
この話題も今回で10回目になりましたが、これで一応最終回になります。長々と続けてきましたが、今までの論考を簡単にまとめると以下のようになります。
・総合自動車雑誌の最も重要なコンテンツはクルマの評価記事である。
・クルマの評価法は4つに分類され、それぞれ、短期絶対評価、短期相対評価、長期絶対評価、長期相対評価である。
・各評価法には一長一短がある。
・自動車雑誌では、長期相対評価を除く、3つの評価法の一部あるいは全部が採用されている。
・長期相対評価は、インターネットのような製作者とユーザーの双方向の相互作用が可能な媒体を活用することにより、最良の評価法として、今後、実施される可能性がある。
上記考察を勘案すると、自動車雑誌のあるべき「クルマ評価」は、全コンテンツの中で量的、質的に最も注力されており、かつ、少なくとも3つの手法をその長所・短所を把握した上で、うまく使い分けて記事を構成していることが、要件になるのではないかと思います。
それでは実際はどうでしょうか?先にコンテンツ分析に使用した、「モーターマガジン」誌、「Auto Car」誌、そして「Car Graphic」誌について、各評価法の採用頻度、記事の数量などを比較したものが、添付の画像になります。
・クルマ評価に関する記事の量はほぼ同じだが、全体に占める記事の割合が最も高いのが「Auto Car」誌で、低いのが「CG」誌。
・3つの評価法を採用しているのが、「Auto Car」誌と「CG」誌で、「モーターマガジン」誌は長期絶対評価(長期テスト)は採用していない。
・長期テストの質が高いのは「CG」誌(読者アンケートを含めて既存雑誌の中では一番か)。
・「モーターマガジン」誌は、その代わりに短期相対評価には3誌中で最も力を入れている。一方、「CG」誌の記事は、量的には最もレベルの低い短期絶対評価に偏っている傾向あり。
これらの結果からは、先に考察した”あるべき姿”に最も近く、バランスの取れた誌面構成なのが「Auto Car」誌。一方、「モーターマガジン」誌は(予算に余裕がないためか? その分工夫して)やや限定した誌面作りをしており、「CG」誌は、各評価法の意味付けをよく認識しているものの、総合誌として幅広い範囲をカバーすることを意図しているため、クルマ評価という観点からは、やや安易な方向に記事の内容が流れていることが伺われます。皆さん、各雑誌を読まれての感想と上記の分析結果との間に共通性がありましたでしょうか? あるいは違和感をお感じになったでしょうか?個人的には感覚と分析結果は、良く一致しているように思えました。
*上記の雑誌の評価は、特定号の内容分析に基づいたものです。厳密な解析には複数号をそれなりの期間にわたってサンプリングする必要がありますが、そこまでは手が回りませんでした。あるいは今回の結果には違和感を感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、その点はご了承いただきたく思います。
今回は上記3誌についてのみ分析対象としましたが、例えば「Engine」誌や週刊誌の「ベストカー」誌、「ルボラン」誌などがどんな結果になるか興味が引かれるところです。時間があれば、この話題のフォローアップとして、それらの分析結果をアップさせていただくかもしれません。
それでは、これにてクルマ評価の方法論に関する話題は終わりということにしたいと思います。拙文を読んでいただきました皆様には心より御礼申し上げます。
Posted at 2011/05/21 23:56:59 | |
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