
明日は妻子が帰ってくるので、ゆっくり日記を書けるのは今日までかなぁ…
カミさんもロドスタを可愛がるようになったある日、ニヤニヤしながら彼女が言った。
「お腹に何かいるって」
サナダムシとかの寄生虫かい?と聞いたら怒られた。
周囲からもクルマはどうするのと聞かれ、移動の際は妻子がロドスタに、私がバイク。しばらくはそれでいいと思った。
ところが、ロドスタの助手席にチャイルドシートを装着すると、左視界がほとんどない。背の低いカミさんではさらにきつい。他にクルマを買うことも考えたけれど、維持費と使用頻度を考えると現実的じゃない。仕方なく、ロドスタは手放すことにした。
問題は次のクルマ。
ロドスタ以外のクルマなんてどうでもいいやー、と投げやりになりそうにはなった。
けれど、妥協やお金で手にしたものは飽きるが、惚れ込んで買えば長く好きでいられる性格なので、ここはマジメに考えた方がいい。
トランポならバイクも積めるけれど、使用頻度や安全面を周囲から指摘された。流行のミニバンは、便利だけど好きになれそうもない。「ウン、やっぱりクルマの基本はセダンでしょ」と勝手に思い、自分の希望する条件を出し、それを満たすセダンを見つけることに。
150万円以下、走行3万キロ以内、高年式、5人乗り4枚ドア、大体5ナンバーサイズ、上質な作り、信頼性、パッと見で好きか嫌いか、などなど。
当てはまったのはトヨタ・プログレ。
私にとって、トヨタは「嫌いだけど認めざるを得ないメーカー」だった。トヨタを買うことは、マニア趣味的な要素を捨てるだと思っていたけど、プログレは反則デザインの外観がトヨタらしくなくていい。コンセプトである「小さな高級車」の小さいことがたたって市場価格は低いけど、新車価格やセグメントからも、品質は相当高いはず。FR・6気筒っていうのもポイントが高い。
トヨタと言えば、代車で91年式のカムリを借りたことがある。ドベーンとしたフェイス、5ナンバーギリギリの長細い車体。走行10万キロ。「まさかコレ!?うそー!ヒドい!」と言うほどガッカリしたけど、使ってみると装備充実・広くて快適。最後の方には結構好きになっていた。市場価値ゼロ以下。でも、世話になったカムリを最後の日に洗車した。この個体にとっては最後の洗車だったかもしれない。
そんなカムリを思い出し、92年の自動車カタログを引っ張り出してみたら、Eunos500を見つけた。発売当時、名前は知っていたけど、見た目やペットネームの無いことから、「欧州テイストの変なクルマ」という印象しかない。が、こうして久々に見るとカッコイイ。コンセプトはプログレと同じ「小さな高級車」。しかし、中古市場の異常な安さは気になった。それとFF。当時、バイク乗りの私は、前輪が全ての仕事をこなし、後輪は引きずっているだけのFFは、何とも好きにはなれなかった。
とりあえず実車を見てみようとショップに行く。プログレは予想以上のいいクルマで、内装などケチっているような所が見られない。それと比べれば500は当然劣るものの、外観の雰囲気はただならぬものがあった。国籍不明、何か異様なオーラすらある。何だろう?また、低いノーズにV6がギチギチに収まっているのに驚いた。他にMS-8や800も気になったけれど、ロドスタからの乗り換えだったため、こちらは実際以上に大きく感じた。
最終的に、プログレは150万円以内、500は40万円以上っていうのを条件に探したところ、県内で1.8のMTを見つけた。驚くことに、2万キロ以内のワンオーナー。そこが引っかかった。
現物をチェック。ペダル、ストライカー、ヒンジ類などのヤレ具合からも、走行距離に偽りはなさそう。記録簿や全体の雰囲気からは、前のオーナーはATが苦手な年配の方、自分でクルマを弄ることは、きちんとディーラーに整備を出していたが、だんだんと乗る機会がなくなったので売り払った。(ここが怖いけど…)そんな推測をした。
以前、中古のNiKon・F4を買う時、人気のあるF4Sを買わず、プレーンなF4を選んだことがある。F4Sは電池パックが付いており、プロなどハードユーザーに酷使されるケースもあるので、あえてF4Sと同価格で「使いこなせなくて売った」ようなF4にした。この500も同様の感じで、市場価格よりも若干高いプライスが付いていた。
トヨタ高級セグメントの品質と直6・FRのプログレか、言葉にできない雰囲気と希少MTの500か。
悩んでいる時に、ネットで500のオーナーズクラブの存在を知った。当時の欧州ではデザインがとても評価されたクルマだったらしい。あのオーラはそれだったのだろうか。
結局、500を選んだ理由は、テンハチのV6・MTなんてこの先乗れないことや、あの何とも言い表せないオーラが決め手になった。丸くてヌメっとしたセダンは好きではないはずなのに、何か「イイ!」と感じてしまっていた。
市場価格の高い低いにかかわらず、製品には開発者の執念がにじみ出る。私はこういう製品がたまらなく好きだ。操作したり、磨いたり、いじったりする時、当時開発に携わった人たちの指先の動きをトレースできる。妥協せず、何度も何度も試行錯誤して決めたカタチ。これを自分の手先で感じながら、様々な想像を働かせてしまう私は、やっぱり少しおかしいのかもしれない。高価なブランド物よりも、100円で売られていたモノを30分以上も眺めて感心する時もある。
私は駐車場から離れる際、必ず一度だけ振り返る。恋人と別れたあと、もう一度お互いに振り返ってサヨナラするような、そういうロマンチックな感じで。
※電気の点きっぱなしや窓の開きっぱなしを再確認するっていう、ロマン台無しの現実的要素もある(笑)
納車して最初の日も振り返った。当然、そこにあるのはロドスタではななく500。けれど、同じユーノス・デザインで、同色でパールの入ったボディは、今までと同じ恋人が、今日はちょっと大人びたスタイルでたたずんでいた、そんな感じにホッとし、嬉しくなった。
なんか「チラシの裏に書いてろ」的になっちゃいましたね。
すみません。
Posted at 2005/05/04 07:03:31 | |
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たのしいじだうしゃ | 日記