3人という最小単位で作られたクリームは最初もっと牧歌的な雰囲気のバンドを目指したらしい。それはファーストアルバム「フレッシュクリーム」を聴いても伺える。
例えば「NSU」もライブに比べるとかなりのんびりした演奏になっている。
それがライブではまるでリミッターを外したクルマのように3人とも暴走して手がつけられないプレイになる。
私がクリームの生演奏から受ける印象はドロドロに溶けたマグマを連想する。
ファッションやジャンルとしてのヘビメタではなく無加工で剥き出しの「重金属」だ。
ジンジャーはクリーム時代を振り返って、大音量で演奏するのが苦痛で仕方なかったと言っていた。それまでドラムの魔神のようなイメージを持っていたのでとても意外だったが、一方でこの3人が出会ってしまった結果思ってもいなかった化学反応が起きてライブではそうならざるを得なくなったのではないかとも考えている。
実際スタジオ盤のジンジャーのドラムは羽根のように軽いタッチでレッドツェッペリンのジョンボーナムの力いっぱい引っ叩く感じのドラムとは対照的だ。(「荒れ果てた街」のスタジオ録音盤で特に顕著)
ジャックがボーカルの「包装紙」でも噛み付くようなライブでの歌い方とは正反対の優雅で古典的なポップスのようなナンバーでとてもこれがハードロックバンドのものとは思えない。
エリックがボーカルを担当した「エニィワンフォーテニス」などはまるでフォークソングだ。
クリームの本質はそういうバンドだったのだ。
ハードロックの元祖と呼ばれるようになったのは偶然の結果だったと私は考えている。
商業的な受けを狙ってやったわけではないから本物だと言えるのではないかとも思う。
その辺りがクリームの成功の後を追って生まれたレッドツェッペリンとの違いでもある。ツェッペリンは基本的にはスタジオ盤もライブのプレイもだいたい同じフォーマットだからだ。いや、その後のハードロックバンドも大体同じなのではないかと思う。
クリーム以外のロックの事などほとんど知らないのに昔から思っていた事なのでつい熱が入ってペンも暴走してしまいました。
偏った意見かも知れませんがかれこれ50年も聴いてきたバンドなので大目に見ていただけると助かります。
ブログ一覧 |
音楽 | 音楽/映画/テレビ
Posted at
2023/07/04 19:37:06