• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+
イイね!
2016年01月04日

FREET WEEK!平成27年度自衛隊観艦式艦艇一般公開(10月10日)その2 護衛艦「てるづき」編

では艦艇をみてまわりましょう。

今回艦艇一般公開の対象になってるのは護衛艦「てるづき」「きりしま」「むらさめ」「あたご」の4隻です。


「てるづき」の艦首を横から。
艦首側に5インチ砲があり、一段高くなったところにVLS、その後方に高性能20ミリ機関砲、その後方に艦橋構造物、マストとなっています。


艦首側から見ていきましょう。
護衛艦DD-116「てるづき」(満載排水量6800トン)は「あきづき」型護衛艦の2番艦として平成25年に竣工した新しい護衛艦です。
「はつゆき」型護衛艦の代替として計画された「あきづき」型ですが、従来の汎用護衛艦ではなく、ミサイル防衛にリソースを割いているミサイル護衛艦を防衛する「僚艦防衛」の能力をもたせています。
艦首には5インチ砲が装備されています。



艦首に装備された5インチ砲。
「あきづき」型は5インチ62口径単装砲Mk45-mod5が装備されています。
他の護衛艦に搭載されている単装砲は「速射砲」と言われますが、この5インチ砲は速射砲とは呼ばれません。
「こんごう」型や「たかなみ」型が搭載している同口径の127ミリ速射砲は毎分40発の発射速度、「しらね」型が搭載する73式5インチ速射砲でも毎分35発ですが、「あきづき」型が搭載するこのMk45は毎分20発と比較的低速度になっています。



5インチ62口径単装砲を後方から。
「たかなみ」型の127ミリ速射砲と比べるとかなりコンパクトで、重量は25トン程度といわれています。
他の護衛艦と比べると直線的な砲塔となっていますが、これはステルス性をねらったためのようです。
操作は完全無人で、射撃指揮装置3型により射撃統制を行います。



5インチ62口径単装砲の砲弾。
もちろん訓練弾ですが上が発射薬、下が砲弾となり、1発が32kgあります。
対地・対水上・対空射撃が可能ですが、説明の方に伺ったところ、対艦ミサイルの迎撃にも使われているそうです。
さすがに発射速度が遅いので連射はできませんし当てるのも難しいようですが艦隊空ミサイルと高性能20ミリ機関砲の間を埋める感じなのでしょうか。



5インチ砲の後方、艦橋との間に設置してあるのがMK41 VLSです。
VLSとは垂直発射システムのことで、その名の通りミサイルを垂直に発射するシステムです。
ミサイルの弾庫と発射機を兼ねたものでミサイルは縦に装填され、真上に発射され、発射されてからミサイルは目標に向かって飛んでいきます。
従来の発射機では発射時に発射機そのものの方向を変えたり、弾庫からミサイルを装填する必要がありますが、VLSは弾庫から直接射撃ができるので矢継ぎ早に発射することができます。
「あきづき」型はESSM(発展型シースパロー短距離艦対空ミサイル)とVLアスロック対潜ミサイルをこのVLSに装填しています。
「あきづき」には32セルのVLSがこの1箇所にまとめられていて、そのうち16セルをESSM、16セルをVLアスロック用としていて、ESSMは1セルに4発装填されているようです。




艦橋構造物。
「むらさめ」型などと比べるとずいぶん雰囲気が違いますね。
従来の護衛艦は射撃指揮装置を艦橋天蓋に、三次元レーダをマストに設置していますが、「あきづき」型では艦橋構造物に一体化して設置しています。
艦橋構造物がかなりボリュームアップした感じがします。
どちらかといえば従来の汎用護衛艦よりは「あたご」型のようなイージスシステム搭載艦のような感じがしますね。



艦橋の手前に設置された高性能20ミリ機関砲(CIWS)です。
護衛艦は通常艦隊行動をとりますが、ミサイル護衛艦が艦隊防空を、個々の護衛艦に搭載された短距離艦対空ミサイルがそれを撃ちもらした目標(主にこちらに向かってくる対艦ミサイル)を迎撃します。
ミサイル護衛艦の長射程艦隊空ミサイル、個々の護衛艦の短距離艦対空ミサイル、速射砲、さらにそれをかいくぐってくる的対艦ミサイルを迎撃する最後の砦がこの高性能20ミリ機関砲です。
白い円筒状のドームにはレーダや射撃統制装置があり、その下には20ミリバルカン砲が設置されています。
目標の発見・追尾・優先順位設定・射撃・評価までを全自動で行うシステムで、多くの護衛艦に搭載されています。
「あきづき」型には艦橋手前と後部のヘリコプタ格納庫天蓋に設置されています。
予算の関係からなのか、対水上射撃ができないブロックⅠ型のようですね。




艦橋天蓋に設置された大小の白い板は射撃指揮装置3型(FCS-3A)です。
名前の通り武器の射撃管制を行う装置で、大きいほうが対空・対水上捜索用のCバンド帯レーダー、小さいほうがXバンンド帯を使ったミサイルや5インチ砲の射撃統制レーダです。
アクティブフェイズドアレイレーダのこの装置は「あきづき」型の武器システムの中核をなすものです。
イージスシステムを搭載したミサイル護衛艦は敵国から弾道ミサイルが発射される恐れが発生する場合には弾道ミサイル防衛(MD)のためにその対空目標処理にリソースの多くを使ってしまいます。
いくら高い防空能力をもつイージスシステム搭載のミサイル護衛艦といえ、ミサイル防衛対処時には自身がリソース不足のため脆弱になってしまうために、「イージスシステム艦を守るための防衛」が必要になります。
それが「あきづき」型が行う僚艦防衛です。
「あきづき」型も高い防空能力をもっていて、隣接する艦艇(僚艦)を守るためエアカバーを広げます。
ただし単にミサイルの迎撃エリアが広いわけではなく、僚艦に向かって飛来してくる対艦ミサイルを字自分だけでなく僚艦にとっての優先順位を判断して迎撃を行います。
そのためリアルタイムで脅威対象、優先順位が変化して対処することが必要になります。



艦橋構造物を横から。
FCS-3Aはレーダー波が死角にならないように配置されているのがわかります。
艦橋後方に配置されたマストは従来のラティスマストではなくステルスマストを用いています。
艦橋天蓋からマストにかけては数多くのアンテナ類が設置されています。
艦橋天蓋の大型の球状のものはスーパーバード衛星通信アンテナ、その後部の四角い形のものはNOLQ-3電子戦装置、マストの下側張り出しに設置してある大型のドームはヘリコプター用データリンクアンテナ、マスト先端に設置してあるのはTACANアンテナです。



マスト後方から。
従来のマストは重い対空レーダを設置していため、パイプを組み合わせた堅牢なトラスマストが必要でしたが、「あきづき」型は対空レーダを兼ねたFCS-3Aを艦橋天蓋に設置しているためマストに重量物を設置する必要がなくなり、このような塔型のステルスマストにすることができたようです。
マスト基部の張り出しに設置してあるNOLQ-3電子戦装置が目を引きます。
この装置は電子妨害装置で敵艦から射撃レーダ波が発信されたり飛来してくる対艦ミサイルに対して妨害電波を発信します。
その後方は煙突になります。
マスト後方の物干し竿のように見えるのは搭載艇を展開するための軸。



艦橋構造物後方の下、左右舷中段にあるパイプ状のものはMk137チャフ・フレア発射機です。
これで電波を乱反射するアルミ箔のようなものを装填したカプセルや高い熱源を持つフレアを打ち上げます。
飛来してくる敵対艦ミサイルは自艦の艦隊空ミサイルや5インチ砲、高性能20ミリ機関砲で破壊しますが、それだけでなく妨害電波を使って対艦ミサイルを妨害しますが、それでもかいくぐってくるものについてはこのチャフ・フレア発射機が自艦の周囲に高い熱源のフレアやレーダー波を乱反射するチャフの壁を作ります。
対艦ミサイルは赤外線やレーダ誘導なのでこれらの妨害装置で対処するわけです。



マストを左舷後方から。
手前に見える筒状のものは艦対艦ミサイル発射筒です。
「あきづき」型はSSM-1B 90式艦対艦誘導弾を右左舷に最大4発づつ、合計8発の艦対艦ミサイルを装備できます(写真では片側3発づつ)。
SSM-1Bは陸上自衛隊の88式地対艦誘導弾をベースに開発されたミサイルで対水上目標攻撃用の主力装備。
百数十キロの射程があるとされています。



艦中央付近。
右側に見えるのは第1煙突です。
「あきづき」型の主機は4基のSM1Cというガスタービンエンジン(ジェットエンジン)の運転数を使い分けるCOGAGという方式を用いています。
ガスタービンエンジンはコンパクトで大馬力ですが効率がよいのは高出力の状態なので燃費の面からは不利になってしまいます。
そこで艦が低速だったり巡航してるときは運転するエンジンを減らし、急加速や高速航行する場合は4基運転するわけです。
第1煙突の後方にある金魚蜂のようなドーム状のものはスーパーバード衛星通信アンテナ。
手前の白い小型のドームはNORQ-1衛星通信アンテナ。
その後方にはスライディングパッドアイが設置されています。



スライディングパッドアイです。
洋上補給のための装置で、これに滑車をつけてロープを張り、補給艦などから物資や弾薬、人員を移送します。



第2煙突側前方の第1甲板中央部に設置されているのが投射型静止式ジャマー(FMJ)です。
名前の通り投射式の妨害装置で、ここから発射され約1km先に着水してエンジン音やスクリュ音に近い音を発生して敵の潜水艦などから発射された誘導魚雷を妨害する装置です。



第2煙突付近。
艦対艦ミサイル発射筒とデッキクレーンが確認できます。
煙突基部にある小型の爆雷(?)のようなものは膨張筏です。
事故など緊急時はこれを投下するとカバーが割れて中からガスで膨らみ筏となります。



舷側はステルス性のためなのか従来の護衛艦が通路になっている部分がシールドで覆われています。
ここは「こんごう」型や「あたご」型と近いですね。
通路にはなっているのでこうやってドアを開けて通路を通ります。



火災は船の大敵。
もちろん消火設備はあちこちにあります。
消防用ホースがリール状にまかれています。



護衛艦の装備としておなじみですね。
3連装単魚雷発射管です。
「あきづき」型は左右両舷に設置されています。
HOS-303とよばれるもので、接近した敵潜水艦に向けて空気圧により単魚雷を発射します。
従来の護衛艦と異なりこのようにシールド内にあるので使用時はシールドを開いて発射します。




こちらも短魚雷?
ではなく「あきづき」型から装備されるようになった新装備です。
自走式デコイ(MOD)と呼ばれるもので、FMJよりもさらに接近してきた敵潜水艦の魚雷に対して使われます。
FMJと同じく音響を使ったものでこれを魚雷のように海中を走らせて敵魚雷をこのデコイ(囮)にひきつけるものです。



艦尾です。
こちらは広いヘリコプタ甲板と格納庫が設置されています。
後部艦構造物の上部には艦橋構造物と同じくFCS-3Aが設置され、艦橋構造物の2面と後部艦構造物の2面の合計4面で360度全周をカバーしています。
その前方には高性能20ミリ機関砲が設置されています。
艦尾がならだかに下がっていて「ミニオランダ坂」と呼ばれてるようです。
繋留装置など船として必要な装備でもヘリコプターの運用時は邪魔なので、一段下げた場所にそれらを設置しているわけです。
こうしてみると艦構造物は大きく変わりましたが、船体は「むらさめ」型から引き継いでいますね。



ヘリコプタ甲板に設置されている着艦拘束装置RAST Mk6。
片側から抱え込んでがっちりと拘束するようで、この装置にはヘリコプタのセンタリングやストレートニング機能をもっているので拘束から移送までを1人で操作することができるそうです。



甲板に半埋め込み状態になっているのはヘリコプタの管制室で、LSOと呼ばれる飛行責任者がここに座り離艦・着艦の指示を行います。
ホバリングが出来るヘリコプタなら船に着陸することなんか軽い。
・・・なんてのは大間違いで、船は当然前に進んでいますし、波で上下に揺れています。
さらに横波で船がまっすぐ走っているように見えても横に流れている場合もあります。
この状態で速度をあわせて狭い飛行甲板に着艦するのは高い練度はもちろん、艦からの誘導は不可欠になります。



ヘリコプタ格納庫です。
通常は1機のSH-60JまたはSH-60K哨戒ヘリコプターを搭載しますが、必要に応じて2機の搭載が可能で格納庫もそれに対応する広さをもっています。
真ん中の柱は必要に応じて折りたたむことが出来るようです。
格納庫の上部には矢印がついているのが着艦誘導灯で、これでヘリコプター着艦の指示を出すようになっています。
格納庫はシャッタで閉じることが出来ます。




ヘリコプタ格納庫の中。
それなりの高さと広さがありますが、大規模なヘリコプタの整備を行うにはやはり狭いと聞きます。
中は整備機材が置かれていますね。



えっと・・・なんだろ?
聞き忘れてしまいました。
(世界の艦船やその増刊号、J-shipsの世界の名艦にものってないんだもん・・・)



艦尾です。
ヘリコプタ甲板から一段下がっているところに自衛艦旗、ホイップアンテナが設置されています。
自衛艦旗の旗竿は可倒式となっているようです。



艦尾を真後ろから。
「てるづき」と書かれた左右になにかありますね。
左舷側にはドアのようなものが、右舷側にはラッパのようなものがみえます。
ドアのようなものは中に水中曳航式ソナーシステム(TASS)が装備されています。
その名の通りソナーを長く伸ばして水中を引っ張って敵の潜水艦を発見します。
ラッパ状のものはデコイランチャです。
潜水艦などから魚雷攻撃を受けた場合、自艦に近い音を発生する囮を発射して魚雷を欺瞞します。


以上、護衛艦「てるづき」一般公開でした。
まだまだ続くよ。






平成27年度自衛隊観艦式一般公開
その1/その2/その3/その4/その5/その6


ブログ一覧 | ミリタリーイベント | 日記
Posted at 2016/01/04 01:13:05

イイね!0件



タグ

今、あなたにおすすめ

ブログ人気記事

今日ハイラックスいじいじしてもらっ ...
りゅうたぱぱさん

ふじキャン2年目最終泊
ふじっこパパさん

4/29 昭和の日(火)の朝‼️
ミッキーたんさん

父さんが夜なべをして…
THE TALLさん

深夜徘徊。真ん中編です。(*´▽` ...
KimuKouさん

大分福岡ブラリ
blues juniorsさん

この記事へのコメント

コメントはありません。

プロフィール

「佐久間挺長ほか潜水艇の慰霊塔がある鯛の宮神社は呉のタクシー運転手さんも知らない場合もあってちょっと行きづらいのですが、あのあたりは安芸地震で結構被害受けたみたいで爪痕がまだ残ってたりします。」
何シテル?   06/23 21:17
ミリタリー関係その他のブログはこちらへどうぞ http://minkara.carview.co.jp/userid/1224622/mylist/all...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2025/4 >>

  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930   

リンク・クリップ

桜開花 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2018/03/31 21:59:29
浜松広報館車両等展示イベント 
カテゴリ:ミリタリーイベント
2016/09/27 00:40:45
 
であごすてぃーにWW2傑作機コレクション14「九九式艦上爆撃機」 
カテゴリ:でぃあごすてぃーに
2016/09/27 00:40:01
 

愛車一覧

スバル R2 スバル R2
スバル R2に乗っています。 後席がちょっと狭いですが良い車ですよ(^^)
スバル レヴォーグ レガシィ後継車 (スバル レヴォーグ)
先代が事故で早期引退となってしまったため、導入されたレガシィ後継車です。
スズキ アルト スズキ アルト
10年ほど乗っていた以前の車です。 660CC規格になって初めて乗った車でした。
輸入車その他 その他 輸入車その他 その他
ブログ用の画像です
ヘルプ利用規約サイトマップ

あなたの愛車、今いくら?

複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!

あなたの愛車、今いくら?
メーカー
モデル
年式
走行距離(km)
© LY Corporation