目的 |
チューニング・カスタム |
作業 |
DIY |
難易度 |
初級 |
作業時間 |
1時間以内 |
1
リアバンパーやタイヤハウスが発生させる「パラシュート効果」についてご存知の方は多いかと思います。
実を言うと、自分は最近までこの現象について懐疑的でしたが、とある実証実験を見た結果、街乗りだろうとサーキットだろうと決して無視できないものであると確信しました。
Z##1系スイフトのリアバンパーは縦幅が広く、袋状になっている上に前方が開放されているという、空力的には(恐らく)最悪の形状です。
穴を開けずにパラシュート効果を防ぐには、バンパーが空気をすくい上げないように開口部ないし車体底面ごとフタをすれば良いのでしょうが、プラダン等でそれらを作るのも着脱も面倒だと思い躊躇していました。
そういう事であれば、もういっそ軽量化を兼ねて穴を開けてしまえば…という事で今回の加工に踏み切りました。
加工にあたり位置決めをしなければなりませんが、今回は2つの効果に着目しました。
・負圧による引き抜き効果
・負圧領域に空気を送り込む事によるドラッグの低減
これらについて最大限の効果を得るには、実際に負圧になっている箇所に効果的に空気を送り込む事が必要です。
そこで、まずは「段差になっている部分」に着目しました。
スイフトのリアガラスは比較的急角度であり、なおかつリアゲートの中では引っ込んだ位置にあるために負圧が発生しやすい箇所であると言えると思います。
その負圧領域に下からより多くの空気を送り込む事ができる位置を考えた結果、リアバンパーの上部の段差が候補となりました。
そしてもう一つ、バンパーの開口部面積を考慮すると、上部の加工だけではどうしても容量が不足するであろうという懸念がありました。
そこで、バンパーの下部から上に沿って切り上がるラインの途中にある段差部分の付近を加工してみる事にしました。
副次的な効果として、空気が穴に向かって流れていく際に、バンパー下部の曲面でダウンフォースが発生しないか…などと考えてみましたが、恐らく角度が急すぎて上手くいかないでしょう。
いずれも、最も負圧が強くなるであろう車体中心部を意識し、あえて外側には開けませんでした。
せっかくボディに沿っていた空気の流れを乱しては元も子もありませんので。
ただ、今回の位置選定が流体力学的に正しかったのかは実際のところ不明です、あくまで素人の憶測に過ぎません。
2
穴開け加工をした際、気まぐれにクロス入りのアルミテープで養生をしてみました。
巷で一時期話題に上がったアルミテープチューンというものがありますが、あれに関しても当初は効果を疑っていました。
しかし、外装パーツに使用する分には空力的な部分で一定の効果が期待できるという、天下のトヨタ様の言い分を信じて使用してみる事に。
外側がギザギザなのは見た目的にあまりよろしくないかと思い、穴の部分だけケバケバになるようにわざと荒く加工しました。
冗談のつもりでしたが、リアガラスに砂粒がつきにくくなるという面白い結果が得られました。
どうやら一応機能してはいる…のかな。
話は変わりますが、「静電気逃がすなら導通のあるテープでないと無意味だろ」という発言をよくTwitter等で目にします。
個人的な考察なのですが、特に導通のあるテープでなくとも、金属の層が確実に存在し、角の多い形状であれば一定の効果は得られるものと考えています。
何故ならば、このチューンが有効な相手はそもそも絶縁体であり、テープの母材や糊に導通がなくとも、貼り付けた時点で一つの絶縁体の塊として振る舞うだけだと思うのです。
重要なのは対象の部品との密着の確保であり、テープの導通の有無ではないと私は考えます。
これもあくまで素人の憶測であり、そもそも誤りである可能性もあります。
その道のプロのご指摘をお待ちしております。
3
また、今回は穴開け加工に加え、汎用のゴムスポイラーをルーフエンド部とリアゲートの中央に設置しました。
ダウンフォース云々よりは、抵抗なく空気を後ろに流すという目的のために装着しました。
ルーフエンドは少し跳ね上がった形状にする事で後部の渦を強めに作り、バンパーからの空気を吸い寄せると共に、綺麗に車体から空気が離れるように。
ZC31S用のGTウイングに似たような後端形状のものがあり、それを取り入れてみました。
テールの間についているものは、最近の小型車に採用されているリアゲートの形状(中央付近が突出した形)に近づくよう設置しました。
ルーフエンドのみよりはリアゲートのセンターにもスポイラーを設置し、2段階に突出した形状にするとよりドラッグの低減に効果的であるという情報を事前に得ています。
ZC33Sのリアゲートの形状も明らかにこの効果を狙ったものですし、一定の効果があるものと期待しています。
なお、以前装着していたGTウイングは一旦外しましたが、何かしら装着されていた方が整流効果が期待できるという情報もあるため、最適と思われる位置関係を精査した上で再度装着を試みたいと思います。
4
今回の加工に使用したホールソーです。
木工用ですが、樹脂にも問題なく使用できます。
800円程度で入手可能でサイズも豊富、柔らかいものに使用している限りは問題は起きないでしょう。
5
加工後に300km程度走行してみましたが、スピードの乗り方と燃費に明らかな差が現れました。
同じ道で同じ踏み方をしている(追加メーターでスロットル開度を監視)にも関わらず、10〜20km/h程度巡航速度がアップ。
軽く踏んでも簡単にスピードが出る…ような気がします。
燃費は12.5km/L程度だったものがおよそ13.5km/L程度にアップ。
調子に乗って割と踏み込む運転をしてしまいましたが、逆に改善する結果となりました。
GTウイングはかなり以前から外していましたが、そこからの素の状態と加工後の状態での比較ですので、何もないよりは確実に良い結果が出ていると言えるのではないでしょうか。
今後も有効と思われる空力チューンはどんどん取り入れていきたいと思います。
【2020/12/17 追記】
(以前のレビューに一部誤りがありましたので書き直しました)
空気の流れがよく分かる雪上にて走行してきました。
気温は-10℃程で路面はほぼパウダースノーだったのですが、結果は写真のような有り様です。
フロントタイヤが巻き上げた雪が全てリアバンパーに集まり、下部に滞留していました。
更に、リアの中央付近の負圧が弱まった事でサイドからの空気の巻き込みが減っている事が分かりました。
加工以前は中央付近に集中して着雪していたものが全体に満遍なく広がったといった具合です。
特に、追加したスポイラーの下側に多く着雪が見られ、小規模な負圧が発生して空気を吸い付けている事が分かりました。
これらは予め想定できていた結果であり、バンパーの上部の穴から噴出した空気がリアゲートの面に沿って綺麗に上昇し、ルーフエンドで剥離するという、ほぼ狙い通りの挙動となっている事を示しています。
故に、負圧領域への空気の送り込みは成功しており、パラシュート効果およびドラッグの軽減という目的も同時に達成できた事になるかと思われます。
ひとまずは現状で問題なしとしておこうと思いますが、この加工をしてからリアがヨレるような挙動が出ているのが気になります。
GTウイングを装着していた時よりはダウンフォースが損なわれているという事もありそうですので、近いうちに再度装着したいと思います。
6
【2020/12/21 追記】
フロントカナードとボルテックスジェネレータを追加したので、300kmほど試走してきました。
ZC31Sのバンパーにはもともと小ぶりなリップが装着されていますが、そのリップとの相乗効果があるといいなぁ、というくらいの心持ちです。
フェンダーへの空気の巻き込みを防ぐため、ストレーキとしての効果を意識して装着してみましたが、低速域では効果がよく分かりませんでした。
燃費も大きく変わった様子はありません。
行程のうち150kmほどは高速道路を使ってみましたが、フロントの安定性が向上したような、しないような…やはりよく分かりません。
しかしながら、高速走行でこれまでのチューニングの問題点が露呈しました。
どうやら、バンパー加工の影響によりリア側の安定性が損なわれたようで、コーナーでの踏ん張りが効かない、アウト側に吹き飛びそうになるという現象に見舞われました。
どういうわけか加工前の方が明らかに良いのです。
ここからは推測ですが、未加工の状態では路面に押し付ける向きに負圧が発生していた事が予想できます。
これは単なるダウンフォースではなく、ドラッグとしても働いてしまうような位置に発生しており、空気の送り込みでこれを除去した結果として燃費は向上、しかし代償としてダウンフォースを損なう結果になった…
…はい、こういう時のGTウイングですね。
既に手配は進めています。
ステーも完全なる自作で、4点支持のマトモ(?)なものに仕上がる予定ではおります。
燃費を突き詰めた結果として高速域での安定性が失われてしまうというのはどうにも癪です。
どうせならどちらもそこそこに活かしたい、安心して乗れるマシンに仕上げるのが今後の目標です。
7
今回のもう一つのアイテム、ボルテックスジェネレータです、完全に粘土細工…
EVA樹脂をそれっぽい形状に削って角を落としただけのものです。
ランエボ等にも一時期純正オプションとして存在したようですが、効果が懐疑的であるとして採用されなくなったようです。
しかし、現行車の樹脂パーツに同様のフィン形状が見られるなど、空力的に重要な役割をしており、実際には見た目より大きな効果が望める…らしいです。
なお、これも某サイトの受け売りです。
今回はマッドフラップを作った際に出たEVAの端材で作りましたが、型を起こした上でシリコンやエポパテ等で作った方がより良い仕上がりになるのではないでしょうか。
高さも不足しているような気がして正直なくていいまでありそうです。
フィギュアやプラモデル等の製作スキルがあるとこういったシーンで活きてきそうですね。
空気の動きを可視化するために洗車用のスプレーガンを使ってみましたが、スポイラーの効果も相まってか、大きな乱流を作ることなくルーフのラインに沿った綺麗な筋状の流れを作っている事が分かりました。
しかし、正直なところボルテックスジェネレータによるものなのかは不明です。
燃費に対する効果も正直不明、若干良くはなった…のかな。
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