毎年度末になるとどういうワケかまた新たなアーティストに出会ってのめり込んでしまう。
一昨年は氣志團、昨年は真心ブラザーズと、長いキャリアがあるにも関わらずこれまで殆ど聴いてこなかったモノばかりである。
ところが一度耳にしてしまった途端、もう一気にハマってしまう・・・。
勿論、それはそのアーティストに魅力があるからに他ならないが、それだけではない気がしてならない。
私が聴いている音楽にはある程度の“流れ”みたいなモノを感じるのである。
このジャンルのサウンドなら次はこう来るだろうとか、また、真逆にベクトルが向いている場合もあるし、行ったり来たりしながらも自分を中心にした輪の様にじゅんぐり周っているのだと思う。
今自分が向いているモノの隣にそれは眠っているかもしれないし、全然違うところから急にいつの間にか輪の中に入ってきていたモノもあるのかもしれない。
そしてこの冬、また新たに素晴らしい音楽に出会えた。
BRIAN SETZER ORCHESTRA
「ブライアン・セッツァー・オーケストラ」(以下、BSO)だ。
先週の都下へのドライブ時に聴いていたゴキゲンな音楽とはコレだったのだ!
これまで全く聴いたことの無いアーティストで、とりあえずのキッカケとして買った1枚のCDがまた新たな出会いを作ってくれたのである。
ブライアン・セッツァーのことは、一応私もギタリストであるし(笑)、廉価版とはいえグレッチのギターも持っている以上、その存在を知らないワケはない。
ただ、もう20数年以上も洋楽を聴いてきたにも関わらず、殆ど言ってよいほど耳にしたことがないモノだったのだ。
ストレイ・キャッツもご多分に漏れずで、ロカビリーというジャンルはあまり馴染みが無かった上に、リーゼントにタトゥーといったパブリックイメージの部分でも私の聴く音楽には関係の無いモノだと思い込んでいた。
今年に入って、親友とまた一緒にギターを弾く機会が増え、また、これまで以上に多彩な音楽を聴いてきたことがこのブライアン・セッツァーへの道標となった様な気がする。
その中でもギターパンダさんを聴く様になったことが直接的な動機ではないにしろ、始まりだったと言える。
グレッチという今まで一度も意識したことのないギターへ関心を持つ様になり、実際に自分が手にするまでになったのだから。
次にアメリカ音楽への移行も大きい。
これまで頑なにブリティッシュロックに拘って聴いてきたのだが、及川“ミッチー”光博をはじめ、明るくて楽しいサウンドを好む様になり、ボストン、ボズ・スキャッグス等往年のアメリカン・ミージックに耳を傾けることが多くなってきたのも事実だ。
そして、今年も山の様にCDを購入しているけれども、某大手古本チェーンにて安い値段のこれまで聴いていなかった音楽を手に入れて楽しめる様になった。
基本私が探すのだが、その間にカミさんが私とは全く違った観点で色々とチョイスしてくるので(笑)、そこから始まる出会いもある位なのだ。
最近はジャケットにグレッチのギターが映っているヤツを持ってくることが多く、実際に購入して聴いてみるワケ。
中身に関してはおおよその見当はついているのだけれども、大抵はシンプルなロックンロールで、ストレイキャッツが好きなんだろうというのが露骨にわかるモノもあり、それを耳にしても意外とイケるじゃんといった反応だった。
じゃ、どうせならと本家を聴いてみるのも良いんじゃないかと、図書館でストレイキャッツを借りてみることにした。
仕事から帰ったらカミさんがお気に入りでハマっていた(爆)。
勿論、私も聴いていて気持ちが良いと思えた。
顔もろくに知らないというのでPCで色々見せると、デビュー当時の写真を見て「良い男じゃん」と(笑)。
流石に年齢を重ねた最近の写真を見ると「梅宮辰夫」みたいになってるときたが、今でも初志貫徹、ずっと同じスタイルを貫いてきているのだから凄い。
という長い経緯で、先日ソロ行動をしていた時にあえてストレイキャッツではなく、このBSOの方を選んで購入してみたのだった。
メンバーはまさにオーケストラを名乗るほどで、総勢16名という大所帯だ。
ギター、ベース、ドラムスのロックトリオの他に、トランペット4名、トロンボーン4名、サックス5名が作り出すサウンドは、ロカビリーとビッグバンドの融合という、古き良きアメリカ音楽そのもので、元々管楽器が入った音楽は大好きな上に、これまで馴染みの薄かったロカビリーというイキなビートが混ざり合っているというのが色々な意味で逆に新鮮だった。
とにかく明るく楽しい!
聴いていて身体が自然と動く。
気分がどんどん上がって行くのがわかる。
管楽器が多い場合、大抵ギターは飲み込まれてしまいガチであるが、セッツァーは違った。
いかにもロカビリー然としたフレーズながらも全然後ろに引けを取らない。
時にはブラスとユニゾンしたり、メロウなソロを弾いたりしながら、実にバランスの良いプレイを楽しんでいる。
一番驚いたのは、彼のギタリストとしてのテクニック云々ではなく、歌の上手さだ!
各曲ごとに歌い方や声の質までも異なる素晴らしいモノで、全く飽きさせない。
オリジナル、カヴァー両方の楽曲の良さもあるが、捨て曲みたいに嫌な曲はただの一つも無い!
構成している様々な要素全てが見事に一つになっているのだ。
1998年に発表したこの「ザ・ダーティ・ブギ」という3rdアルバムはグラミー賞を含め数々の賞をもって絶賛されたモノだったのだ。
どうりで英語のわからない私でもセッツァーの歌に感動出来たハズだと(笑)。
もうね、先日のドライブ中、ずっと聴いてた。
運転はカミさんがしていたから集中して聴けたってのもあるけど、ここまで「スゲェ、スゲェ~!」を連発したアーティストはあまりいない。
目的地の着く前にあちこち寄り道して都合3枚もBSOのCDをゲットしてしまったもんだから、もうずっと聴いてた♪
秋川渓谷に向かう山道でこんなに不釣り合いな音楽を掛けて走っている車は他にいなかっただろう(爆)。
今まではロカビリーのギタリストとしてしかブライアン・セッツァーを知らなかったが、これからは“素晴らしいアーティスト”として彼を追及していく日々がしばらくの間続きそうです。
個人的にはストレイキャッツ時代のギラギラした彼よりも、50代になり肉も付いて良くも悪くもアメリカ人になった今の風貌の方が好きかな。
来年、新しいアルバムを引っ提げてジャパンツアーを行ってくれたりしたら嬉しいのだけれども。
今まで私達が興味を持ち始めると、程無くして新しい動きがあるというのもやっぱりはそういうタイミングなのかもしれないといつも思う。
余談だが、カミさんは以前、勤め先で音楽好きの方からブライアン・セッツァーを薦められ借りて聴いてみたことがあるという。
ところが、その時はまったくピンと来なくて、その方に返す際にその旨を話したらもの凄くガッカリした顔をされたそうだ。
今ならわかる!と、もしその方に会うことがあるとしたら“ようやくコレがわかる自分になりました”と謝りたいと言っていた。
私もおんなじ気分で、出来るならセッツァー本人に直接言いたいわ!(爆)
そういう敬愛の意味を込めて我が家では彼を“せっつぁん♪”と呼ぼうかなと(笑)。