
某「Engine」誌では、コンテンツとしてクルマとともに取り上げられることが多い時計についての話題です。
クルマ、時計、服飾、そして女性と、某誌の編集方針は、明らかに男性目線にもとづいていると推察されますが(笑)、クルマも使用者のライフスタイルが投影されるモノのひとつであると考えると共通性が見出されるということかと思います(良いものはそこそこ高額ですし、クルマに匹敵する程の超高級品もありますしね)。
さて前回ブログでは、あるものが到達できる限界として「右の壁」という言葉を使いましたが、時を計る機械製品としての時計は、随分前に壁に到達しているといっていいでしょう。今やどんな安価な時計でもクオーツであれば年間数秒しか時間がずれないことから、その面での機能改善は不要です。では時計に関する物語は失われてしまったのかというと、ご承知のとおりそうではありません。
一部例外もありますが、ゼンマイを動力源とする機械式時計という意図的に設けられた技術的制約の中で、機能やデザインでいかに究極へ到達できるかが、多くの時計製作に関わるメーカー、技術者、デザイナーによって競われています。その結果、ムーブメント機構の工夫による、計時精度の改善(例、コアアキシヤル脱進機やツールビヨン)と、機能の向上(例、永久時計、グランドコンプリケーション)や、防水性、防磁性の付加、さらには装飾性と希少性を有した、いわゆる高級精密時計の世界が形成され、そこでは新たな価値が日々生まれ、それに対する需要が存在しています。
クルマはまだまだ時計ほど、「右の壁」に接近していませんし、当面は時計のような状況になることはないでしょう。しかし、遠くない将来、エンジン、トランスミッション、サスペンション、電装品といった主要な要素技術はほぼ究極の完成度の域に達し、限られた数のバリエーションにまで共通化が進み、各メーカーは、それをいかにパッケージングして、「クルマ」としての価値を創造できるか、と言う時代がくるかもしれません。そんな未来を想像するに、今の高級精密時計産業の現状というものは、何がしかの指針や有り様に関する示唆を与えてくれるのではないでしょうか?
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話は少し変わりますが、写真の4つの時計は、いずれも IWC (International Watch Company) の製品です。スイスの時計メーカーなのですが、あまりにベタな社名が個人的には印象的です。昔から航空パイロット向けの懐中時計、腕時計で有名ですし、「ダビンチ」と名づけられた永久時計を組み込んだ革新的な腕時計(高額です)をリリースしたことでも知られています。デザインはあっさりして品がいいと思います。まあそれほど高級ブランドという訳ではなく、おかげで庶民にも手が届く価格設定でもあるので、機会があれば所有してみたいな、などと妄想している自分がいます(笑)。
Posted at 2011/07/31 10:08:12 | |
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