
数日前の出来事、私は伯父と二人で所用がありカングーで出掛けた。エグザンティアで行かない理由は天気が悪かったからである。 我がエグザンティアも今年で20歳である。そろそろ「種の保存」を意識し出したため、天気や路面状況の悪い地域に出向く場合は、クサラブレーク、プンさんや伯父のカングー等、年式が新しい若者(車)に活躍してもらっている。
しかし、私のエグザンティアに対する愛が仇になるとは、出発時には微塵も思ってなかった。
伯父が運転し、家を出て20分程経った時だった。国道を時速60キロ程で走行していて、前方の信号が赤になったので減速し、スピードが40キロ位になったとき
ド~ん!!
かなり激しいショックが私達を襲った。
私は間違いなく追突されたと思った。
「まったく、このクソ忙しい時に追突する不届き者はどんなヤツだ!」
と私は後ろを振り返った。
しかし、後ろに車はいなかった。そうしたら伯父が
「メーターに警告が出てる!」
と。私がメーターを覗き込むと「チェックギアボックス」と表示が出ている。
「おっ!もしやこれが噂のDP0&AL4の故障か?」
私は不謹慎にも期待に胸が膨らんだ。
信号が青になったので、発車しようとしたら
「全然加速しね~」
と伯父。カングーの加速は散漫極まりないモノであった。
「お~!!これが噂のエマージェンシーモードの3速固定か!!」
私はさらに不謹慎なことに、心が踊った。
しかしこのままでは周囲に迷惑がかかるので、路肩に車を寄せ、一旦エンジンを切った。これはこの筋の車の故障発生時には欠かせない行為である。
再始動後は3速固定も解除され、何事も無かったかのようにカングーは走り出した。
しかし、次の信号でまたもや
ド~ん!!
ダメだこりゃ!面白がっている場合ではない。目的地はまだ遠い、私は苦渋の決断をし、家に引き返してエグザンティアに乗り換えることにした。クサラブレークでも良かったのだが、心情的にAL4には乗りたくなかった。
家までの間、赤信号の度にエンジン停止→再始動を繰り返し、なんとか到着することが出来た。
エグザンティアに乗り換えて出発。スムーズに変速するエグザンティアのAT。私はZF4HP22を神だと思った。年々信頼性が上がっているとのことだが、やはりAL4&はDP0は、ZFやアイシンのATに比べて「バカマチック」である。
そして無事に用事を済ませ帰宅した。エグザンティアは全工程200キロ、ノートラブルであった。しかしボディーは雪融け水と泥でメチャクチャ汚れてしまった。しかし、その姿は凜としていて、まさに「汚れた英雄」の風格が漂っていた。是非とも草刈正雄氏に見て欲しいと思った。
私は行き付けのコイン洗車場に直行、一心不乱にエグザンティアを洗車した。寒さで私の顔からは鼻水、涙、ヨダレ、汗、湯気等、顔から出る可能性のあるほとんどの液体気体が出ていた。出なかったのは耳ダレと血液くらいであった。洗車後、ふと我に帰り、周囲を見回すと、洗車しているのは私だけだった。気温-5℃の中、洗車している輩は私くらいであろう。あまり寒さを感じなかったのは、エグザンティアに対する燃えたぎる愛情のエネルギーのおかげであった。
カングーは2年落ち、エグザンティアは20年落ち、古い車の方がATに関しては信頼性が高いとは皮肉なもんだ。
「技術の進歩は、必ずしも人を幸せにしない」
これは敬愛する福野礼一郎氏の言葉で、以前某N氏が私に教えてくれた。
仕事場の窓から、カングーがディーラーの積載車でドナドナされていく姿を見ながら、私はふとその言葉を思い出した・・・。

Posted at 2013/01/28 00:09:53 | |
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シトロエン エグザンティア | モブログ