2013年09月23日
GOLF7 GTIに試乗してきたよ
GOLF7が日本に導入されたのが今年の5月。それから数ヶ月、まだデリバリーも本格的には始まっておらず、メーカーオプションナビ装着車に至っては納車が来年2月とかいう話もあるそうです。そんな状況にも関わらず?VWでは矢継ぎ早にGOLF7の各グレードを揃えてきました。今月は正式発表がまだないのに、スポーティグレードのGTI試乗車まで一部のディーラー店舗に配備されてきています。来年に入ると、私のゴルフRくんの後継である新型GOLF Rも発売になるそうです。もう一気にラインアップが揃うことになりますね。とにかくバックオーダーだけは抱えてしまおうってことなのかな・・・?
なにげにVWサイトで試乗車を見ていたら、近くの店舗にGOLF7 GTI試乗車が配備されたことを知り、さっそく乗せていただきました(^_^)。GOLF Rを購入したばかりで当分購入予定のない私に対して、快く試乗させていただきましたディーラーさんに感謝します。
GOLF7については特にブログレポートしていませんでしたが、すでにハイラインとコンフォートラインを試乗させていただいています。今回のGTIを加えると、それぞれ1.4L、1.2L、2.0Lと3種類のエンジンを試したことになります。
今日試乗したGOLF7 GTIですが、当然ながら全体のボディシルエットはGOLF7そのものですし、GOLFの血統を色濃く感じます。先代のGOLF6とは兄弟のような感じですが、それもそのはずで寸法的にはGOLF6と大きくは変わっていないのです。、
GOLF7では、フロントグリルを走るラインのひとつがヘッドライトのレンズ内に延長され一体感のあるデザインとなっていますが、GTIになるとそのアクセントラインが伝統の赤い色になり、強くそのグレードを主張しています。赤いラインがフロントグリル部分だけであったGOLF 5/6やPOLOなどに比べてより一層目立っています。さらにドア側のフロントフェンダーには専用のGTIバッジが貼られています。確かにGTIはGOLF伝統のスポーティグレード(かつ上級グレード)なのですが、個人的にはすこしやり過ぎかなぁとも思いました。国産車ではエンブレムやステッカーで上級グレードであることをアピールすることがよくありますが、GOLFなどの欧州車ではあまり見かけなかったと思います。さりげなさがよかったのに。。。来年出る7Rを公式映像で見ると、フロントのアクセントラインはシルバーでおとなしめなのですが、やっぱりフェンダーのエンブレム(シルバーでRロゴ)は同様に主張していました(^^;)。GTIより目立たなくて良かったけれど、あんなエンブレムはいらないなぁ。
GTIに話を戻しましょう。外観ではもちろん前後バンパーのディテールやリアの左右2本出しパイプとディフューザーなどでもすぐわかりますし、少し変わったところではリアのハッチバック・グラス左右にルーフスポイラーから連続する形でアクセントフラップが設けられています(7Rにも装備されているみたいだけどこれって空力効果があるんでしょうか?)
ホイール・タイヤですが、GOLF6のデンバーやデトロイト(俗に馬蹄型とかレンコンとか呼ばれる)のデザインを変え、回転しているときにより美しく見えるデザインに変更されています(17インチがブルックリンで18インチはオースチンと呼ぶらしい)。写真のタイプはオプションのオースチン(18インチ)ですね。これらもGOLF6用と同じロナール社製なのでしょうか。タイヤはブリヂストンのポテンザS001、225/40R18でした。個人的にはポテンザは好みのタイヤで代々履き続けているので歓迎です。まあ、今回購入したGOLF6 Rに標準で付いてきたコンチネンタルも予想に反してグリップはなかなかよろしいんですけどね。
室内は特にダッシュボードやコンソールなどハイラインのピアノブラックとは異なり、うっすらとカーボン調でそれも光沢感の低いマット系のアクセントモールでした。カーボン調は悪くないけどマットに近いので思ったほど高級感が出ていなかったのが意外でした。私のGOLF Rではドアやダッシュボードのモールについて、ショップでカーボン調の塗装にしていただきましたが、光沢感があり7GTIよりもブラックの強い塗装をしているため高級感を損なわずに済んでいるのかも知れません。BMWに乗っていたときも(純正で)カーボン調マット系モールだったのですが、7GTIで見たモールよりはスポーティに見えていた記憶があります。7GTIのモールはカーボン模様が少し細かすぎるようにも思えます。難しいですね。
GOLFでは日本仕様車として初めてキーレス・スタートボタンが装備されました。欧米仕様車ではGOLF6からオプション装備だった機能です。このキーレススタートボタンを希望する人は多いようですが、私にはこれに対する思い入れが全くないのと、私自身キーを差し込んでスタートさせながらエンジンの始動を実感したいタイプなので不要な機能だと思いました。ブレーキを踏みながらシフト右横のスタートボタンを押し続けて数秒、ブルンとエンジンが始動します。この数秒が私には長かった(苦笑)。ちなみに、GOLF7ではGTIですらBlue Motion(アイドリングストップ)です。もちろん燃費には大きく貢献することは間違いないのですが、もう少しタイミング良く再始動してくれませんかね~。まあクルマがドライバーと同じような眼を持って判断してくれるわけではないから仕方ないんですけど。
ダッシュボードの配置はGOLF7共通で、基本デザインとしては好きですけど、国産車にもあるようなデザインかなぁとも思えます。いつも思うのですがVWはフロアコンソール周りの配置をなぜRHD(右ハンドル車)とLHD(左ハンドル車)で共通にしてしまうのでしょう?本来ならパーキングスイッチやDCCスイッチなどがドライバー側にあるべきなのに、これらの位置がLHDと同じであるため助手席側に寄ってしまって使いにくいと言ったら!! GOLF6まではこの部分にスイッチはなくて、不便なのはパーキングレバーだけだったのですが(それだけでも使いにくいです)、GOLF7になってスイッチが多く配置されているため使いにくさが目立ちます。BMWだってハンドルの左右に合わせてスイッチやパーキングなどを再配置しているのだから、この部分は是非改良して欲しいと思いました(GOLFすべてのグレードについて同じです)。
さて、乗り出します。
エンジンはGOLF6 GTIと同じEA888ながら、若干チューンしてトルクやピークパワーも上がっています。特に最大トルクは私のGOLF Rを上回るほどです。
乗り出して直ぐ感じたことは、うーん、やっぱりこれはGT(グランドツーリング)なんだなってこと。エンジンはこれっぽっちも荒々しさがなく、スムーズに回ります。低回転域は私のGOLF Rよりもずっとスムーズな感じです。でもさすがにRではなくGT系なので加速感にはそれ以上のものはありません。Rのようにグワッとくるような、半ば暴力的とすら言えるトルク感はありません。どちらかといえばハイラインの1.4Lターボに近い感じがしました。ちょっと踏み込んでやると確かにハイラインよりは力強く加速してくれますが、かなり踏み込まないとそれ以上の加速感はなく、GOLF Rのように血の気が引くような加速感にはなりませんでした。確か本国のデータでは0-100km/hはGOLF6 RのほうがGOLF7 GTIにくらべて1秒程度速いだけだったと思うのですが、されど1秒の違いはこれほど違うのかと思いました。GOLF7 RではGOLF6 Rに対してさらに0.5秒速いそうですから、こちらは益々血の気が引くことでしょう(笑)
7GTIのユーザー試乗レポートを最近読んだところ、発進加速時にフロントからスキール音がする(タイヤが空転しかかる)ほどの加速だとありましたが、そんなことは全くありません。そこまで乱暴な感じは全くないし、いまどき踏み込みが若干深めであってもスキールするようなクルマの出来具合だとしたら、足回りの設計だとかトラクション制御のクオリティを疑われてしまいます。しかもポテンザを履いてスキールなんかしたら、よっぽどクルマの出来が悪いですよね~。今回の試乗では確かにアクセルをベタ踏み出来る場所はありませんでしたが、加減速での車体の姿勢はとても安定していたし、タイヤが暴れそうな感じも全くありませんでした。足回りの能力がエンジンに勝っている典型的な例だと思いますし、それは安全にドライブする必要条件でもあります。GTIが本来のようにGrand Touringの目的に回帰しているなら、こうした特性は歓迎すべき事だと思います。だってスポーツ走行をしたいなら、"R"がありますからね。
そういう訳で今回はあくまで試乗だったため殆ど街中での走行。ワインディングでのコーナリングなど試したくても出来ません。なのでXDS+なども試乗では全くわかりませんでした(当たり前か:笑)。
そこで街中でも試せるDCCを切り替えてみました。
少し驚いたのは、DCCノーマルでもかなりコンフォートに振ってあるチューニングだったことです。ノーマルモードではステアリングもめちゃくちゃ軽かったです。スポーツモードにしてもあまり硬くはならず、これもかなりコンフォート系のセッティング。つまりDCCの選択による違いがあまり感じられませんでした。すぐ思い出したのですが、これはハイラインのDCCとそっくりで、ステアリングの軽さについてもよく似ていると思いました。少なくともGOLF6 Rのように3モードでセッティングが激変するDCCとは大きく異なります。7GTIではステアリングが軽いこととかなりニュートラルステアを意識したセッティングなので、中速コーナーなどではすごく自然でドライバーの意志に忠実に挙動してくれたのが印象に残りました。GOLF6 Rの場合、もともとバネレートをかなり高くしているため、コンフォートモードですら街中でもゴツゴツした硬いサスで、しかも少し重めのステアリングフィールをしていることとは大きく異なります。GOLF6 Rもかなりニュートラルステアを示しますが、どちらかというと自分からコーナーに対して積極的に突っ込んでいき、4WDとハイパワーの力を利用してコーナーから抜けていくような動きとは極めて対照的です。なので7GTIはあくまでファミリー向けでそこそこスポーティに乗りたいユーザー向けのセッティングでした。試乗車ではタイヤが18インチであるにも関わらず硬さを感じさせず、ハーシュネスもほとんど拾いませんでした。これはBMWなどの上級車を意識したセッティングだと思います。GTIはその名前の通り高速をハイスピードでツーリングするような目的のクルマであることを改めて感じました。
ただ気になった点を一つ。これは試乗車の個体だけと思いたいのですが、低速で角を曲がる際やコーナー出口でR(半径)が徐々に小さくなっていくような中速コーナリングの時に、一定以上舵角が大きくなったときやステアリングを切り増ししたとき、急にアシスト量が増えたような、カクッとした感覚とともにステアリングの軽さが増した感じが伝わってきたことです。GOLF Rではもちろん、ハイラインDCC装着車でもコンフォートライン(DCC非装着車)でも経験しなかったことです。ということは、ひょっとして例のプログレッシブステアリングの特性かもしれません。もちろんコーナリング自体に影響を受けるようなことはありませんでしたが、この部分は最後まで違和感が残り、あまり気持ちの良いものではありませんでした。
総合的に思ったことは、GOLF7 GTIは確かにスポーティグレードとしてその加速感などはそこそこ気持ちの良いものでしたが、GOLF Rのようなピュアスポーツグレードとはかなり異なり、その走りはあくまでジェントルでありラグジュアリー性が高いという意味でハイラインの延長線上にあるということです。ハイラインとRのどちらに近いかと問われれば、間違いなくハイラインに近いといえます。そういう意味で、今回のGOLF7で最もGOLFらしく、しかもコストバランスの良いグレードはハイラインではないかと思うようになりました。ハイラインは従来に比べてツインチャージャーからシングルチャージャーに落としてもなお程よい出力・トルクがあり、一般道においても十分な発進加速をしてくれますし、DCCがなくてもしっとりとしてすばらしくニュートラルなステアリング(もちろんファミリーユースとしての話です)、スポーツ用ではないけれど気持ちが良くハイウェイやロングツーリングにも耐えられるシート、好みでDCCも装備可能なサスペンション(各モード間での差があまり感じられませんでしたが)、ピアノブラック調で高級感のあるインテリアなど、GOLFのグレード感を一段上げてくれるような気がします。
このハイラインがGTIと比較して100万円近く安く手に入るのです。その一方で、もっとスポーツ走行をしたくて、コーナリング限界もずっと高く、耐入力性能の高い足回りや過激なほどのエンジンパワーで固めたければ、GTIでお茶を濁さずお金を貯めて"R"を購入するべきではないでしょうか。ハイラインの仕上がりが良いぶん、GTIが追い上げられてきているのかなと思いました。
そしてまだ出てきてはいないけれど、全く別物でピュアスポーツの7R。今年のフランクフルトで正式発表となりましたが、間違いなくGTIとはそのベクトルが全く違うでしょう。来年春にも日本投入になりそうなGOLF7 R。今から楽しみです。
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VWゴルフR | クルマ
Posted at
2013/09/23 21:58:00
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