いやもうホント、酷い目に遭った。
という事で今日のことなんですけど、今シーズン2回目のスキーに行ってきたんですよ。
行った先は、久しぶりとなる野麦峠スキー場。
山本茂実の代表作「あゝ野麦峠」の舞台となった野麦峠に程近いスキー場ですよ。
そんな判りきった説明、要らないか。
そんな本日の野麦峠スキー場ですけど、天候は晴れ、気温はマイナス4度、そしてゲレンデはソフトパウダーと絶好のコンディションでした。
そんな中、準備運動も万端に滑り出したんですけど、ゲレンデコンディションが素晴らしい所為で、もの凄く滑り易い。
スキー板がどんどん前へ出て行ってくれて、それに体を合わせていけば、どんな急斜面でも楽勝に滑走できてしまう、そんな感じでした。
ところがそこで調子に乗ってしまったんですよね。
色んなコースを楽しんでいる中で、偶然目の前に現れた新雪バーン。
普段なら敬遠する、未圧雪バーンです。
しかし、何か今日の私なら行けそうな気がしちゃったんですよ。
フカフカの新雪の上を、新雪を撒き散らしながら華麗に滑走する自分が、何故かイメージできちゃったんですよ。
身の程知らずなその時の私に、その後どうなるかを教えてあげたい。
そんな訳でですね、私はイメージを実現すべく新雪バーンへ勇躍滑り出たんですけど、2、3回ターンを決めたところでスキー板の先端が雪に刺さってしまい、スキー板が2枚とも吹っ飛んでしまう転倒劇。
全く、身の程を弁えないとはこの事です。
しかし問題はその後ですよ。
久しぶりに転倒クラッシュを演じてしまい、やっちまったなぁとか思いつつ、外れてしまったスキー板を回収しようと周りを見回したところ、スキー板が一枚しか見あたらない。
あれ?っと思って足元を確認してみても、両足ともにスキー板は付いていない。
片方の板だけ下まで滑っていってしまったのかと思い、麓の方に目を凝らしてみても、どうもそんな様子もない。
・・・という事は。
どうも私のスキー板の片割れは、新雪の中にズッポリと埋没してしまったらしい。
ゲレンデのど真ん中で、スキー板を1本だけかかえ、途方に暮れる私、情けない。
やがて我に返り、残ったスキー板でラッセルしながら必死の形相でスキー板を捜す私、情けない。
そしてそんな私の横を、ちびっ子が華麗なボーゲンで滑走していくんですよ、ホント泣けてきた。
ところで、雪の中に埋まってしまったものを探すのって結構難しいんですよね。
私も、最初はすぐに見つかるだろうと高を括っていたんですが、幾ら掘り返してみても、見つかる気配はありません。
しかも雪って、ああ見えて結構質量ありますからね。
雪を掻いて探すのって、かなり骨が折れる作業なのです。
やがて徐々に、諦めムードが漂い始めます。
これはもう、春になって雪が消えるまで見つからないのではないかと。
長年連れ添ってきた私のスキー板は、ここ野麦峠において「ああ飛騨が見える」と眠ることになるのかと。
そして今日のところは麓でスキーをレンタルするしかないのではないのかと。
そのために、1本だけ残ったスキー板を抱え、トボトボと下山するしかないのではないかと。
しかしですね、ここでホント偶然に雪に埋もれたスキー板の一部を発見したのです。
探していたのとは紙一重で違う場所でした。
そして急いで掘り起こしてみると、それは見まごう事なく私のスキー板。
先ほどまで私の足に装着されていたスキー板です。
離れ離れになってから10分あまり、遂に再びここであいまみえる事ができたのです。
この奇跡の再会に、目から滂沱と涙がこぼれ落ちます。
さすがにそれはウソですけど。
こうして危ういところではあったのですが、私のスキー板はここ野麦において、みねと辰次郎のような悲劇の離別を迎える事なく、また再びつがいとなって私のスキーライフを支えることとなったのでした。
それにしても、この一件では随分とパワーを浪費しました。
体力的なものよりも、気力的なものの方が大きかったかな。
ゲレンデは相変わらずのベストコンディションだったのにも拘らず、当初のような”私なりの”華麗な滑りは、その後復活することはなかったのでした。
山本茂実の「あゝ野麦峠」は不朽の名作だというのに、私の野麦峠と来たら・・・冴えないなぁ。
Posted at 2010/01/31 01:07:28 | |
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雪山レポート | 日記