前回のブログでシトロエンC4ピカソが、初代シトロエンC5の実際的な後継車ではないのか、との考えを述べ、確認のために近日中にディーラーへ行ってみたいと書きました。今回、ゴールデンウィークに入った機会をとらまえて早速その企てを実行しました。
さて、この車が、ミニバンにあらずしてシトロエン伝統の高ユーティリティ・ビック5ドアハッチバックであるのか、という極私的命題に関して、以下、答えを出していきたいと思うのですが、登場1年以上経過した本車についてのみ印象を書くのではあまり面白くないので、先代C5とS60のオーナーである(あった)という強みを最大限生かして、これら2車とピカソをじっくり比較しながら話を進め、当初の着想の検証を試みて行きたいと思います。
まず基本的な背景情報の理解ということで、ネットより3車のスペックを拾い集めて、一覧表にまとめました。細かいですがご容赦ください。
サイズ的には3車よく似ていることが分かります。いずれも定員5名。ピカソの全長が意外にも一番短く、にも関わらずホイールベースが一番長いことが特徴的です。全幅は、昨今はミディアムサイズであってもどれも1.8m前後あり、日本の道路事情を考えるとこの辺りが一つの目安でもあり、上限でもあると思われます。そういう意味では、トレッドがほぼ同じことを考慮すると横方向は大差なしということだと思います。一方、全高は、ピカソがズバ抜けて高いことが分かります。
以上、冒頭、サイズ面での比較では3車よく似ているとしたものの、運転者・同乗者目線での効率的な空間利用では、ピカソが一段優れているという結論になるかと思います。
次に車重ですが、これも驚いたことに、ピカソは、初代C5よりは重いですが、1.5トン以下に収まっており、S60より軽いことが分かります。こでもピカソをミニバンと捉えた場合には予想外に感じるファクトかと思います。衝突安全性を含めたクルマの総合的な安全性評価は、スペック的にS60とピカソで大きな差はないと考えると、軽量化が追求されているピカソは、現代のクルマとしてより合理的であると言えます。
次に動力関係を見てみましょう。エンジン性能に関して、これも旧世代であるC5が見劣りするのは致し方ないところですが、現役のS60とピカソでは排気量、ターボ過給の有無、および出力特性など驚くほど類似しています。FFであることは全車共通。ただし、トランスミッションは4速ATと6速ATと6速DCT、サスペンションは後輪がそれぞれフルトレ、マルチリンク、トーションビームと三者三様で、この辺りが、乗り味に影響しているようにも考えられます。
運動性能の一つの指標として、ドレッド幅(前輪+後輪)とホイールベースの比率を計算したところ、S60(1.14)≧ピカソ(1.14)>C5(1.11)の順になりました。数値が大きいほど運動性能に寄与すると考えると、これもピカソがセダン2車と遜色ないスペックを持つことが分かります(ちなみに、グランドピカソはC5とほぼ同値の1.11に下がり、ミニバンであるトヨタエスティマは1.05、ベルファイアで1.07とより低い値になります。逆にマツダロードスターは、1.30とさすがの高い値)。
さて、スペック編はこの辺りでお終いとし、ピカソがC5やS60と比較しても5ドアハッチバックとしての資質を持っていることを結論として、次回より実際にクルマに触れてみて感じたことや考えたことに話を移していきたいと思います。
了
Posted at 2016/05/02 11:37:13 | |
トラックバック(0) |
フランス車 | クルマ