
この記事は、
ダイハツ、「ムーヴ」をビッグマイナーチェンジし発売について書いています。
ダイハツを代表する車種、5代目ムーヴにビッグマイナーチェンジが行われた。まだデビューから2年しか経っていないものの、ライバルのワゴンRのフルモデルチェンジやN ONEなどの新たなライバルの登場に対抗するべく、かなり気合の入った改良となっているようだ。
今回のマイナーチェンジのトピックはe:Sテクノロジー第2弾による低燃費化やスマートアシスト搭載による安全性の向上、大幅な内外装の変更など。とても2年しか経っていない車がするようなレベルではないほどに改善されている。
まずは低燃費化について。e:Sテクノロジー第2弾とは、一般的なガソリン車でありながらハイブリット車並の燃費を叩き出す、第3のエコカーとして好評なミラ イースの技術をさらに改善させたもの。
主な改善として上げられるものはCVTサーモコントローラーの搭載で、軽自動車初採用のものなのだそうだ。このコントローラーによってエンジンとCVTの温度を相互に最適化することができ、燃焼効率と動力伝達効率を高めることに成功。結果、宿命のライバルのワゴンRを0.2km/リットル上回る、クラストップの低燃費を実現できた。
続いてスマートアシストについて。これは約4~30km/hでの走行時にレーザーレーダーが前方車両と衝突する危険性が高いと判断すると、ドライバーにブザーやインジケーター表示で警告をし、その後も回避操作が無い場合は緊急ブレーキが作動するというもの。近年ではアウトランダーやフォレスターなどの普通自動車やup!などの輸入車にも搭載されている技術で、これまた軽自動車で初採用のものとなる。
一般的にこのような衝突回避支援システムは一部のグレードのみの採用だったり、搭載時にはかなりの高額になることが多かったが、ムーブのそれはターボエンジンモデルを除く、各グレードに装着仕様が設定され、価格も5万円と大変低価格。
この低価格には、他社と違ってカメラとかミリ波などを使用せず、レーザーレーダーを用いたことが貢献しているそうで、堀伸介取締役の発言によると「すべてが万全では無いところも当然あるが、やはり低価格でより広いお客様に使って頂くことを、まず主眼にした」とのこと。ターボグレードに搭載できないのが残念だが、「今後発表されるダイハツの車両すべてに「スマートシステム」を搭載する構えである」との発言もあるので、かなり期待しても良さそうだ。
そして、内外装の変更の変更について。先にノーマルとカスタムの外装から。

マイチェン後 フロント

マイチェン前 フロント

マイチェン後 リア

マイチェン前 リア
前期型はボンネットがかなりスラントしていたのに対して、後期型はカスタム系と同様にボクシーなスタイルに。フェンダーの形状はそのままで、ボンネットやヘッドライト、バンパーを変更したことで印象が一気に変わった。
デザインは前期型も担当された方が行ったそうで、「マイナーチェンジ前のモデルは、ワンモーションフォルムであったのに対し、今回はフードを持ち上げて、フロント周りを大きな塊で見せることで安心感を表現しました。また、水平、垂直の線分を使って、見た目の安心感、安定感をしっかり見せています」とのこと。確かにこのほうが安心感があるし、運転席からボンネットの角が見やすくなって運転もしやすくなりそうだ。一方、リアに関してはテールランプのデザイン変更のみにとどめている。
次にカスタム系の外装。

マイチェン後 フロント

マイチェン前 フロント

マイチェン後 リア

マイチェン前 リア
こちらもフロントはフェンダー以外を全取替え。マイチェン前は先代のようにライトがぱっちりとしたデザインだったが、今回はややスティングレーを意識してか鋭い目つきに。グリルは大型化され、押し出し感が強調されたことで軽自動車らしくない、もう一つ上のランクの存在感が与えられている。こちらもリアはテールランプのデザイン変更のみ。
ちなみにホイールが小さくなったのは燃費改善のための変更であり、今回のマイチェンよりも以前に行われた変更となっている。
次に内装の変更点について。

マイチェン後 ノーマル

マイチェン前 ノーマル

マイチェン後 カスタム

マイチェン前 カスタム
センターメーターから一般的な運転席よりなメーターに変更。ダッシュボードは高くなり、同時にオーディオスペースも高い位置に変更された。インパネ全体が整理されたことでオープントレイを4か所設けることが出来、使いやすさが向上。
シボもざらついたものからマットなものに変更されプラスチッキーさが減少。エアコンの吹き出し口にも蓋が付き、大幅に質感が向上した印象だ。そしてカスタムには安定のMOMOステ装備。
ワゴンRとほぼ同時期にデビューし、両者凌ぎ合いながら進化を続けた両車。近年ではホンダのNシリーズも盛り上がり始め、今も接戦が繰り広げられている。ワゴンRは軽自動車界のカローラのごとく、MT車を復活させたりなどコンサバ化を進め、だれが乗っても不満の出にくい八方美人に成長し、ホンダのNシリーズは今までの軽自動車と違った高い質感を打ち出す方向性に手を伸ばしてきている格好だ。
対するムーヴが何をとったかと言うと、普通車からのダウンサイザーからの需要を満たすためだったりする。軽自動車初のCVTサーモコントローラー、スマートアシストの搭載、フロントのボリューム感を持たせたのも、センターメーターを通常の位置に戻したのも、全ては軽自動車らしさを払拭させるため。しっかりとニーズを定めた改良が詰まっていたということだ。
一方、今まで軽自動車に乗っていたユーザーにもやさしく、クラストップのリッター29kmを達成したうえで、入口価格は107万円を実現したのはすごいこと。ボンネットをノーマルとカスタムで同形状にしたり、ミラ イースで設計したシート骨格を新ムーヴでも共通使用したり、ワイヤーハーネスの部品統廃合など効率を徹底し低価格化を実現させるなど、品質を落とさずに価格を下げる工夫が徹底されている。恐らく、カスタムのヘッドランプの目尻が不自然に垂れているのも、固定用のネジ穴をノーマルグレードと共用させるための工夫かもしれない。
新型ワゴンRは減速エネルギー回生技術という、どちらかというとハイブリットカー的な技術を用いて低燃費化させたのに対し、ムーブは機械的な効率を高めることで燃費を改善させるという、対照的な手段をとったことが面白い。軽自動車である以上、車両価格を抑えながら低燃費化を達成させるというテーマを違った切り口で叶えることができた。軽自動車といえど、かなり完成された車であることは確かなはずだ。
Posted at 2012/12/26 00:00:17 | |
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