この記事は、
メルセデス、Aクラスをフルモデルチェンジについて書いています。
欧州では昨年秋から販売されていた新型Aクラスが、ついに日本でも販売開始。二重フロアボディから脱却したニューモデルは先代とは異なるコンセプトを持ち、新たなニーズを開拓すべく開発されたようだ。
今回のフルモデルチェンジの最も大きなトピックはロー&ワイド化によるボディ形状の変更。新開発の1.6リッター直4・直噴ターボと7速デュアルクラッチ採用による低燃費化もトピックだが、それを踏まえてもスタイルの変化は大きい。今までの方向性とは全く違った車になってしまったからだ。
初代Aクラス
2代目Aクラス
新型Aクラス
新型のボディサイズは全長4290mm×全幅1780mm×全高1435mm、ホイールベースは2700mm。先代と比較して405mm長く、15mmワイドで、160mm低くなった。
ノッポだった先代までのAクラスとは打って変わり、ワイド&ローを強調したシルエットに変貌。ボディのプレスラインも複雑なものとなり、ソリッドかつマッシブだった先代より、艶やかさを重視したデザインになったことも大きな特徴。
また全長が4000mmを超えた事により、BセグメントからCセグメントにクラスアップしたと考えていい。これによりBMWの1シリーズやアウディA3やゴルフと競合することになるだろう。特に1シリーズは高級コンパクトの先駆けとなっており、メルセデスとしても、かなり1シリーズのことを意識していると思われる。メルセデスとしては、シェア奪還かけたアンチ1シリーズとして開発したというのがホントのところだろう。
内装は上級車種にあたるBクラスに準じたデザインだが、ダッシュボードはかなり低い。全車にリアビューカメラを標準装備としているが、ダッシュボードが低いこともあって、オンダッシュに配置されたディスプレイがやや目立つ。シートもヘッドレスト一体型スポーツシートとなっており、スポーティな雰囲気は充分。
エンジンは1600ccと2000ccの二本立てで、共に直噴仕様の直列4気筒DOHCターボとなっている。1600cc仕様は先代と比較して最高出力を6ps、最大トルクは45Nm向上させつつ、燃費を34%改善。一方、2000ccはAMGと共同開発され、足回りも専用品。ダイナミックなエアロも装備されたかなりアグレッシブなモデルとなっている。
今回、ここまでスタイルを変更できたのは最初に述べた通り、二重フロアボディから脱却したことにある。
初代Aクラスはもともと蓄電池や燃料電池を動力源とした電気自動車用として設計、開発された経緯があり、大きなバッテリーを二重化されたフロアでサンドイッチするかたちで搭載することを構想していたらしい。結局、燃料電池等の開発が遅れ、一般的なFFハッチバックとして販売が開始。二重フロアボディはそのまま残り、前面衝突時のエンジンの潜り口として生かされ、衝突安全性の改善に一役買ったとか。
しかし、二重フロア化によって重心が高くなるという弊害が発生。もともとノッポな体格であったため、横転しやすいのではないかという風潮まで流れてきてしまった。価格は236万円からとメルセデスとしては破格だったものの、当時のメルセデスの低コスト化によるクオリティの悪化により、初代Aクラスはあまり良い評判を得ることができなかった。前衛的な車だっただけに、安かろう悪かろうという評価がついてしまったのは残念だ。
2代目Aクラスはやや大型化したものの、二重フロアも含めてキープコンセプト。初代ほど話題にはならず、セカンドカー需要を手堅く抑えていたようだ。
そして新型のデビュー。デザインはSLSを担当した若手デザイナーが起用され、全く別の車になった。ターゲットユーザーは30代から40代。セカンドカーではなく、ファーストカーとしてより多くの人に乗って貰いたい。そういう思いがあってのフルモデルチェンジだった。今では先代Aクラスをそのまま大きくしたBクラスがある。それと差別化を図る事もあって、Aクラスの方向転換にメルセデスは迷いはなかったはずだ。
Posted at 2013/01/23 01:34:43 | |
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ニューモデルレポート | クルマ