2010年07月30日
F1ドイツGPの舞台裏
フェラーリ
「フェルナンドの方が速い」という言葉は間違いなくF1の伝説になるだろう。しかし僕は、この悪名高い無線通信が流れる約20周前に、フェラーリからこの言葉を聞いた。
ピットストップ直後、僕はフェラーリのガレージに入っていった。チームのスポークスマン、ルカ・コラジャンニは、イタリアの主要テレビネットワークRAIのスタッフと話をしていた。これはごく普通に行なわれている。フェラーリはレース中RAIの解説を聞いており、チームとテレビ局間には常にコミュニケーションがある。
RAIの取材が終わると、僕はチームに、ドライバーにどういう指示を出し、状況はどうなのかと聞いた。このとき、フェリペ・マッサはフェルナンド・アロンソとの差を広げつつあった。
コラジャンニは、レースは通常通り展開している、マシンの調子はよい、と言ったが、「でもご覧のようにフェルナンドの方が速い」とつけ加えた。
緊迫したレース後の記者会見でアロンソが説明したように、確かにこの週末はフェルナンドの方が速かった。フェラーリはこの事実をわかり過ぎるくらいわかっていた。
僕は隣にあるマクラーレンのガレージに戻り、彼らの進展をチェックした。しかし、フェラーリのピットウォールでちょっとした論争をしているのがわかった。チーム代表ステファノ・ドメニカリはチーフ・エンジニアのクリス・ダイヤーと忙しそうに会話していた。この時点で、僕はダイヤーが、片手の手のひらを広げて上に挙げるのを見た。これは警察官が交通を止めるときに使うようなジェスチャーだった。
それから間もなくマッサはアロンソに3秒差をつけた。話し合いは続いていた。マッサのレース・エンジニア、ロブ・スメドレーは毎周フェリペに無線で話しかけていた。ある時点で、彼がフェリペに集中するように言うのが聞こえた。スメドレーは「ギャップは3秒だ。これを維持しろ。そうすれば勝てる」と保証した。
しかしアロンソはギャップを縮め、あとはご承知の通り。48周目から5周ほど前、ドメニカリ、ダイヤー、スメドレー、そしてアロンソのエンジニア、アンドレア・ステラの間でさらに議論があったが、アロンソがオーバーテイクしたあとはすべての議論が終わった。
たっぷり30秒間は誰も話をせず、その後エンジニアたちが無線に向かった。
レースが終わると、3人のスペイン人記者がドメニカリのコメントを求めてフェラーリのピットウォールに向かった。僕は、彼が表彰台に向かう途中に追いつきレース優勝おめでとうと言った、彼は「どうもありがとう。レースを1-2フィニッシュしたことがとても嬉しい」と答えた。しかし表彰台でのドライバーのボディ・ランゲージは違うことを伝えていた。
レッドブル
レッドブルのドライバーは、ドイツでは程度の差はあれマシンに裏切られた。セバスチャン・ヴェッテルは、スタートでの失敗はツインクラッチ・システムが原因だと述べた。このシステムはトップのマシンすべてに共通している。
F1フォーラムでセバスチャンが説明したように、ドライバーは信号が消えるとすぐに最初のクラッチを外し、ギアチェンジをしながら進路に従ってふたつ目のクラッチをつなぐ。
彼の場合、回転数があまりに低かったためにマシンが動かなかった。ヴェッテルがいかに激しくアロンソを壁に押しつけようとしても、フェラーリにはアドバンテージがあった。
マーク・ウェバーのレースは難しかった。まずチームは、ルイス・ハミルトンを追い越そうとして戦略的ギャンブルを試した。しかしこれによってウェバーは渋滞に巻き込まれ、新タイヤのアドバンテージを活用することができなかった。
そしてウェバーには、しばらく発生していなかった技術的トラブルが生じた。オイルシステムが故障したのだ。
ウェバーは、ルノーのエンジニアから、オイルタンクからエンジンにオイルを回すよう一連の要請を受けていたが、これはエンジンのオイル不足を回避するためだった。しかし、これによってエンジンがダメージを受ける可能性があり、シーズン後半のウェバーの走りを制限するかもしれない。
マクラーレン
ジェンソン・バトンはスタートでルイス・ハミルトンに抜かれ、これがマクラーレンのレースの残りを決めた。
彼らのラップタイムは同じだった。バトンはハミルトンから3秒以上遅れることはなく、そのまま4位と5位でフィニッシュした。
このようなパフォーマンスは、マクラーレンのドライバーの競争心をかき立てることはなく、今年のコンストラクターズ・チャンピオンシップ優勝につながる可能性がある。
これは当然、非常に高い価値がある。マクラーレンは1998年以来12年間、コンストラクターズ・チャンピオンになっていないのだ。
ハミルトンは、レースの残りを「エンジンモードG8」にすると警告され、がっかりしたに違いない。マクラーレンのハンドルにあるG1は最も濃い燃料ミックスであり、G8は最も薄い。
しかしハミルトンは減速し、効果的に燃料を温存した。これによってハミルトンはレースを完走することができたが、ヴェッテルとの差を縮めるためにアタックすることができなかった。
この点に関して、レース半ばの燃料温存はレーシングを台無しにしている。レースが面白くなってくると、全ドライバーは燃料を温存するように命じられ、レースが動かなくなるのだ。
低排出の将来とF1を関連づけるFIAの次のステップは、F1を燃料効率の高いフォーミュラにすることである。アイデアとしては、各マシンが一定の燃料、例えば140kg(現在の使用量よりも15kg少ない)を搭載し、それに見合ったレースをしなければならないというものである。
そうなると、エンジニアは、燃料からいかに多くのパワーを引き出すかに焦点を合わせるだろう。これは乗用車技術にとってプラスになる。しかし、誰かが一定量の燃料から劇的に大きなパワーを生み出す方法を発見しない限り、よりよいレースは約束されない。
メルセデス
ミハエル・シューマッハが2011年も間違いなく参戦するというニュースを受け、メルセデスのテスト・ドライバー、ニック・ハイドフェルドは来年レースシートを確保しようとしている。
テスト禁止により、ニックはこの冬以来F1マシンに乗っておらず、当然のことながらレースシートに戻りたいと願っている。
彼にはルノーのセカンドシートを含めさまざまな選択肢がある。ただしルノーに移籍すれば再びロバート・クビサとペアを組むことになり、クビサはチームとマシンに関して1年多い知識を持つことになる。また、2004年ジョーダンのときにようにハイドフェルドは新チームのひとつを選んで上を目指すこともできる。
新チームは遅いとしても少なくともマシンに乗ることはできるし、彼はチャンスさえあればポイントを獲得するのが得意である。
ミハエルは予選後、テスト禁止を「馬鹿げている」と評した。彼は、大金が投資されながら、参戦者には競技週末以外の練習やトレーニングを禁止しているスポーツに対して異議を唱えたのだ。
メルセデスはテストを必要としている。新しいウィングと新しいフロアのおかげでマシンは速くなるかもしれないが、車高とハードあるいはソフトのサスペンション設定に対するウィングの高低レベルという何千もの組み合わせをレース週末で試す時間はない。
彼らの言いたいことはわかるが、もちろんこれはどのチームにとっても同じである。
シミュレーション・プログラムは役に立つが、トラック走行に勝るものはない。走行時間が増えるハンガリーではメルセデスは強くなっているだろう。
トロ・ロッソ
トロ・ロッソにとってはまたしてもトラブル続きのレースだった。ハイメ・アルグエルスアリは最初の周回のヘアピンでブレーキが遅れ、チームメイトのセバスチャン・ブエミに追突し、上位でスタートしたドライバーをリタイヤさせた。
チーム幹部のフランツ・トストとジョルジョ・アスカネリはレース後チームのプレスリリースでコメントを拒否したが、これはよい兆候ではない。
トロ・ロッソの将来の方向性は興味深い。土曜日、僕はレッドブルの共同オーナー、ディートリッヒ・マテシッツが、チームの元代表ゲルハルト・ベルガーと一緒にガレージを見学し、活発な議論をしているのを見守った。
最近、トストは来年もアルグエルスアリとブエミをドライバーとして残留させるつもりだと述べたが、ウェバーあるはヴェッテルが移籍した後、レッドブルに誰を昇格させるかによって状況は複雑化している。
トロ・ロッソは、レッドブルの若手ドライバー・プログラムの才能を開発するために存在している。最終的な目標は、このようなドライバーをレッドブル・レーシングに昇格させることであるが、ブエミやアルグエルスアリがそのような意味で語られたことはない。
一方、レッドブルのテスト&リザーブ・ドライバーのダニエル・リチャルドはテスト・ドライブをしたことがなく、来年のF1シートを目指しているほか、プログラムのもうひとりのスターであるジャン-エリック・ベルニュはイギリスF3で圧勝しており、将来の成功が期待されている。
マテシッツは難しい決断を下すことになりそうだ。
by テッド・クラヴィッツ(BBC F1ピットレーン・レポーター)span>
フェラーリのチームオーダー事件はチーム内でもレース中に活発な議論が有ったみたいですね、でアロンソ陣営が押し切った感じですかね?
レッドブルも問題を抱えてるんですねぇ~ウェバーのオイルシステムの故障、どうしてもレッドブルは車の信頼性って所で足を引っ張られる感じもします、「レッドブルの一連の信頼性トラブルは、チームのユニークな冬の戦略が原因だと考えている」ってウェバーは話をしているみたいですね。
マクラーレンは燃料、燃費に足を引っ張られているみたいですね、そういえばゴール後にグリッドまでハミルトンが帰って来れなかった事が有りましたよねぇ~あれ以来レギュレーションが変わりゴール後グリッドまで戻らないと駄目って事になったんですよねぇ~。
メルセデスは車の開発を本当はバトンに合わせて作っていたそうで、かなり強いアンダーステアの車にしたそうで、バトンは、今シーズンF1に復帰したミハエル・シューマッハの低迷の責任の一端が自身にあることを認めているそうです、後はニック・ハイドフェルドの今後の動きも楽しみですね。
トロ・ロッソの話の中で興味深いのは、ウェバーあるはヴェッテルが移籍の可能性が有るみたいな話ですかね、で誰がレッドブルに昇格するのか?もう来年の事で色々と話がされているんですねぇ~。
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Posted at
2010/07/30 05:00:09
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