ある日の夕飯時であった。家族で様々な話をしていて、父とクラシックカーディーラーズの話をしていた時の事。父が急に人生最後の車の話をし始めた。
「人生最後の車は、左マニュアルで、しかもシフトチェンジをプッシュ&プルでやる車がいい」
父は以前から
「紅葉マークを貼ってまで車を運転したくない。大好きな車で人に迷惑をかけたり、交通を乱したくない」
と言っていたので、運転できる期間はあと10年である。
私は
「4の方は、私のルートではなかなか見つけれないが、2の方ならなんとかなるかも」
と話した。
父は
「オーケーオーケー!色は贅沢言わないが、できればチャールストンカラー以外がいいな~」
まるで暗号のような会話であるが、フランス車に造詣の深い皆さんならお分かりであろう。
そして奇跡的に1台見つけることができた。しかも立ち回り先で(笑)
父に報告したら、ものすごく喜んだ。しかも最近見た古いフランス映画で奇しくも同じ色の車が登場して、いいな~と思っていたそうなのだ。
それから1ヶ月後、父が体調不良を訴え、病院に行った。精密検査の結果、父の身体は危険な状態であることが分かった。
本人にも病状は伝えられたが、父は冷静だった。そして
「悪いが2CV頼むよ。」
と言った。私は心の底からマグマのような闘志が沸き上がってきた。不思議と悲しい感情はなかった。父が初めて私にモノをねだった、その事が私の心に火をつけた。母もアニエッリもガタガタ言ってきたが、問答無用!!車バカ息子の車バカ親父に対する最大かつ最後の恩返しだ!
春になったら、父と二人でシフトをプッシュ&プルしながらゆっくりドライブする日を夢見ている。
私にとってシトロエンという存在は「車」を超越しているのである。
残された時間はわずか、全力で「シトロエン愛の道」を進んで行こうと思っている。

Posted at 2014/01/13 11:39:46 | |
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