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2011年05月02日 イイね!

PSM 完全OFF

PSM 完全OFF99年から996C4に標準、C2にオプションでPSMが採用されるようになり、01モデルからTurboにも装備されています。
一見同じスペックに見えるPSMですが、それぞれの車種でわずかに違いがあります。
一番の違いがブレーキ制御のチャンネル数で、PSM有りが4チャンネルで4輪を独立で制御できるのに対し、C2、GT3、GT2などのPSMなし車両は3チャンネルとなり、リアの左右輪は1チャンネルで制御です。(04myより4チャンネル化)

PSMありはABS/TC5.3、なしがABS5.3と区別されていますが、01よりPSM付き車両はすべてABS/TCS5.7となっています。
そして5.3から5.7へアップデートされた内容が以下に述べるEBDの追加です。

ABS/TCS5.7の機能は4つあります。
ABS、EBD、PSM、ASRですが、ここで言うPSMはいわゆる車両の安定制御のことを指します。
EBDは、各輪にかけるブレーキ圧の個別制御で、各輪に載っている荷重に応じたブレーキ圧をかけることができます。ABSはタイやがロックしてから働くのに対し、EBDは完全にロックするまでの制動力を制御するものと言えばいいでしょうか。ASRはアンチスリップ制御で、加速時に空転輪にブレーキをかけます。ABDとも言います。

これらを大きく分類すると、ABS、EBDは減速時の制御であるのに対して、
PSM、ASRは平常走行時、加速時の制御と言えます。

PSM、ASRに絞って話を進めます。 システム概要ですが、
ヨーレートセンサーによってヨーモーメントの早さを計測したデータと、加速度センサーによる車両の重心にかかる重力加速度から4つのタイヤにかかる「力」を計算し、ステアリング角度センサー、4輪のABSセンサーの速度信号、DMEからの車速、アクセル開度、トルク信号、ブレーキペダルスイッチ、ティプトロでは選択ギア(MTでは無し)と照らし合わせて車両がどんな状態にあるかの分析を行い、問題があると判断した場合に各輪にブレーキ圧をかけることで介入します。また、ブレーキフルードレベル、ユニット内フルード圧、パーキングブレーキスイッチも常時監視しており、問題があれば制御停止⇒ウォーニングランプ点灯となります。

ここからが本題ですが、例えPSMをOFFしたとしても、996ターボでサーキットを走るといくつか問題が出てきます。
1. フルード温度が上昇しベーパーロックしやすい。
2. ブレーキパッド、ローターの摩耗が激しい。特にリア。
3. コーナーの進入時にブレーキを使って車の向きを変えにくい。
など。

例えばリアのブレーキサイズはローター径・厚、キャリパーピストンサイズまで全てGT2(01-03my)と同じサイズです。車重が60kg重いだけでターボのブレーキがGT2と比べて極端に弱いとは考えにくいのです。
では何が違うのか? その原因となっているのが、死んでいるはずのPSMの復活にあります。

つまりインパネのスイッチをOFFにしていても、ブレーキペダルのスイッチが入ると(つまりブレーキを踏むと)PSMが復帰するようなロジックになっているためです。
(一部では、スリップアングルが7%を超えるとブレーキを踏んでいなくても介入する
という記述を見ましたが、私自身フルロック付近のカウンターステアで介入は経験していませんので真偽は不明です。)

北米では996ターボでサーキット走行するオーナーが非常に多いため、この件が日本よりも大きな問題と捉えられていて、数年前からあちこちの掲示板で議論が繰り返されてきました。

きっかけはあるチューナーが2台のターボをニュルへ持ち込んだ際に、毎周いくつかの決まったコーナーでPSMが介入し、思うようなタイムが出なかったばかりか、車両がコントロール不能な危険な状態になったことでした。

その時はポルシェが正式にヨーレートセンサーを設計変更していたことがわかり一旦おさまったのですが、その後ターボの中古価格がこなれて来たのにともない、普通のサーキットユーザーの間でPSMを完全にOFFにする方法が論じられてきました。

特にコーナーの前半までブレーキを残すドライビングスタイルのドライバーにとっては致命的です。


このPSMの完全OFF化ですぐに思いつくのはPSMのフューズを抜くことですが、この方法ではABS、EBDもOFFとなり、ハードブレーキングの度にリアロックし、まともに走れたものではないとの報告がありました。このオーナーは実際に減速Gを測ったようですが、ABSなしの場合、わずか0.6Gだったとか。

ヨーレートセンサーやステアリング角度センサーの信号線を抜いても結果は同じですが、実は他にPSMを完全にOFFにする方法があります。それはマスターシリンダーの下に位置するブレーキフルードの電磁ポンプのカプラを抜くことで、ABS,EBDはそのままに、PSM,ASRだけを完全にOFFすることができます。




この件はサービスマニュアルのトラブルシューティングにも記述があるためほぼ間違いないと考えられます。 (マニュアルの使い方は間違ってますが)



そこで実践してみました。
(実際の作業写真は近いうちに「整備手帳」の方に載せます。)

フロントトランク内、ブレーキマスターシリンダー下に位置する電磁ポンプのカプラを抜きます。
エンジンを始動します。インパネの「PSM OFF」ランプ点灯しています。OFFスイッチにあるランプは消えたままです。普通スイッチでOFFにした場合には両方のランプが点灯するはずです。
ABSランプは点灯していないので、ABSが機能しているのはほぼ間違いないのですが、念のためウェット路面を探してABSの作動確認を行いました。全く問題なく機能しています。

なぜでしょう? 

加速状態にあるタイヤの回転を止めるには高いブレーキ圧とレスポンスが求められるため、電磁ポンプで20気圧のフルードを蓄える必要があります。しかし、ABS、EBDの減速系の制御ではブレーキ圧の保持か減圧のみの作動のため、昇圧する必要がないのです。もちろん昇圧するのは右足です。人によっては左足ですが。
忘れないように追記:ブレーキ圧のプレチャージ機能が911に追加されるのは997のC4からで、C2に装備されるのは'09MYから。アクセルペダルを急速に戻すと、ABSシステムが急制動を予期して、パッドとローターの隙間をなくすように制御する機能。


当然カプラーを挿しなおしてエンジン始動すれば警告灯は消えています。

ただひとつ不明なのは、ティプトロの場合にも当てはまるかどうか?です。
MTと違って、PSMはティプトロのコンピューターと交信しています。おかしな制御が入る可能性もないとは言えません。
Posted at 2011/05/02 02:13:06 | コメント(3) | トラックバック(0) | 996 | クルマ

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