
この記事は、
トヨタ、クラウンをフルモデルチェンジについて書いています。
日本の高級車を代表するクラウンが5年の歳月を経て14代目がデビュー。基本的なシルエットは先代とそっくりでありながら、かなりアグレッシブなデザインに変化を遂げた。
今回も歴代のモデルと同様に、5年のサイクルでのフルモデルチェンジ。先代からプラットフォームをキャリーオーバーしている(先代もゼロクラウンからキャリーオーバーの模様)が、グレード構成やキャラクターを一気に変更。主なトピックは大型グリルを用いれた若々しいルックスと、ハイブリットモデルを含むグレード体系の変化。
まずは内外装の変化について。

新型クラウンアスリート フロント

新型クラウンロイヤル フロント

先代クラウンハイブリット フロント
全体のシルエットや、ドアミラーとドアハンドルの形状等を踏襲しつつも、顔つきが大きく変わったことで印象が大きく変わっている。ヘッドライトはやや細身に変化し、グリルはラジエーターグリルとバンパー下のアンダーグリルを繋げたアクの強いデザインとしたことで、レクサスのようなアクセントの付け方になっている。
アスリート系とロイヤル系の差別化も顕著であり、前者はアンダーグリルの幅を狭め、稲妻のような輪郭にすることでスポーティさを強調。合わせてフェンダーやボンネットの形状も変更されており、アスリートらしい筋肉質なデザインになっている。

新型クラウンロイヤル リア

新型クラウンアスリート リア

先代クラウンハイブリット リア
リアも基本的なシルエットは同じなものの、トランク周りの形状が大きく変化した。ウェッジシェイプからハイデッキなトランクにつながる形から、トランク中央のみを持ち上げた形状に変更。躍動感を保ちながら、重心が低い印象を加えることができた。一方、マフラーディフューザーはオミットされている。マークXでもモデルチェンジを機に無くなったため、近年のトヨタでは採用しない方向になったようだ。
ちなみにボディ寸法は全長25mmプラスの4895mm、全幅は5mmプラスの1800mm。ホイールベースは先代と共通の2850mmで、18インチを履くグレードでも最小回転半径はプリウスの標準グレードと同じ5.2mとかなり優秀。

新型クラウンアスリート 内装

新型クラウンロイヤル インパネ

先代クラウンハイブリット インパネ
インパネはより立体的なデザインとされ、ナビの下部に加えられたTFTタッチディスプレイで空調等を調整できるようになったことでボタンの数が大幅に減った。
ドアハンドルやシフト周りの位置構成などが先代と共通なところは、キャリーオーバーゆえか。
続いてグレード体系の変化について。先代はアスリートとロイヤル、後から追加されたハイブリットの3つの系統に分かれていたが、今回はアスリートとロイヤルにそれぞれハイブリットモデルが追加され、ハイブリット専用の系統は消滅した。同時に3リッターV6モデルが無くなったことで、ロイヤル系は2.5リッターオンリーとなった。2.5リッターと3.5リッターの組み合わせはライバル車のフーガと全く同じ構成だ。
そして最も変わったのがハイブリットのパワートレーン。3.5リッターV6エンジンからカムリハイブリットの2.5リッター直4エンジンを直噴化させた2AR-FSEに変更し、システム出力は345psから220psに落ちたものの、燃費は14.0km/Lから23.2km/Lへと大きく改善され、価格帯も540万~620万円から410万~543万円とかなり下げることができた。
ダウンサイジングの意味は流行に合わせて、と考えるのが普通だけれども、実は無くなった3リッターグレードの代替えの意味も持っているそうだ。実際、システム出力は2.5リッターのV6エンジングレード越え、当然燃費は段違いに良いので上位互換として考えることができる。それでいて価格は先代ハイブリットより大きく下がったので、比較的若い人でも手が届きやすくなった。クラウンは個人タクシーとしても需要があるので、ハイブリットでタクシーをしたい人にも嬉しい結果になりそうだ。
ここまでまとめたことを考えると、トヨタはクラウンユーザーの年齢層を若返らせたいと思っているように思える。過激なグリルを選択肢たり、高出力より低価格を選択肢たり。これは近年のトヨタのセダンの展開事情が影響しているようで、セルシオがいなくなった事によるマジェスタの上級化や次期マークXのFF化に合わせた低価格化なのかもしれない。
それにしても、かなり冒険したデザインになったが大丈夫なのだろうか。クラウンユーザーは大きなデザインの変化を嫌う人が多いことで有名で、あまりに奇抜だった4代目(通称クジラクラウン)はこれまでのユーザーを振り向かせることができなかったらしい。9代目も比較的コンサバなデザインであったものの、リアランプの間にナンバープレートを挟むレイアウトではなかっただけで人気が落ちてしまったそうだ。その後、マイナーチェンジにてレイアウトを戻したところ、販売台数が戻ったそうな。

9代目前期

9代目後期
しかし今回のトヨタは強気にこの路線を押していくようで、来年にはピンクのカラーリングも追加する模様。シャア専用オーリスよりもシャアらしい色合いだ。
セロクラウンの時も心配だったが、今回もすんなり受け入れられると良いのだけれど。いっそ若者のためのクラウンを出すならば、FJクルーザーのノリでクジラクラウンを復活させてくれないだろうか。4リッターのパイクカーを315万円から販売できるのであれば、2.5リッターのクラウンベースで250万円ほどで販売できないだろうか。

Posted at 2012/12/30 00:50:25 | |
トラックバック(0) |
ニューモデルレポート | クルマ