に感じた時と同様に、全く作動には気が付きませんでした。
●ミッション
8速ティプトロニック(トルコンAT)です。
ツインクラッチを使わなかったところをみると、バリバリのスポーツモデルを目指しているわけではないことがわかります。
モード切替でコンフォートにすると、シフトショックは皆無といっていいくらいなめらかに変速し、いかにも高級車といった感覚を味わえます。モードをダイナミックにするとシフトショックが明確に感じられるようになり、ダイレクト感が増します。パドルシフトが付いていて変速のそれなりに楽しめますが、それでもさすがにツインクラッチの変速のダイレクト感には及ばないです。
●ハンドリング
電動パワーステアリングです。
私好みのセンターの遊びがなくダイレクトなハンドリングで結構良かったです。重さも私のGTIより軽く適度でした。私が体感した4駆のクルマは、いずれもセンター付近がダルでダイレクト感に欠けるものばかりでしたが、このハンドリングなら4駆でも全く不満なしです。
そしてさらに驚いたのはリアの足回りのがっしり感です。ステアリングをこじっても何をやってもリアの姿勢は乱れないんじゃないかと思うくらい、いやなブッシュのたわみの類は一切感じられないがっしりとした感触はいままで味わったことのないものでした。これだったら560psの大パワーを存分に生かして踏んでいけると思いました。
●ボディ
「Audi ultra」と呼ばれる鉄とアルミのハイブリッド構造を採用しています。
ちょっと激しいコーナリングをしてもミシリとも言わず、非常にがっしりしている印象を受けました。
●足回り
フロントが5リンクダブルウィッシュボーン、リアがトラペゾイダルリンクウィッシュボーン(マルチリンク)です。タイヤはピレリP ZERO、サイズは前後とも275/30R21 98Y です。
ダンパーにはマグネティックライド(磁性流体)を採用し、こちらもモード切替ができます。コンフォートにするといやな突き上げもなく、非常に乗り心地がよく快適です。ダイナミックにすると非常に固くなり、正直荒れた路面では突き上げがきつくていやになり、すぐにコンフォートに戻してしまいました。
それ以外にオートモードがあり、路面の状況をセンサーで感知して自動でダンパーの固さを調節してくれます。
●ブレーキ
オプションのカーボンブレーキを装着していました。
なんといってもこのブレーキには驚きました。ほんとにちょっと踏んだだけで「ガツン」と路面に突き刺さるような感覚で強力に効きます。とても2tを超えるクルマの止まりかたとは思えませんでした。
扱いやすいかといわれるとちょっとコントロールしにくいところはありますが、一度味わうとこの強力さはヤミツキになりますね。

パーキングブレーキは電動式でした。
●静粛性
非常に静かです。さすがにこれだけ値段が高いクルマですからね。でもダイナミックモードの時にはかなり大迫力のエキゾーストノートが聞こえます。
●シート
フロントシートは電動調節式で、表皮は革張りです。
ちょっと大柄で、サポートもGTIのようなきつい感じはなく、適度に支える感じでよかったです。ランバーサポートの支持点を変えられるのにはびっくりしました。これはいい機能だと思いました。身長によって背中のくぼみの位置は変わりますからね。助手席との距離がけっこうありますが、離れすぎているという感覚はなく、空間としてはゆったりしていてよかったです。

リアシートは以前の同乗試乗のときに体感しましたが、クーペスタイルゆえに頭上の圧迫感は多少あるものの、私の身長(164cm)では我慢できる範囲であり、逆に足元空間は長いホイールベースを生かして非常に広く、シートの背もたれもたっぷりしていてゆったり座れた記憶があります。
●内装(インパネ)
カーボン加飾のインパネがかっこイイんですけどね。夜に試乗したので全く見えませんでした。
ダッシュボードが低く圧迫感がないので、黒い内装にも関わらず意外にルーミーでした。

メーターは大径で非常に見やすいもの。レッドゾーンは6600rpmから。
スピードメーターとタコメーターの間の液晶ディスプレイはナビに連動して案内が表示されるようになっています。オプションのナイトビジョンを付けると、こちらに表示されます。
●安全・快適装備
最近はやりの安全装備はすべてオプションとなっています。
さすがにこれだけの値段であれば、標準にしてほしいですよね。ゴルフにすらシティエマジェンシーブレーキやアダプティブクルーズコントロール、レーンキープアシストが付いている時代ですからね。
同じグループ内でもVWとアウディで何か考え方を変えているんでしょうか。
●ラゲッジスペース
535リッターとかなりの容量です。大人4人分の荷物は十分積み込めるでしょう。
スーパーカー世代の私は高性能車が好きで、RS7はデザインもいいし、走りもすごいクルマです。エンジン効率化技術やボディの軽量化技術、カーボンブレーキなど、このクルマにも最新の技術が投入されています。言葉で表現しずらいのですが非常に走りやすいがゆえにその凄さが直感的に伝わりにくいとも感じます。一方で最新の安全装備を味わったり燃料電池車などを横目で見ていると、わかりやす新しさがあります。新しいもの好きでもある自分には、ただ高性能なだけではすぐに飽きてしまいそうな気もします。これだけの金額を出すんだったら、もっと分かりやすい新しさや未来を感じさせてくれるものがあってもいいのかなとも思ったりもしました。
かなり贅沢なことを言ってしまいましたが、こんなクルマに乗れただけでも十分幸せですよね