
新車に乗り始めてしばらく経つと、クルマからのフィードバック、例えば、エンジンの力感や変速のスムースさ、乗り心地、さらにはタイヤの接地感などが、購入直後に比べて、向上したように感じられて、この状態を、いわゆる「当たりついてきた」といったりします。また駆動系であれば、「慣らし運転」と称して、回転数などを一定距離制限する、オイル交換を頻繁にする等の措置をして、これもエンジンに「当たりをつける」と、その後の応答性に違いが出てくるんだとか....。
このようなことが実際あるのか、あるいは「慣らし」の要否については、巷では様々な議論がなされていて、私には結論めいたことは言えないのですが、個人的には、以下のようなことを踏まえて、「当たりがつく」といったことは、機械の慣熟という点からは、明確な現象としては「ない」、そして、当たりをつけることを意図しての「慣らし」は不要ではないかと考えています。
★昨今の工業製品の工作精度は、初期の慣熟操作による摺り合わせを必要としない程に高精度である。
★エンジンオイルの高性能化に伴い、高い頻度での交換は不要になっている(メーカーも乗り始め短期間での交換を薦めていない)。
★過去にトヨタの技術者の方に伺ったのですが、例えばエンジンは組み立て後、加熱、冷却措置を行い、部品およびエンジン全体の膨張・収縮への対策を済まして取り付けるのが一般的である。
更にこれが一番の根拠と自分としては考えているのですが、
★冒頭に書いたような、クルマからのフィードバックの改善は確かに存在するが、それはクルマではなく、ドライバーがそのクルマに「慣らされた」ことによるものである。
人間はクルマより遙かに高級・高度なメカニズムであり、いろいろな環境変化に素早く対応していく存在です。数ヶ月もそのクルマを運転していると、アクセルの踏み加減をはじめとした様々な運転操作への習熟を含めて、クルマに慣れることにより快適に感じることが多くなるのだと思います。
いわゆる「当たりがついた」というのは、言われているような機械的なものではなく、案外こんなところが原因ではないかと思う次第です。
皆さんは如何思われますか?
Posted at 2011/05/16 22:54:33 | |
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