『図書館戦争 THE LAST MISSION』

この映画シリーズはホントに曲者。
いったい何処にファン層があるのだろうか？

ちょっと調べてみたら原作はラノベなんだ。
その後メディアミックスされて実写映画化まで展開した訳ね。
なるほど。
原作は『星雲賞』を受賞してるんだ、確かにデストピアＳＦとしての観方もある。
でもそれだけじゃ多方面展開できる程の人気を得る事は出来る訳ないし、
やはり映画作品でも描かれている『ラブコメ』部分が、人気の核心部分で間違いないでしょう。
『ラブコメ』描くにしては舞台装置が大掛かり過ぎ。
個人的に、きな臭く感じる要素をふんだんに盛ってて、ちょっと苦手な作品です。

ラブコメ部分にあれこれ感想というツッコミを入れるほど野暮ではないので、
大掛かりな舞台装置について想う事など少しだけ。

『立法権』が存在しない世界観に違和感いっぱいでした。
けっして独裁政治の世界観ではなく、『司法権』と『行政権』は描かれているのに『立法権』の
姿が見えないなんて。
司法と行政は描かれているというより、その二つの権力を前面に出しているのがこの作品の
特徴です。（それが原作者の狙いなんだろうか？）
登場人物の99％が公務員。
図書館を舞台にした国家公務員と地方公務員の戦争ごっこ。
映画では、この戦争ごっこの描写に防衛省の協力を得て描いていて、リアル。
図書隊精鋭部隊の殲滅を狙い、メディア良化隊が包囲殲滅戦を仕掛けてくる。
ただそれだけの内容の映画です。（ラブコメ要素付）

この映画の最大の問題点は、防衛省の協力を得たリアルな包囲殲滅戦をひたすら描いているのに誰も死なない事。
人が死ぬリアリティの欠如。
だからすべてのリアリティが希薄。

検閲のある世界。
立法機関の不在。
世の中を変えられる有権者の姿の不在。

逆に、製作者側が意図してこの希薄感を描く事で「問題提起」をしているのなら
大したものです。