ついにこの日がやってきました。
昨年10月6日に一般道にてバイクで51kmオーバーをして白バイによる取り締まりを受けてから3か月。
会社でも去年の時点で、この意見の聴取の結果いかんによっては自分の進退も考えなくてはならないという話をしましたが、幸いなことに免許が取り消しになったとしても、会社では別の仕事を用意するので辞めなくていい、むしろそれは会社から見ればプラスになる部分もあるとの暖かい言葉をいただいていたので多少気は楽にはなっていました。
しかし今日の為にいろいろとネットで調べたり、経験者にアドバイスを貰ったりし、反省文を用意し、スーツも用意して出来るだけの事はしてきましたが、やはり緊張感はマックスです。
この意見の聴取なるものは、議論の場でもなく、自分の有利になるような証拠を提出することが出来るという場であるということで、イマイチ理解できていませんでしたがとにかく一番ダメなことは反論したり罪を認めないような発言をする事だそうです。
そりゃそうですね。普通の人は一生に一度もこんな事にはならないわけで、非日常の極みです。
呼び出しは金曜日の警視庁本部。これもネットの情報だと一番厳しい?らしく、知り合いのタクシードライバーさんからの話でも「水曜木曜ならなんとかなるけど金曜日はねぇ・・・」という状況。
タクシードライバーという職業柄免許取消とか停止になる人が多いらしくその対策をいろいろとタクシー会社ではやっているそうです。
しかし今更ではありますがもうなにを言ってもどうしても結果は変わらないですから潔く裁きを受けるしかありません。
6時に起き、前日の夜にデスクの周りに出して用意しておいたスーツに着替え、身だしなみをきちんとし、呼び出し状、印鑑、そして反省文など忘れ物がないかのチェックをしいざ出発。
歩いて3分ほどのバス停からバスに乗り、電車に乗り継ぎ会社の近くの駅で降り、そこで同僚の車に乗せてもらって霞が関へ・・・
幸運を祈りますとの言葉を貰い、テレビでよく見る警視庁のビルに初めて入館しました。
まず受付をし、IDカードを貰います。そこにはⅠ-13と書いてあり「金曜日に13番か・・・」とか思いつつ不安を隠せない状況で説明を受けました。
今日はこの意見の聴取が終わるまで警視庁に入ったら出られませんとの事。
後でわかったのだが、この番号は部屋番号と呼出し番号になっていました。
受付開始の時には総勢30人強といった感じでしたが、その中にはいかにも運転手な感じの格好の人や自分と同じスーツ姿の人、普段着で面倒くさそうに来ている人、子供連れのおばさんなど色々な人がいました。
9時半になり各部屋に分かれ意見の聴取の説明が始まり、名前を呼ばれたら真ん中の席に座り自分の名前を口頭で告げ、進行役の警察官が罪状を読み上げ、聴聞官が間違いありませんかと聞くので間違いがなければそのように答えてください。その後聴聞官から「何か言いたい事はありますか?」と聞かれたら言いたい事を言ってください、無ければ特にありませんで結構です。などと一から10まで説明されました。
その説明中に息を切らせながら自転車に乗るスタイルの人が入ってきました。遅刻です。
必ずいるよなこういう奴・・・とかいつもなら思うんですが今日はもう何も感じませんでした。
そして20分ほど休憩の後いよいよ本番です。
聴聞官が入ってきてみな規律して重い空気の聴取が始まりました。
先ほど遅刻してきた人が真っ先に呼ばれ真ん中の席に座るも黙っています
そりゃ説明聞いてないからわからないですね。進行役の警察官から名前を言ってくださいなどと言われてました。
そして罪状認否ですが、ここで細かく違反内容や事故の内容を皆の前で聞かされるのです。
その人は酒気帯び運転0.25以上でした。内容と処分に至った点数などが知らされた後、聴聞官より
「今の内容に間違いはありませんか?」と聞かれ、
「間違いありません」と答え、さらに聴聞官から
「何か言いたいことはありますか?」と穏やかな口調で聞かれるも
「特にありません」
「はい、では結構ですよ」
これで一人終了です。約1分強といったところでしょうか?
こんな感じでどんどん流れ作業のように進んでいきます。
自分のいた部屋は18人ほどで、ほとんどの人が何も弁解もせず「特にありません」で進んでいきます。
説明では一人5分ほどとか聞いていたので18人いれば90分ほどかかるのかなと思っていましたが予想よりはるかに早く進んでいきました。
あっという間に予定通り13番目に自分の番が来て、かなりドキドキしていましたが不思議と席に着いたら落ち着きを取り戻し、持ってきた反省文を机の上に置き、罪状認否をうけ、内容に間違いがないことを告げると
「何か言いたい事はありますか?」と聞かれたのでそこで反省文を提出。
進行役の警察官に手渡し、それが聴聞官に届けられます。
そのまま2分ほど読んでもらった後、
「何故一般道でこんなに大きな違反をしたのか。」と聞かれたので、その日の状況を説明し、また今回とても反省している旨を伝えました。
次に
「今後同じような状況になった場合どうなると思いますか?」とも聞かれたので素直に自分の気持ちを伝え、
今後同じ状況になったとしてもスピード違反をすることは無いという事を伝えたところ。
特に表情も変わらずに「はいわかりました、以上です」と自分の番が終了。
かなり長く感じましたが実際は3分ほどだったと思います。
その後他の人たちの聴取を聞き10時過ぎにはこちらの部屋の聴聞は終了となりました。
中には前歴3回の累積4点で取り消しとか、飲酒運転で追突事故を起こし2台の車の運転手に怪我を負わせたとか、いろいろな人がいましたが、さすがに取り消し対象者ばかりの集まりだけあって点数の数字がとてつもない人ばかりです。
飲酒+事故(安全運転義務違反)+救護義務違反=45点!とか、ちょっと今までの自分の範囲では聞いたことのない点数が出てきて驚きでした。
その後処分の決定までは2時間ほどかかることを告げられ、それまでは待合室や喫煙スペースで待っていてくださいとの指示が出たのでいったん部屋から出て自販機でココアを買い休憩となりましたが、ここで改めて良く周囲を見ると、ソファーで横になっている人が居たり、携帯で大声でしゃべっていたりする人もいたりしてちょっと理解できない様な感じでした。
一緒にされても嫌だなと思ったのでさっさとココアを飲みもう一度聴聞を受けた部屋に戻りました。
誰とも一言も話さずに携帯も触ることもなく、かといって居眠りも出来ず2時間を待つのは苦行とも言えましたが不安な気持ちで2時間ほど待ちましたが、人生でここまで長い2時間は無かったと思います。
そして12時前。ついに処分の決定の時間がきました。
簡単に事務的な説明がさきほどの警察官よりあり。名前を呼ばれた人が処分書を渡され、何やら小さな声で説明を受けています。
飲酒運転の人と事故を起こした人などが呼ばれ処分書を貰いどんどん部屋を出ていき、残りが5人ほどになったところで人数を確認し、次々にまとめて名前を呼ばれたあと、
「ここに残っている人は今回は180日の免許停止処分となります」との言葉が!
事前にネットでも見ていましたが、最後まで名前を呼ばれないと取り消しは免れた事になるので助かったということです。
なんとも言えない安堵感でした。180日の免許停止は普通に考えればかなり痛いですが取り消しに比べればまだマシです。
あとは免停講習を受けることで短縮も出来ますしまずは一安心です。
しかし長い3か月でしたよ。
これに懲りて聴聞でも伝えましたがもう2度とこういう行政処分に該当するような運転はしない事を心に決めました。
その後会社に戻り、同僚や社長に報告をし久々に普通の気分で仕事をしました。
疲れたなー