最近はやや落ち着いていた病状 ( とりあえず買っておく 症 ? ) が久々に再発しまして ・・・
つい 。
現在書店に並んでいます
" Racing on " 483 号
特集が
" ウイングカー の時代 " ということで気がつくと手元に ・・・
( 勿論 お支払いはちゃんとしてきたと思いますが )
内容はチームロータス が 1977 年に F1 に導入し確立したグラウンドエフェクト が 、 禁止される 1982 年までの流れ と それに対する各チームの動き等を紹介する形になっています 。
チームロータス の F1 や グラウンドエフェクトに関する本はこれまでにも幾つか購入していて重複している内容の部分も多いのですが 、 それでも今号を読むことで新たに知ることが出来たところも有りましたし 「 なるほど こういう解釈も出来るのか 」 と再発見が出来たところも 。
こうした内容の本が発売されると 「 既にいろいろ持っているじゃないか 」 と分かってはいてもついつい手が出てしまいます 。
懐かしさ や 恨めしさ ? と共に思わず笑ってしまったのが冒頭の
リジェ JS11 の写真 ( P 6 ・ 7 )
1979年シーズン開幕から暫くの間 「 なんで リジェ ごときに タイプ 79 が勝てないんだ ・・・ ! 」 と思われていた ロータスファン の皆さんも多いのでは ?
( 自分だけでしょうか 、 リジェ ファン の皆さん すみません )
スライディングスカート の部分に KONI や SKF といった テクニカルサプライヤー の社名が入っていますが 、 ダウンフォース が強くなるにつれて隠れてしまう場所なのでサプライヤー側から見た場合位置としてはどうなんでしょう ?
付録の ? ○○○○○○ 実験キット にも笑ってしまいました ( さすがに本は切れませんね 、 やはりもう1冊買うべき ・・・ いや ここは 布教用に 3 冊目も ? ! )
P 14 からは
" 翼断面マジック盛衰史 " としてチームロータスで タイプ 78 ・ 79 他 の空力面を担当した ピーター ・ ライト が紹介され タイプ 78 から 88 に至る開発の概要が解説されていますが 、 これ以前の F1 へウイングが導入されるようになってから各チームで行われていたアイデアにも非常におもしろいものを感じます 。
F1 でのウイング は 1968 年 第3戦 モナコ にてチームロータス が G ・ ヒル の 49 B に初めて フロントウイング を装着し 、 その後流れる空気の乱れが少ない高い位置にセットすることでより大きな効果を狙って 第7戦 イギリス にて ハイマウントウイング を導入 。
他チーム もそれに前後してウイング を積極的に採りいれるようになっていきます 。
しかしハイマウントウイング は 1969 年 第2戦 スペイン にて 49 B のウイングの支柱が折れることにより ドライバー の リント が負傷してしまいそれをきっかけに 第3戦 モナコ から禁止に 。
こうした中で ちょっと見にくいですが ハイマウントウイングの破損に危険性を感じていた BRMチーム は別の方法で同等以上の効果を得るプランとして 1968 年に当時の P 126 のボディサイド部分にウイング形状のパーツ を装着してテストをしたり
後の ロータス タイプ 80 や アロウズ A2 にも通じるようなボディ全体をウイング化 する構想を練っていました 。
当時の BRM チーム で これを主導していたのが 後にロータス へ移籍し タイプ 77 と並行する形で ロータスエンジニアリング において タイプ 78 を開発していた トニー ・ ラッド で 一緒に参加していたのが今回の記事に登場する ピーター ・ ライト です 。
しかしこの計画も風洞実験レベルまでは行われたものの BRMチームの内部抗争 からトニー ・ ラッド が辞任 、 後に ピーター ・ ライト も チーム を離れた為計画は中断となり実現化されることは有りませんでした 。
ライト はその後マーチ に移りこうしたウイング形状のサイド燃料タンク も試していますが 、 1974 年にロータスへ加入 1975 年から始まる タイプ 78 開発に ラルフ ・ ベラミー 、 トニー ・ ラッド 等と共に参加しています 。
しかし まだ ハイマウントウイング が最新の時代に早くもこうしたボディ全体をウイング化することが考えられていたことには驚いてしまいますね 。
記事には他のチーム のことも書かれていますが やはり
" ウイングカー " といえば
主役はチームロータス でしょう 。
P 40 からは Machine Gallery として CTLJ の タイプ 78 4 号車 や CTL でレストア中の タイプ 78 1 号車 ・ CTL保有のタイプ 79 3 号車 がページをとって解説されているのですが ・・・
自分が気になったのが P 43 の 記事
CTLJ のタイプ 78 4号車 は今後
「 8 月から 久保田代表により北米でのヒストリックレース に参戦の予定 」 となっています 。
これが事実だとすると以前掲載した 英国に行ってしまった可能性が大かもしれない
タイプ 79 ( ML 23 ) 程では無いとしても 、 シリーズ参戦だととすれば 今後暫く タイプ 78 は日本に戻らず JLD 等でのデモラン も見ることが出来無いかもしれませんね 。
もし そうだとしたら JPS F1 のデモランを楽しみにされている皆さんも多いと思うので大変残念なことでも有りますが ・・・ 。
チームロータス の ファンカー計画
P 52 からはそれに対するライバルチーム の動き として ブラバム ・ フェラーリ ・ その他 ? という形で紹介されているのですけれども 、 僅か 1 戦の実績ながらやはりこの当時のもう一つの主役と言えば
" ファンカー " ブラバム BT 46 B 。
( 個人的には今回その他になっていますがこの当時突如チームロータス最大のライバル になった ウィリアムズ もブラバム ・ フェラーリ 同様個別にしても良かったのでは ・・・ と )
BT46 B については既に多く語られていますが ( ピット では ポリバケツ の蓋で ファン が隠されていたとか ) これが認められた場合に備え、 チームロータス でも タイプ 79 に ファン を付ける動きが有った というのはあまり見かけることが無いような気がします 。
スウェーデン GP ではチャップマン も
かぶりつき ! でチェック 中 ?
( 現在ではとても出来ないことですが )
アンドレッティ によれば 予選時
「 160 km までは BT46 B のほうが速く 、 それ以上の速度域になると タイプ 79 のほうにアドバンテージ が有る 」 とのこと 。
これは もしかしたら特性的に 駆動源の力でファンを回してダウンフォース を発生させる ファンカー は中低速でも効果が出る メカニカルスーパーチャージャー 的で 、 片や車速が高速になるほどベンチュリー に流れるエア の流速が増すことにより ダウンフォース が増える ベンチュリーカー は 低速からのターボラグが問題になる反面中高速域での効果が絶大な排気タービン 的な 感じなのかもしれませんね 。
BT 46 B については
" スウェーデン での勝利は認めるが以後のレースへは出場禁止 " という 当時の FIA 裁定 となっていますが 、 それにはこんな遣り取りも有ったようです 。
ピーター ・ ライト によれば スウェーデンGP後チャップマン はライトらに対し より優れたファンカー開発を命じ 自分はファンカー禁止に向けた政治的活動を推進 。
ライト はアンドレッティ の言う高速域では タイプ 79 本来のグラウンドエフェクトカーの利点を活かし 低速域では 2 個のファンによって左右のサイドポッド からエアを引き抜きグラウンドエフェクト をアシスト する方法を考案 、 模型による実験ではかなりの効果を示したそうで実戦投入も 2 戦後の イギリスGP が目標とされていました 。
一方 チャップマン はこの模型のポラロイド写真を持って FOCA ( F1コンストラクターズ協会 ) の会議に出席し 、 当時ブラバムのオーナー で有った エクレストン に見せたところ全チーム が ファンカー 禁止に同意した とのこと 。
ファンカー 禁止の経緯については 以前 Racing on 誌にブラバム が特集された際に 当時のデザイナー だった G ・ マレー により 「 政治的に不当に禁止された 」 とコメント されているのですが 、 後に同じく 他チームのやはり政治的な思惑にもより禁止された タイプ 88 のツインシャシー コンセプト に対し 同時期のブラバムチーム の油圧によって車高を上げ 6 cm ルール をクリア する方法は合法とされたことには チャップマン は 「 不当 」 と感じていましたから マレー から見ると
" 江戸の仇を長崎で ・・・ " ということにも結果なったのかも ?
このチームロータス のファンカー エピソード や BRM時代から タイプ 80 までのグラウンドエフェクト 開発の流れ 、 タイプ 79 の弱点等 について ピーター ・ ライト により語られている記事は F1 モデリング 誌 Vol 24 の タイプ 79 特集 第2 段に掲載されています 。
今回の Racing on 誌には掲載されていない内容も有り タイプ 78 ・ 79 以外のモデルも何回か特集されているのでロータス F1 に興味をお持ちの場合は F1 モデリング 誌 も御一読されると楽しんでいただけると思います ( 最近の分が一部有りませんが掲載内容の一覧は この Bookカテゴリーブログの一番最初にまとめて有るので各号の内容を知りたい場合のご参考にして下さい )
ただし 入手しようとする場合現在は絶版の号も多くヤフオク等に出ることも有りますが書店での入手が難しい号も多いと思います 。
「 購入出来なくても読んではみたい 」 という場合に愛知県豊田市 に立ち寄ることが可能で有ればここの中央図書館に創刊号を除いて最近の発売号まで蔵書されていますのでこちらで読むもしくは図書カードが作れるエリアにお住まいで有れば2週間借りることが可能です 。
Racing on 誌もかなり揃っていて以前の号で掲載されていた Lotus F1 特集は
Racing on Archives Vol 5 ロータス と ティレル
として特集部分のみ纏めても発売されていますが未読の場合こちらもオススメ の 1 冊になっています 。
( ティレル についても読めるのでお得 ? ですね )
豊田市 中央図書館 の蔵書には 少し前に
" ロータス エリーゼ パーフェクトブック " も入りましたので ちょっと驚きです 。 いったい誰がどんな基準で蔵書する本を選んでいるんだろうか ・・・ なんて思ってもみたり 。
個人的に気がついたのが今回 Machine Gallery や グッドウッド メンバーズ ミーティング の記事を書いていらっしゃるライター の 藤原よしお さん 。
Racing on 誌の記事でお名前を見るのはやや珍しい気もするのですけれども ( 毎号 しっかり読んでいるわけでは無いので自分が知らないだけかもしれませんが ) 藤原さん のお名前を知ったのは ある ロータスオーナー から 「
" Motor Press " という藤原さんの個人ブログ が おもしろいよ 」 教えてもらったことがきっかけで 。
これまでも 輸入車関係をメインに複数の自動車雑誌の記事も書かれています 。
昔から Lotus がお好きなようで 新旧Lotus のブログ内容も多いですしポルシェジャパン 等のお仕事もされるので 新旧ポルシェ のブログネタ も充実 、 CTLJ との繋がりも有ってJLD での F1 デモラン 情報等がいち早く藤原さんの ブログ のほうに載ることも有ります 。
以前にも JLD の取材 をされているのですが 近年長年の夢が叶って ヒストリック ロータスフォーミュラ を購入 、 JLD 2016 では オーナー としてもエントリーされていました 。
( パンフレット にもお名前が掲載されているのではないでしょうか )
自分も直接の面識は無いものの 以前フォーミュラ を購入された際に
「 やはりヘルメットは 当時の雰囲気を残す 復刻モデル のベル スタークラシック にしました 。 どんな カラーリング にしようか 思案中 」
とブログ に書かれていたので
「 はじめまして 、 自分は スタークラシック を マリオ ・ アンドレッティ 風に しています 」
と コメントしたところ
「 以前 ブログ を拝見しました 」
と返信コメント が来て驚いたことが ・・・
これも
" 類 友 " 的ななにか でしょうか 。
新旧の ロータス ・ ポルシェ の他にも マニアック な車ネタ が豊富なブログ になっていますのでこちらも一度ご覧いただいては と思います 。
Racing on 483 号 " ウイングカー の時代 " いろいろ楽しめた 1 冊でした 。
追加で
既に 4 月に発売されていたようですが 一緒に書店で見かけた F1 速報 の別冊版 ?
" F1 を変えたテクノロジー "
こちらは 1987 年以降からということで チームロータス にスポットライト が当たるところはあまり無い ( アクティブサス くらい ? ) ようでしたが 、 さっと見たところでは個人的におもしろく感じる記事もいろいろ有りそうで ・・・
( 77 年からだったならば ロータス も もっと登場したはず ! )
買わないまでも 、 機会が有れば こちらも読んでみたい 1 冊でした 。