センチュリーとくれば、次のトヨタの高級車はクラウン。
というわけで、最新の2リッターダウンサイジングターボ車に乗ってみました。
試乗車:トヨタ クラウンアスリートG-T(FR、8AT) 価格533万円
試乗車オプション アドバンストパッケージ 10.8万円
試乗車価格 543.8万円(税込)
●外観デザイン
前期型に比べると見慣れたもあるのか、アクが減ってカッコよさが増した感じがしました。まとまりが良くなっている感じです。個人的には前期型もフロントとリアの形は別として、セダンらしい端正な造形は結構好きだったんですよね。前期型は急遽フロントデザイン変更したためか未消化の部分があったのかもしれません。この「ソラ」色のカラーもいいですね。

全長4895mm×全幅1800mm×全高1450mm、ホイールベース2850mm
車重1630kg
●エンジン
8AR-FTS型2リッター直列4気筒直噴ツインスクロールターボで
スペックは235ps(173kW)/5200-5800rpm、350Nm(35.7kgm)/1650-4400rpm
パワー的には不足はないという程度で、力強さは感じません。スムーズに回りますが、盛り上がりに欠けるエンジンです。回転を上げていってもどこまでもフラットトルクで、私の乗っているゴルフGTIとは全く性格が異なります。車重の差もあるとは思いますが、パワーはGTIの方が下ですが、加速感や吹け上がりの良さはGTIのほうが断然上です。
音も軽く、正直楽しさは期待できないです。
なぜ日本車のダウンサイジングターボは下の回転でのトルク感が薄いんでしょうか。それはジュークの1.6リッターターボを乗った時も感じたことです。街中でエンジン回転を5000も6000も回す人はいません。そんなところで一番パワーが出てもあまり意味がないのではないでしょうか。1500から3000rpmくらいで体感的にパワー感を感じられた方が私個人は良いと思います...
●ミッション
トルコン式8ATです。
変速ショックは少なく、非常にスムーズです。パドルシフトが付いていましたが、変速のレスポンスは非常に遅かったです。一昔前のATといった感じです。クルマが温まっていなかったせいもあるのでしょうか。
●ハンドリング
電動パワーステアリングで、センター付近の感触がちょっとあいまいですが、適度にクイックです。残念だったのは電動の補助が効くのに応答遅れがあることです。他のトヨタの試乗車では感じられなかったので、個体差なのかどうかわかりませんが、もしこれが通常のセッティングであれば、改善してほしいですね。
●足回り
フロントがダブルウィッシュボーン、リアがマルチリンクです。
タイヤはトーヨー(銘柄は見忘れました)、サイズは215/55R17 94V
クラウンからイメージするゆったりとした乗り味とは全く違ったものです。
車重はそこそこあるのに、クラウンとは思えないほど軽快な走り味で、ボディ剛性感もそんなに感じないですし、カーグラTVで松任谷さんがおっしゃっていたとおり線が細い感じがします。
スポーティーというのとはちょっと違うのですが、この軽快感が結構いい感じでロールも少なく、走りはそこそこ楽しめます。
かといって乗り心地が悪いということもなく、凹凸でもセンチュリーのように尖った衝撃も感じなくて、足回りで吸収してフラットな走りです。
●ブレーキ
フロントがベンチレーテッドディスク、リアがディスクです。
センチュリーと違って、さすがに普通に効きますね。
ペダルの配置も許容範囲で特に問題ありませんでした。
この車格でパーキングブレーキはいまだに足踏み式です。電気式にしたくない理由でもあるんでしょうか?マツダ・アテンザですらマイナーチェンジで電気式に変えたのに。
●静粛性
さすがにセンチュリーほどの静粛性ではないですが、静かですね。
防音は3重構造でフロントドアのヒンジ付近には遮音用の樹脂カバーがこれでもかというくらい付いていました。
ドアの下側の遮音用のゴムもヒンジ付近まで回り込ませています。
●シート
本革シートはこのグレードには標準です。
フロントシートは座面、背もたれともに大きさも適度で底づき感もなく、ホールドもそこそこでよかったです。
リアシートは背もたれの角度が結構寝ています。逆にGTIは結構立っているので、もう気持ち立っていた方がいいかなとも思いますが、楽は楽ですね。
●内装(インパネ)
すみません。写真を撮り忘れてしまいました。機会があったら追加します。
メーターは見やすくていいですね。配置もゴルフに近いから違和感を感じないせいもあるかもしれません。ただ、真ん中の液晶ディスプレイの文字が小さくて老眼の私には見にくかったです。
●安全・快適装備
なぜかブラインドスポットモニターと確か車線逸脱警報だけ標準なんですよね。
私の好きな追従機能付オートクルーズは標準ではなくアドバンストパッケージのオプションを付けなければなりません。プリクラッシュセーフティもアドバンストパッケージのセットオプションです。これだけの値段のクルマでわざわざオプションにする必要があるのでしょうか?
こういった装備はオプションにしておきながら、ヘッドライトには妙に力を入れています。
1つのLED光源でハイとローを兼ねるBi-Beam LEDヘッドライトを採用。
アダプティブハイビーム(AHS)は対向車に対してだけ眩しくないよう配光を自動調整するもの。
インテリジェントAFSはコーナリング角度、ステアリング舵角に応じてヘッドランプ光軸を動かす機能で、これらの機能は標準です。
●トランク
さすがにクラウンはゴルフに行くことを考えて作ってますね。
ゴルフバッグが4つ入るそうです。
カーグラTVで言われていたとおり、走りだけで言ったらクラウンじゃないみたいで、「別の車名のほうがいいんじゃないの?」と確かに思ってしまいます。
私の中ではやはり1983年に登場した7代目クラウンのイメージが強烈に残っています。「いつかはクラウン」というキャッチフレーズもそうですが、ヨーロッパの石畳の上を足回りだけでショックを吸収しているさまを見せて乗り心地の良さをアピールしたコマーシャルなど、当時中学生だった私にはまさに憧れのクルマでした。次の8代目もそうですが、使っている素材からして他のクルマとは別格だった気がしますが、今のクラウンはクルマとしては悪くはないけれど、昔よりも値段が高いのに、昔抱いた特別感が感じられないんですよね。厳しい言い方をすれば、あえてこのクルマを選ぶ意味があるのかと思ってしまうのです。今回はアスリートしか乗っていないので断定はできませんが、機会があればロイヤルやマジェスタにも乗ってみて、クラウンらしい特別感が感じられるグレードがあるのか、確認してみたいですね。