2012年12月06日
以前、妻の所有車がとことん嫌いで本気で代替えしようと思っていた。エアコンを使用しない季節の通勤はリッター6キロ、エアコンを使用すると、リッター4キロ!!というとてつもない燃費を叩き出していた。おまけにスペースの問題なのか、燃料タンクの容量が45リッターで、通勤に使うと満タンからエンプティーランプが点くまで200キロちょいしか走らないという激烈にエコじゃない車だった。ちなみにこの車は、12気筒のジャガーでも、戦車でもない、4気筒2リッターの我が国の車であった。
乗り心地の悪さもあり、ほとほと嫌気がさしていたので、妻と相談して、妻が好きなとある北欧の車のカタログを入手し、いろいろ下調べしていた。
オプションや内外装の組み合わせ等、いくつか疑問やわからない部分が出てきたので、わざわざディーラーへ出向いた。
最初に対応してくれた営業さんにそれらの疑問や不明箇所を聞いた。そうしたら
「ちょっ、ちょっ、ちょっとお待ち下さい!」
と言い残し、奥の部屋に消えていった。
部屋から戻ってきて
「その組み合わせは大丈夫ですね。」
次なる質問をしたら
「えっ~と、う~ん、は~ちょっ、ちょっ、ちょっとお待ち下さい!」
また奥の部屋に消えていった。
しばらくして部屋から出てきて
「そのオプションは取り付け可能です。」
次なる質問をしたら
「は~、うんっ、うんっ、ふ~あ~、ちょっちょっちょっとお待ち下さい」
また奥の部屋に消えた。
また戻ってきて
「それは選べませんね~」
私はこの時点でこの車を買う気を完全に喪失していた。
いったい奥の部屋にはなにがあるのだろうか?
けっして私は難解な質問をしていたわけではない。その車に対するごく普通の質問であった。
私が仕事中、もしこの営業さんと同じことをしたらどうなるであろう?
客「右下の歯が痛いんですが」
私「ちょっ、ちょっ、ちょっとお待ち下さい!」奥の部屋に消える。
部屋から出てきて
「あっ、それは虫歯ですね」
客「歯茎から血が出るんですが」
私「ちょっ、ちょっ、ちょっとお待ち下さい」奥の部屋に消える。
部屋から出てきて
「それは歯茎の炎症ですね」
その瞬間にお客様は帰り、二度と来ないであろう。
プロフェッショナルとしての自覚はないのだろうか?ある程度勉強して知識を貯えておくのは、その仕事でオマンマ食っている人間として当然ではなかろうか?
かつて私の恩師は
「自分が勉強して得た知識って、自分を守る武器になるんだよな」
と言っていた。
あの時、あの営業さんが私の質問に的確に即答してくれていたら、現在妻は間違いなくその北欧車に乗っていただろう。でも今乗っているのはプンさんであり、またしてもあの方から買ったのである。すべての質問に的確に答えてくれて、自らの経験にもとづいて、感性に訴えかける説明をしてくれたからである。真のプロ根性を見せらつけられたような気がする。あの人からだったら、羽毛布団のセットや腰痛に効く電気治療機さえも買ってしまうかも。
しかし、とりあえず次買うのはピストン2個付きのエンジンかな?

Posted at 2012/12/07 00:42:04 | |
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