
初めての愛車FZ250(新車)は、私が買った3ヶ月後にリミテッドバージョンがリリースされた。特別カラーなんてモンじゃない。後輪ブレーキがドラム→ディスク。知ってて黙ってた岡本さん(バイク屋の営業)に裏切られ、
世間と営業ノルマの厳しさを知った私だが、そのまま泣き寝入りもできなかったのは20年以上も前のことだ。
で、リミテッド仕様に「
専用タイヤ」で装着されたタイヤを買って自分を慰めることにした。当時、前後16インチのオートバイは少なかったので、専用に開発されたのだからすばらしいと思い込んだのだ。何しろ
「専用」と聞いただけで3倍速くなると思う連中がゴチャマンといた時代である。
その「FZ専用」こそ「ピレリ」だった。往年の名タイヤ『ファントム』に酷似した風変わりなデザイン。ニーハンのくせに「イタリー製」だ。
(ちなみに、若い人はイタリア製と言う、イタリーというとじじぃ確定)
前後で確か工賃込みで約3万円。バイトの収入のほとんどはローン、ガス代、保険代で消えるので、半年の遊興費を削っての購入だった。
で、皮むきも終わった頃、ワインディングで専用タイヤ&イタリーのピレリをすごさを堪能してやるJ…と思ったら、
フツーの交差点でフツーに曲がったらスライディングしていた。初めての転倒だった。
翌日、イタ公はピザ喰いながら作っていて、フェラーリのタイヤしかマジメに作らないだの、真円率が低いだの、やっぱバトラックスだ、プロファイヤだ、でもアローマックスはダメダメだ、ならばライディーンだ、と青年時代の私を困惑させる先輩と友人の
インチキナレッジ共有で、
ピレリ=くそタイヤ
…という
歪んだ方程式が堂々完成。
結局、私はそれ以来ピレリの値段も銘柄も調べた事がなく、バイアスのオートバイではダンロップ、ラジアルになってミシュラン。クルマはオーツ・ファルケンしか買ったことがない。
で、今回、気がついたらむしゅさんから譲り受けたホイールに付いていた「石橋・グリ2」の山がなくなっていた。
オートバイのタイヤは少しこだわるが、クルマの場合は割と値段で割り切っている。ホントはミシュランを履いてみたいのだが、オートバイにおけるミシュランを考えると、いい意味でも悪い意味でも買わない方が…と考えてしまうのだ。
なので、今回も安くてお得なファルケンを履こうとしたのだが、ダンロップ傘下になった途端に安売りをしなくなった。しかも原油高で全体的に価格は高騰。215/45-17だと、ポンイチで2万円近くする。
あぁもう…と頭を抱えていた時に、
特価 P7000 1本1万500円
(215/45-17)
という値札が目の前に!
そう、あのピレリである。しかし、クルマならコケはしない。
「しゃー!、アニキぃ、ワイにコレ見せとくれやぁ!」
サイドウォールの横4桁をみると「0906」今年の9週目ってこと真新しい。
「ピレル」とか
「ピリリ」とか
「ぷりぷり」とかでもない。何でこんなに安いの?と聞くと、「(お客様のための)セールですから」と。何だか嘘くさい。何か隠してるんじゃないだろうか?
「しゃー!アニキ、他にないの?セールタイヤは?」
と、聞くと、ナンカンとかGTナントカがさらに千円安いと。最近はメイドイン台湾も侮れないのは知っている。
私はアジア博愛主義者だ。〆切の日にグアムに行った日本の一流企業のギャル営よりも、台湾女学生の方が百倍好きだ。シモネタ全開なタイのオカマバーで改造下腹部を見せられてもガマンした。北からミサイルが飛んできた時も仕事していて気がつかなかった。(そりゃ関係ないか)
「どうなの?この辺の新興アジア製は」と聞くと?店員さんは「えへへ」とイタズラ小僧のような笑顔。そうだよな。オレのようなトウシロが手を出すシロモノじゃなさそうだ。「
腐ってもレグノ」とクラウンに「
中古の腐ったレグノ」を履かしていた先輩も言ってたが、ここは「
腐ってないピレリ」があるのだから、これしかない。なぜか
「これ鹿ない!」というコピーの二輪用鹿革グローブのコウコクを思い出して、クククと笑った。店員は怪訝そうな顔をしている。
「っしゃーッ!買った!ただし工賃・廃棄込み込みで4.5万なら!」
…と、いうワケで昭和以来、久々にイタリーのピレーリを購入。ィヨーロレイヒー!ってそれ違うね。
前置き(えっ?)は長くなったが、ここからがピレリ話の盛り上がるところであり、怪しいウワサ話まで飛び出るのだ。
さて、さっそく装着されたピレリタイヤを見ると…
あんまりカッコ良くない!
トレッドパターンはキライじゃないものの、
横からのルックスが軍用車みたいなのだ。他のタイヤと見比べて気がついたのは、普通、ミゾは太いのと細いのを交互にするとか、ショルダーに回り込むにつれて浅くなったりするのに、P7000は多めで太いミゾがそのまんまショルダーに回り込んでいる。だからショルダー部分の凹凸が煩雑で、軍用車みたいに見えたのだ。
それと、サイドウォールのデザインは、エッジの立ったリムプロテクターのようなディテールは存在せず、つるりーんとオーソドックス。さらにヒドイのが「Pirelli」や「P7000」のロゴがタイヤ外周に沿うようにラウンドしておらず、
ステッカーをペタシと貼ったような感じ。どーしても許せないのは
「P7000」のロゴデザイン。
丸文字調
少女漫画かよ!?
ゴシックに角張らせて剛性感、さらに斜めにしてスピード感出すとか、考えなかったのだろうか。
それらの統一感のない表記ディテールを、
なんだかテキトーに誤魔化そうとしているような、変な囲いのモールドも気にくわない。
果たしてP7000ってどーなのよ?と、家でメーカーサイトをググってみると…
元気、やる気、売る気、という「3つの木」がまるでナッシング!
しかし、一応P7000ちゅーのは7シリーズ直系の超高性能タイヤで、雨に強いスポーツタイヤなんだそうである。が…、この
やる気のないサイトと、
丸文字デザインでは、すっかり世の中斜に構えた私が信用できるはずもない。 で、みんカラをはじめ、いろいろなサイトを見ると、やっぱりP7000は私が買ったような値段で売られており「
安いので買った」意見が圧倒的だ。
長期在庫でもないのに、この安さは何なのだ?と主治医のトコに行くと、
確かに彼が現役の走り屋だった当時はアルミかP7か?なんてで悩んだほどP7はすんばらしかったらしい。
が、P7以降はピレリの評判はガタ落ち。なぜなら「
再生タイヤ」に手を出したからで、
ベースがポテンザだと最高だと笑い話になってたそうだ。
ウソでしょ?と言うと「
オレなんかの世代じゃ有名な話だ。」と。
だって、ポテンザって石橋じゃん、と聞くと「程度のいいソレを買ってベースにし、新しいゴム巻いて窯で仕上げるのだ。」と。
確かに再生だったら安い。
ネットで安売りしていたのは石橋系の「タイヤ館」だったし。さらにあの
サイドウォールのデザイン…と、疑いは深まるばかりだが、メーカーのサイトじゃ「超高性能」である。そんなモンが再生でええんだろうか?ええわけない…と信じるしかない。(汗)
ちなみに乗り心地自体はそんなに悪くない。いろんなユーザーコメントだとロードノイズが多いというが、今はあまり気にならない。
若干、路面の荒れたところで大きめに感じる程度だが、ブロックの数が多く、複雑なほど路面を叩いたり弾かれたりするので、それは仕方ないだろう。ライフが長いという感想もあったが、ゴム自体が硬いだけでなく、ミゾによる冷却というのも考えられる。
まぁ、買ってしまったものは仕方がない。環境とお財布に優しいクレバーなチョイスだと割り切るしかない。私にはモッタイナイくらいのイタリー製調ウルトラハイパフォーマンスタイヤと考えた方が、精神的な負担も少ない。ここは一つ、
バカポジティブ(現実逃避)がよさそうだ。
※次回はバイクのミシュランについて書きます。今回みたいに勝手な解釈で。