始まりは一通のメールからでした。
「とうもろこし倶楽部」と題されたそのメールは、「一度食べたら病み付きになる」という書き出しで始まっており、遠州のとうもろこしの素晴らしさを余す事なくアピールした上で「美味いとうもろこしをゲットしに、遠州までトゥギャザーしないかい」みたいな内容だったような覚えです。多分。
不意にとうもろこしに関する様々な記憶が、私の胸中に蘇ります。
祭の屋台の焼きとうもろこし、醤油の焦げる芳ばしい香り、親にねだって一本買ってもらうものの結局持て余してしまうその量、そして翌朝の未消化コーン・・・。
しかし、とうもろこしに関する思い出を幾ら紐解いてみても、病み付きになるほど夢中になった覚えがあるのは幼少の頃のものばかり。
今でも一応、バーベキューなどの舞台に登場したりはするのですけど、そのポジションたるや脇役中の脇役といったもので、無ければ無いで流れていってしまう程度の存在です。
とても病み付きというレベルではない。
しかし、そんなとうもろこしに対する憧憬を忘れた大人をも夢中にさせるとうもろこしが遠州に存在するというのです。
それは一体どの様なものなのか。
本当に一度食べたら病み付きになるのか。
その真相を追究すべく、とある日曜日の早朝、JA三ケ日の駐車場に5人のとうもろこし侍が集結したのです。
主催者の先導で、ナビでは出ないというとてつもない場所にある幻のとうもろこし直売所に向かいます。
その直売所には、朝っぱらにも関わらず既に車と人とが列を成しています。
これらは全て、この直売所のとうもろこしのみを目当てにやってきた人たち。
そもそも、とうもろこしって行列してまで買うものでしたっけ。
そして、そんな私の疑問を他所に、この人たちの買いっぷりがまた凄い。
このお店では基本的にとうもろこしを袋売りしていて、一袋に大ぶりのとうもろこしが大体5本くらい入っているんですけど、それを3袋も4袋もガンガン買って、どんどん車に積み込んでいくのです。
もうね、どんだけとうもろこしが好きなんだよと。
どんだけ
もろこしラブなんだよと。
普通、とうもろこしなんて一本も食べれば暫くはイイかなってくらいの食材じゃないですか。
それが目の前で10本単位で取引されていく訳ですよ。
そんな様子に私も何だかテンション上がっちゃって、思わず売り子のおばちゃんに
「おばちゃん、こっちもとうもろこし30ね!!」
とか頼んじゃいましたよ。
・・・嘘です。買ったの一袋だけです。
それにしても、5本だって食べきれないよ。
オマケにこのとうもろこし、生食も出来るとあって早めに食べて下さいという但し書き付きなのです。
一体どれくらい日持ちするものか売り子のおばちゃんに聞いたら、
「できれば今日中に食べて下さい」
だって。無茶言うな。
と云う訳で、大人も病み付きなとうもろこしを勢いで5本も買ってしまいました。
そして、ゴロゴロっと転がる特大サイズのとうもろこしを前にやや途方に暮れていたんですけど、とりあえず試しに一切れ生食してみたところ、これが美味い。
皮が柔らかいので歯に挟まりにくくて、しかもお上品な甘みが止められない止まらないを見事に演出してくれます。
続いて塩茹でしてみます。
5分ほど茹で上げて湯切りすると、とうもろこしの粒が艶々と輝いています。
そこへクワッとかぶりついてみると、生の時よりも実が少し締まった感じになってこれがまた美味い。
一気に1本半くらい食べきってしまいました。
恐るべし遠州のとうもろこし。
大人も病み付きになるというのは真実だったのでした。
それでもさすがに5本は辛いので、近所のみんカラなお友達にもおすそ分けしてきましたが。
これまで、「遠州名物」と云えば、浜松の鰻だったり三ケ日のみかんだったりイチゴ街道沿いのイチゴだったりした訳ですけど、遠州のとうもろこしというのもなかなか侮れない存在であることが良く判りました。
そして近い将来、鰻やみかんといった強敵を抑え、とうもろこしが遠州名物のスターダムにのし上がる日がやって来るかもしれません。
美味いとうもろこしを食べながら、新しい時代の息吹きがもうそこまで来ているのを、ひしひしと感じたのでした。
・・・あくまで局所的に。
フォトギャラもアップしましたので、興味のある方はどうぞ。
とうもろこし倶楽部
Posted at 2010/06/23 15:44:08 | |
トラックバック(0) |
オフミ | 日記