相次いで導入した10振動機のあれこれ
投稿日 : 2020年05月01日
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あれ?時計はもう買わないんじゃ?と言われそうですが、こういうのはある意味必然で突然買いたくなるのです(開き直り)。
と、言い訳は置いておいて、今回買った2台の比較検証してみたいと思います。
同じSEIKO社の10振動機であるこれら、奥側がLORD MARVEL36000(LM36000)、手前がGrandSeiko 4522(45GS)ですが、搭載している機械も違いますし、外装も結構違っています。まず目立つのは風防の違い〜LM36000はドーム状で柔らかい印象ですが、45GSは角がはっきりしたボックス形状です。なおどちらも樹脂製風防です。
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まずはLM36000…
文字盤はこだわって選んだ、乱反射しにくい視認性良好な絹目仕上げです。全数字インデックスで、ネット情報ではプレス仕上げとの記載もありましたが、自分で確認した限り、SEIKOマークも含め植字ですね。結構丁寧に仕上げてあり、相応の高級機であることがここからも見て取れます。
6時位置には名称のLORD MARVEL表記の他に10振動をアピールする36000の記載があります。また、その下のマークから諏訪精工製であることがわかります。
文字盤の状態は申し分なく、購入価格からしたら超がつくお買い得だっと思っています(あくまで自分目線。人からしたら多分アホ丸出し)。
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借り物画像ですが…
搭載されているのは5740Cといわれる機械で、歴史的には国産初の量産型10振動機となります。5740系は当時はGrandSeikoよりやや下のラインに搭載されていた機械ですから、普及機よりは高級機の位置付けです。その証拠に一般的な17石よりも豪華な23石ですし(この時代の時計ヒエラルキーは石数で割とわかりやすい)、各パーツの仕上げも丁寧ですから、それなりにコストのかかった機械だとわかります。
ただ、元になった5740AやB型は5.5振動の機械ですから、無理くり10振動に仕立てた、と言えなくもない…。また5740Aでは装備していたハック機能が省略されていますから、ちょっと強引な設計とも見えます…。
なお、テンプを支えるブリッジはごく標準的なシングルブリッジです。
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裏蓋はこんな感じ…。
LM36000(左)も45GSも当時としても十分なスクリューバックでGSメダリオンの有無を除けばほぼ仕様は同じです。刻印から、製造時期は1975年2月ですね。LM36000は製造期間が1967年から1978年ですから、結構後の方の個体です。
一方の45GS(右)は向かって右の傷がやや残念ですが、全体に状態は良く、メダリオンに腐食もありません。製造時期は1969年9月となります。
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次に45GSに移ります。
こちらは黒やグレイ文字盤もあるようですが、人気機種ゆえリダンも多いので、オリジナルのラインナップは十分には把握できていません。ただ、大きく分けてデイトなし(4520)とデイト付き(4522)があり、どうも4520の方が人気があるようですが、その差は大きくはないようです(値段は大して変わらない)。自分は実用性を求めて購入しましたので普段遣いに必要なデイト付きとしたまでです。
インデックスはバータイプしかなく、バーも針も複雑な多面研磨で、いわゆるGSスタイルになっています。また、ケースは8000型とされるもので、総じてGSの典型的なスタイルであり、大きさを感じさせない、でも存在感があって、時代を超えても支持される端正な外装になっています。
文字盤表記は6時位置にGSマークと高振動の証たるHI-BEAT表記と、10振動を示す36000とあり、その下には亀戸精工マークが付いています。
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こちらも借り物画像ですが…
当時最高級であるGS搭載の機械ですから大変コストがかかっており、非常に美しいムーブメントです。各パーツの仕上げは50年前とは思えない見事なものです。また、精度面でも世界で競うために最初から10振動機として企画製作されたものですので、ダブルブリッジでテンプを支えるなど当時世界的にもほぼ最高の機械と言えましょうか。そういう意味ではLM36000搭載の5740Cだっていい機械だと思うのですが、この4520系はさらにその上をいく機械ですね。石数もちょっと多い25石となっています。
なお、4520系をさらに高精度に仕上げた天文台とかVFAとか、博物館級の逸品もありますが、それは流石に実用品でなくなるし、とても買えたもんじゃないので…(汗)
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サイドの光景を…
こうしてみるとGSは仕上げが非常に丁寧で、この8000型と言われるケースの人気度合いも納得です。
LM36000も決して悪くはないのですが、相手が悪い…(苦笑)
45GSは非常に薄く作られており、その一方で真ん中あたりに強いエッジがつけられており、非常に存在感があるし、造作も美しいです。LM36000はその点ではシンプルな構造で、実用本位であることが知れます。なお、どちらも竜頭はオリジナルの様です。
こうしてみるとLM36000は結構小傷が多く、存分に働いてきた時計の様ですが、45GSは傷も少なく(ただ研磨してきれいにしたわけでもなさそう)、相場よりやや高めだったのも納得です。
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最後に我が家の10振動機たちで記念撮影…。なお最愛用機のRainbow Flybackはメタルバンドゆえ比較しにくいため今日は出していません。
10振動機たちの針の動きを愛でつつコレクションが充実してきましたが、この中ではLM36000が別格で針の動きが滑らかで、他の2機はちょっとぎこちない時があります(場所やタイミングによる。原因は不明)。
ただ、その後動かすにつれ、LM36000は日差が+30−+40/日とやや大きくなっており、OHするか悩み中です。
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