自分のブログでも取り上げましたが、年末になるとJCOTY等の表彰車種が話題になり、その受賞理由も公表されるのですが、
それを見るにつけてクルマの価値は何で決まるのだろうとの疑問が湧いてきます。また自動車雑誌や、Car Graphic TV なんかでスーパーカー特集を組んだりして、そんなクルマ達を礼賛しているのを見ても、「おいおいそんなに簡単に結論していいのか」、とも思います。マスコミはやはり面白くないとお金にならないので、分かっちゃいるけど面白くないものは追求しないのだろうなと一応納得はするのですが、天邪鬼な性格もあるのでしょうがついつい批判的な意見も持ってしまいます。
ということで、以前に「クルマを所有することの意味」について、
ブログで考察したことがありますが、今回は、「クルマの価値」について、もう少しマクロな視点で考えて見たいと思います。といってもそんなに難しいことを話題にする気はありませんが(笑)
ある車種(例えばボルボS60など)を考えると、個人ベースではなく、社会というか市場全体に対する、そのクルマの価値の総和は、以下のようにあらわすことが出来ると考えます。
クルマの総体価値 = (クルマ個体の価値)×(生産台数)×(各個体の寿命) - (コスト)
最後のコストは、クルマ製造コスト×生産台数と、燃料等消耗品費用や社会のインフラ整備費用も含むものと考えます。クルマの寿命については今や車種間で大差はないので、価値を増大させる方向については、実際は最初の二つのパラメーターで規定されているといっても良いかもしれません。またユーザー一人一人にとっては、生産台数は基本無関係か、多いと逆に陳腐化するというマイナスのインパクトがあるとさえいえることから、個人ベースでは、最初の「クルマそのものの価値」のみが重要になります。しかし、大きな視点でクルマの価値を上記のように見てやるといろんなことが考察できます。例えば...
クルマ単体での価値の高さが、その車種の価値の総和と同じとは限らない:
安く低性能の大衆車でも、高級車と比較してその価値の総和は必ずしも低くないということになります(当たり前ですが)。では価値の大きい順に並べるとどうなるでしょうか?
1.安くて良いものをたくさん売る
2.良いものを売る
3.安いものをたくさん売る
4.すごく良いものを極少量売る
1は理想として、順列はあるものの欧米日の自動車メーカーが2でしのぎを削っている状況。コーチビルダーでの超高級車、スーパーカー等の少量生産は4、そして3は韓国中国インドなどの量販メーカーがそれに該当すると思います(今や韓国は第2のグループか?)。そして達成することの難しさもおそらくこの順番なのだと思うのです(一方、マスコミ的には、4、(1)、2、3の順番の価値判断になっているのではないか、というのが今回ブログを書くことにした動機のひとつなのです)。
日本車はどこに向かうべきか:
2に属する欧米日のグループの中でも、最初に示した車の価値の図式はより狭い意味で繰り返されています。例えばプレミアム車ブランドvs大衆車ブランドという形で(日本車は後者かな)。その状況で未来の日本車の向かう先としては、低コストはできるだけ維持しつつ今より高品質・高価格のクルマを売る方に比重を移すしかないのだと思います。3に向かう道はもうないでしょう。
価値の最大化のためには:
上の流れで、特に日本車を取り上げて考えると、高品質・高価格路線になるのだとしたら、低コストにも限界があることでしょう、そうなると価値最大化のための方策としては、少々高価格でも安価に維持できて長いこと乗り続けられることを実現することかと思います。3年毎の買い替えより、10年15年乗ることの大切さを共通認識することが大切かと考えます。一般的にも乗り物は高機能化するとともに個体数は減少して長寿命化する傾向があります。飛行機とか船とか...。またクルマ単体のコスト増が避けられないとしたら、次に間接費用の低減は有効な手立てと考えられます。省エネ技術等はその一例ではないかと思います。
省エネ技術のインパクトについて:
今回のような観点から考えると、各種省エネ技術を高級ブランドに導入することの意義の低さが分かります。またHVや電気自動車は、電力や電池モーターの費用が追加のマイナス要因になります。そういった意味では、マツダのスカイアクティブのように、追加インフラなしでの内燃機関の省エネルギー化は、そのクルマの真の意味での価値の拡大に効果的であることが実感されます。
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ビジネスとしての優先順位や価値判断も重要でしょうが、自動車メーカーにおかれましては、各車種の社会における価値最大化も軽視することなくより良いクルマ作りをして欲しいと考える次第です。
Posted at 2011/12/17 22:06:41 | |
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