■ このクルマのここが○
・ガイシャっぽくない。でしゃばった雰囲気がなく,保守的な場面や人に対し余計なイメージを与えない。国産コンパクトには見られない品のいいボディカラー(2004年輸入型)。マフラーが隠されているなどスッキリしていてクリーンな外観
・楽しい運転。直感通りに加速・減速し,曲がり,止まる。このクルマに慣れてから他のクルマに乗り換えると,このクルマがいかに直感通りに動いているのかに気づく。過不足のないパワーとトルク。スポーティだが実用車として十分な軽快さと乗り心地。緩やかな山坂道の楽しさ,高速道路での安定感
・剛性感。しっかりとした重めのステアリングやアクセル。強風やカーブに影響されにくいボディ・足回り。加速とともに増してくるしなやかさ。疲れにくいシート
・視界のよさ。乗ってすぐなじんでしまう車両感覚・運転感覚
・合理的装備。なくてもいいものはなく,あるべきものは極めて使いやすい。前期型の内装スイッチ類や純正オーディオ操作系はとくに洗練されている
・サイドエアバック,サイドカーテンエアバッグを標準装備(GHIA)。後部座席は3名分のヘッドレストと3点式シートベルト
・使いやすい荷室。とくに広くはないが,形状がいい。後席の乗り降りもしやすい
・フットレストはある
・暖房が始動後早くからよく効く(国産車比)
・手頃な実勢価格(値引き)。堅実で実用的な保証内容(ロードサービスなど)
・ある世代以上の方々にとって「フォード」はそれなりに高級感とインパクトのあるブランドらしい
■ このクルマのここが×
・ガイシャっぽくない。高級感や色気に欠ける。欧州車(ドイツ車)として扱わないマスコミ・メーカー。マツダ車やアメリカ車と勘違いされる。イギリス車(開発拠点のひとつ)やスペイン車(製造地のひとつ)のように曖昧に表現したりすることによるイメージの拡散。日本では知名度が低く,口頭では容易に伝わらない車名(よくある間違い=フェスタ,フェイスタ,ピエスタ,フェスティバ,フォーカス)
・今となってはやや貧相なパワートレーン。仕様やスペックの数値で損をしている。低速域からよく回るエンジン(ひっぱる加速)は,気忙しく騒々しい。近年のコンパクトカーに比べ,よくはない燃費(ハイオク仕様)
・やや堅い足回り。体調が思わしくないときやクルマに弱いお客さんを乗せるときには気になる。同クラスの国産車より重いボディと低速トルク感の不足。街乗りでの快適性や渋滞時の扱いやすさは国産車に劣る
・少ないディーラーとクルマに関する情報。量販店などで制限(拒否)されてしまう整備項目。選択できる消耗品・パーツ類の少なさ。クルマ談義の相手も限られる
・横滑り防止装置(ESP) がない(GHIA)
・その他
給油口の開閉にキーが必須。
足もとの空調域に偏りがありすぎる(片足だけに風が直接当たる)。
クーラー(エアコン)が日本車に比べて弱い。
ガラス類にUV・熱線カット機能がない(シートを貼る必要あり)。
フロントガラスに室内が映り込みやすいときがある(要サングラス)。
シフトインジケーターがない(すぐ慣れはする)。
メーター照明の一部が暗い(昼間見えにくい)。
リアサイドドアの窓の開閉が手動(実用上よりも印象で損)。
ステアリングの前後位置調整ができない。
フロントワイパー動作後,フロントガラス中央に垂れてくる水。
各部のきしみ・びびり音発生やパーツ類の組み付けの雑さ(この車格・年代のガイシャとしては一般的)。
車内天井中央部やグローブボックス内に照明を欠く。
アシストグリップがない(後期型にはあり)。
使いやすくはないドリンクホルダー(コンソールには1つのみ。運転席からやや遠く,夜は暗くて位置が探りにくい)。
これらのいくつかの短所はマイナーチェンジ後(2006年型)にかなり改善されたが外装はより無国籍的に(欧州車的な雰囲気がさらに弱まった)。
低い下取り価格(中古市場での安さ)。
2006年以降の輸入中断(2014年まで)。
コーナーでアクセルを抜いているのに前の車に追いついてしまう(他の車よりシャシーが速すぎる)。
登り坂でアクセルの感触通りに踏み込みを増すと前の車に追いついてしまう。
国産車と同じように加速するとスピードが出すぎてしまう。
それでいてしばしば後続車に煽られる。
■ 迷わず乗れよ。乗れば分かるさ
多くの国産・欧州コンパクトカー(B~Cセグメント相当)に試乗した末にこのクルマに決めました。購入後にこのクルマが欧州Bセグメントカーのベンチマークになっていることを知りました。とにかくバランスがよく,運転が楽しくて使いやすい車です。コストを抑えて高次元のバランスを得ている車だと思います。
よく走るクルマまたは他人とちょっと違うクルマに乗りたいけど目立ちたくはない方,運転が好きだけどクルマに気をとられすぎたくない方,それでいてガイシャの点検や整備が苦にならない方にオススメです。
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2017年末に追記:自分にとって初めてのディーラー新車です。前車ヴィータと似た部分を持ちながら,そのネガを持っていないコンパクトカーでした。ヴィータの経験の反動で過整備気味に手を入れたり,トヨタのセダンを思い出して静穏化を試みてみたりと随分と手間とお金をかけてしまいました。
世界を代表する大衆車でありながら日本における肩身の狭さ,フォードの撤退にともなう維持のしにくさ。クルマ市場のあり方や政治的な事情に反発するように,多走行を重ね維持の道を探り続けています。この国とこの世界でプレミアムモデルやスポーツモデルではない旧型のモデルに乗り続けるということ。クルマ造りやクルマを所有することの,本当の意味と意義を探しています。DIYや工場とのお付き合いの仕方も,未だ学んでいるところです。
VIN code: WFOHXXWPJH4D55739
Manufacturer Identifier: Ford Werke A.G. (Germany)
Body type: H
Line: Ford Spain (Own Assembly)
Assembly Plant: Valencia (Spain)
Model: Fiesta
Year: 2004 (some codes are used for more than one year)
Month: July
Production Sequence: 45739
※ 上の写真はtake☆さん,uehara課長さん,tsugutsugu☆さん,STS.さんにご撮影いただいたものを含んでいますm(__)m