M5修理完了の連絡をもらい、再び伯父と二人で店へ向かった。今回はエグザンティアではなくCXで。
家を出発するとき、父が
「CXでM5取りにいくのかよ!大丈夫か?ミイラに乗ってミイラ取りに行くようなもんだな、アハハ」
私のCXの高い信頼性をご存知ないようだ。M5のように帰宅できなくなったことなど一度もない(各種お漏らしは数回あるが、故障のうちには入らない)
CXは父の毒吐きをあざ笑うかのように、めちゃくちゃ絶好調であった。エンコする気配は微塵もなく、あっという間に現地に到着した。
メカニック氏から説明をうけ、原因はやはりイグニッションコイルのパンクであった。新品に交換し完治したとのこと。
そしてお目付け役の私が試運転してみることにした。前回、給油するために500メートル程動かしただけで、まともに動かすのは今回が初めてである。
店から出て1速でスロットルを踏み込み、2速へシフト、素早く加速する。
その瞬間、私は目の形と色が変わるのを自分自身で感じた。
現在私が所有する車はお世辞にも魅力的なエンジンとは言い難い。ほどほどのパワーとトルク、バランスは優れているが、良くも悪くもフランス車のエンジンだ。
完調になったM5のエンジンには怒涛のようなパワーとトルク、官能、ドラマがあった。
そして、3速に入ったとき、物凄い勢いで理性のESPが作動した。そして心の中のもう一人の私が話かけてきた。
「現在、春の交通安全週間です。いろんなところに法の象徴がいますよ!しかもあなたはシトロエン命はず、BMWにほだされている場合ですか?」
私はすぐさま右足を緩めた。M5は「なにやってんだよ~!もっと踏め!エンジン回せ!」と私に語りかける。
しかし、私は誘惑に打ち勝ち、そのままチンタラ走って店に戻った。たった5分の試運転であったが、めちゃくちゃ疲れた。
10年前の私だったら、M5の誘惑に負け、黒白ツートーンのクラウンの後部座席の人になったかもしれない。年をとったのか、分別がつくようになったのか、自分でも分からない。
伯父と別れた店の帰り道、CXに乗りながら、セルフセンタリングを自由自在に操り、ウィンカーを忘れずに戻し、OHV+3ATでゆったりクルージングしている自分を客観的に見た時、昔の自分と今の自分の違いが少し分かったような気がした。
妻子へのお土産を買い、帰路につく。高速道路では80キロ~90キロでのんびり走っていた。速く走ると、早く家に着いてしまい、必然的にCXとの触れあいの時間が短くなってしまうから、飛ばさない。軽自動車にぶち抜かれようが気にしない。今、私はCXと肌を重ねているのだから・・・
無事家へ到着すると、父が
「どっちも無事に帰ってこれたようだな。」
と相変わらず毒を吐いていた。
M5との戦いは始まったばかりである。我々「三陸クラシックカーディーラーズ」の悪戦苦闘は果てしなく続くのである。


Posted at 2013/04/19 23:37:15 | |
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