
この秋の連休中に購入したC Dの中1枚紹介しようと思う。
「GUNDAM 30th ANNIVERSARY I,Senshi ~哀 戦士トリビュート」 フライングドッグ \2100(税込)
今年は「
機動戦士ガンダム」がTV放送を開始して30周年にあたるということで、色々なイベントや企画が目白押しだった。
その中で最も白眉だったのは、台場に飾られた実物大ガンダムの建造物だというのは誰でも思うことだろう。
勿論、それ以外にも声優陣や制作スタッフによるトークイベントやら、ここまで市民権を得るまでのムーブメントにのし上げた“ガンプラ”も様々な商品を展開している。
出版業界でも、各方面からガンダムというモノを取り上げて編纂された書籍がかなり刊行された。
そうした“30周年”記念の一環として音楽方面でも当然ながら色々と商品が出ており、ここに紹介した1枚もご多分に漏れずだ。
実際にはTV放映作品ではない2作目の劇場作品にあたる「機動戦士ガンダムⅡ 哀戦士」の主題曲にテーマを絞った商品なのだけれども。
表題曲「哀 戦士」を作曲したのは故井上大輔氏であり、自ら歌い上げ大ヒットとなった。
その超有名曲を各アーティスト達がカヴァーしたらどういう風になるのか、という好企画ミニアルバムである。
Andrew W.K.
GACKT
MIQ
及川光博
Richie Kotzen
井上大輔
ここに挙げた6名による各1曲、合計6曲が収録されている。
ガンダム関連のC Dはこれまでにも数多く商品があり、過去にも20周年やら25周年などのそれぞれの節目にやはり企画されたモノも少なくない。
今回のミニアルバム編集に際して、純然たる新録音は2曲のみで、後はそれらからの抜粋という形なっているのだが各アーティストの個性が如実に出ていて充分面白い。
私がこれを購入した目的は勿論この歌が好きだということに他ならないが、大好きなアニソン歌手であるMIQさんの新録音が収録されているというのが一番の理由と言える。
唯一、女性のアーティストなのだが、元々そのパワフルな歌声には定評があり、“漢(おとこ)”の歌を歌っても全然問題無い。
富野監督が彼女をもう少し早く発見していれば、実際に“MIO”さんが歌っていたかもしれないし・・・。
GACKTさんとRichie Kotzenさん(笑)のテイクは他のアルバムで聴いたことがあるので新鮮味は薄いが、どちらも彼等しか作れない独特の世界観で歌い上げているのは間違いと思う。
もう一人の外国アーティスト、Andrew W.K.さんについては、よく知らないのだけれども、この商品を買う際に隣に並べてあったもう1枚のガンダム30周年記念アルバムに全面参加というか、自分の名義で発表していた位いわゆる“ガンオタ”なのかも(爆)。
試聴出来たんだけれども、とにかくオリジナルを愛してやまないのは伝わってくる。
なんせTV版の劇伴曲までカヴァーしてるんだぜ(笑)。
ここまでやってるヤツは過去にもいなかったんじゃないの?
だから、そういう意味では一番オリジナルの「哀 戦士」に忠実なモノになっている。
“ミッチー”こと及川光博さんの新録音も実は私気に入ってます。
彼らしいポップなアレンジに仕上がっており、哀しさの中に人間らしさが加わっている気がした。
今度、及川さんのオリジナルアルバムでも真剣に聴いてみようと思う。
元々、以前から彼のことは気になっていたし、福山雅治なんかに比べれば私的にはずっと面白いアーティストだと考えているのだが・・・。
最後に本家、井上大輔氏が生前に残した最後の音源であろう“1999 Version”で締め括る。
初めて耳にするテイクで、オリジナル音源に手を加えたりしたリミックスなどではない完全な新規録音だった。
テンポも少し落としてあり、各楽器にも程よくアレンジを効かせて、当時勢いだけで作った様なモノではない、大人の歌になっている。
今この曲をキチンと歌える人は勿論井上氏以外考えられないが、強いて挙げるなら布施明氏くらいだろう。
6曲しか収録されていない為にすぐに終了してしまうが、繰り返して聴いてしまう。
本盤の為に安彦良和氏が描き下ろしたイラストがジャケットに使用されている。
そのイラスト同様、C Dの盤面も真っ赤な血の色で塗られており、これを見るだけで私の中の血が一気に興奮状態になる(爆)。
この歌を最初に耳にしたのは私が中学2年生の夏だったかな。
友人宅のラジオから流れてきたこの曲に戸惑いを覚えた。
「これが今度のガンダムの曲?」
前作は谷村新司氏作曲のマイナーな曲調で、実は子供心に結構気に入っていたりして(笑)。
それから一転してロック調で来たので驚いたなァ。
劇場版の「哀戦士」自体も当時その内容のとっちらかり具合に少々辟易しており、この曲もそれ程好きにはなれなかったのだが、当時のベストテンなどの歌番組に井上大輔氏が出演したりした際は勿論楽しんで聴いていたもんだ。
時は移り、ガンダムブームという流れの中でもう一度劇場作品「哀戦士」をキチンと観る機会に何度もめぐり合うこととなり、次第にこの曲のカッコ良さってモノがわかり始めてきた。
今ではこの曲のイントロが流れるだけで、ジャブロー攻略のシーンがパブロフの犬ごときに脳裏に浮かんでくる始末だ(笑)。
劇場版三作目の主題歌も続投し、「めぐりあい」という奇蹟にも近い名曲も生み出した井上大輔氏。
病を苦に自ら命を絶ってしまう結末には驚きと悲しみを覚えたが、これだけはハッキリと言える。
「井上大輔さん、ガンダムの為に良い歌を作ってくれてありがとう!」