
最近、デジカメに興味を持ちネットや雑誌の情報を読み漁っているのですが、デジカメの一ジャンルとして急成長中のいわゆるミラーレス一眼カメラについて、その「ミラーレス一眼」という言葉が当該ジャンルを呼称するに当たって適切な分類なのか否か、否定派と肯定(容認)派の間でいろいろと論戦が行われていることを知りました。カメラ素人の立場より少し興味を惹かれたので、今回、「ミラーレス一眼」は正しい分類かについて考えてみたいと思います。
対象は我々が家電販売店など普通のルートで入手可能なデジタルカメラ、いわゆる「一眼レフ」、「ミラーレス一眼」、「コンデジ」とします(レンジファインダー、トイカメラもありますがひとまず置いといて)。では上のカメラの名称のうち、分類に使える言葉は何でしょうか?“一眼”、“デジタル”、“コンパクト”は、全ての機種に該当する(一眼、デジタル)、機能に関係するものの分類のレベルとして下位過ぎる(コンパクト)など、いずれも適切ではありません。残るのはレフ(レックス)、ミラーレスで、いわゆるファインダー形式を示す言葉になります。また上記の考え方から「ミラーレス一眼」が分類名としては適当ではないことがはっきりしました。
“ファインダー形式”について更に考えてみましょう。ファインダーには、光学式ファインダー(レフレックス、ビューファインダー/レンジファインダー)と電子式ファインダー(液晶モニター、EVF)がありますが、ではその2つで分類できるかというと問題があります。現在の一眼レフカメラなどでは光学、電子式、両形式のファインダーを実装している機種が殆どです。このため光学と電子で分類するのではなく、むしろレフレックスとノンレフレックスという区分を用いるのが適切と考えられます。一般社団法人カメラ映像機器工業会(CIPA)もいわゆるミラーレス構造のカメラを「ノンレフレックス」と呼称するとしていることも、上のような考え方によるものではないかと推察します。
では、これ以外の言葉で使えるものはあるでしょうか?ブランド名、銀塩、スチル、ビデオ、センサーサイズ、マウント形式はいずれも既出の言葉と同様に、全ての機種で使われていたり、該当しなかったり、機能と無関係であったり、あるいは機能には関係するが下位概念過ぎるなど、重要ではありますが分類には適していません。しかし、レンズの装着形式、すなわち”レンズ交換式”と”固定式”の区別は機能的であり、概念レベルからも分類に使えそうです。
以上の検討結果を踏まえて、レフレックス/ノンレフレックスとレンズ交換式/固定式という2種類のパラメーターでデジカメを分類すると次のようになります。
①レンズ交換式レフレックスカメラ:いわゆるデジタル一眼レフカメラ
②レンズ交換式ノンレフレックスカメラ:ミラーレス一眼、ライカなどのレンジファインダーカメラ
③レンズ固定式ノンレフレックスカメラ:コンデジ、トイカメラ
ということで、ミラーレス一眼の呼称は、「レンズ交換式ノンレフレックスカメラ」、あるいはレンジファインダー機構を持つカメラと区別が必要な際には、「レンズ交換式ミラーレスカメラ」とするのがいいのではないか、というのが私なりの結論です。ミラーレス機は高性能なものは機能的に①に、エントリー機は③に近いと言えます。とすると、ミラーレス機の特長は”ミラーレス”であることより”レンズ交換式”の方にあるといえるでしょう。高性能ながら重厚長大なデジイチと同様に、しかし気軽にレンズ交換を楽しめるところに、本カテゴリの魅力があるのだと思います。
なお最近自分が購入した、RICOHのGXRはユニット交換式であり、レンズ交換式ノンレフレックスカメラの範疇には入りますが、厳密には上記の分類には当てはまりません。他のカメラとは全く別のカテゴリーであると考えることもでき、そのユニークさは分類法からも理解できるのではないでしょうか?

(iPhone3GSにて撮影)
この点に関連してやや話がそれますが生物学には分類学という分野があります。
生物を分類することを目的とした生物学の一分野。生物を種々の特徴によって分類し、体系的にまとめ、生物多様性を理解する(wikipediaより)。
この学問の面白いところは単なる生物の整理やカタログ化ではなく、分類するという作業が生物の成り立ちや進化の系譜を踏まえたものであり、逆に分類学を突き詰めて行くことで生物進化の歴史に迫ることが可能であることです。定義にあるように分類学は基本的に生物に対してのみ適応され、他のモノ、例えば工業製品はその対象とはならないとされています。
とは言うものの工業製品には開発の経緯があり、ブランド毎に改良発展を続けていく点において生物とのアナロジーで語れる部分もあるのではないかと思います。今回デジカメの分類を試みる気になった理由として、そういった背景が、GXRの存在とともに自分の思考のなかにあったのも事実です。そして同じような分類学的な考察をクルマに拡張しようと試みましたが、これは残念ながら上手くいきませんでした。このことはクルマとデジカメとの相違点について考える契機となったのですが、顛末は
次の機会に書いてみたいと思います。
今回はこのあたりで。
Posted at 2012/04/29 00:47:03 | |
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