フロントトー調整+ステアリングのセンター出し(自己流)
目的 |
修理・故障・メンテナンス |
作業 |
DIY |
難易度 |
 初級 |
作業時間 |
1時間以内 |
1
[ストリームに限らずほとんどの車種が同じ方法で調整できます。工具はモンキースパナ1個。]
【はじめに】
車高調の取付後「ステアリングのセンターずれ」と「直進安定性を失う」。DIYでアライメント調整です。
トーを合わせてから、センターずれを合わせる、自己流になります。
【計測】
ズレを把握するためフロント左右輪の長さを計測。
「Fタイヤ前側(助手席~運転席 間)」
「Fタイヤ後側(助手席~運転席 間)」
2
(1)フロントタイヤ前側(車の下)にメジャーを通す。
(2)基準とするタイヤパターンを適当に選び始点にする。
1人計測では始点(0cm)がおさえられないため、タイヤパターンに「割りばし等」と「巻き尺メジャーの引っかけ(0cm)」を一緒に挟み込み落下を防ぐ。割りばしが挟めないタイヤはテープ固定でOK。
(3)0cmから反対側タイヤ(基準のパターン)までの長さを計測。
(4)上記1~3をFタイヤ後側でも同様に行う。前側で計測した「タイヤパターン」「計測位置(地上からの高さ)」で同じように計測。
高さの目安として「空き缶」などを地面に置き、空き缶とタイヤの接触点を計測ポイントにすると楽です。
以上の計測から、前後の長さが一致(トーゼロ)であればトーの大きなズレはありません。しかし、トーゼロでもステアリング(ハンドル)はセンターずれしている可能性あり。作業工程7を参考ください。
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ちなみに自分は車高調取付後7mmほど前後差がありました。
3
【タイロッドの仕組み】
タイロッドは車輪の後側(車によっては前側)に位置。タイロッドを伸縮させると、タイヤ中心が支点となるので、前側と後側で同じ長さが増減する。たとえば前側が1mm伸びると、後側は1mm縮む。
上の項で計測値が同じ(トーゼロ)になるようタイロッドを調整する。
たとえば、「前側1510mm」「後側1490mm」だった場合、トーの差は20mmだが、タイロッドは前後トーが同じ量だけ増減するため「調整量は10mm」。後側を10mm伸ばせば、前側は10mm減り、前後の長さは1500mmで一致する。
4
【タイロッドの構造】
タイロッドはホイール側の「タイロッドエンド」にねじ込まれており、タイロッドを回すことで長さが変化。左右輪でタイロッドの向きが変わるため、時計回し・反時計回しに注意が必要。
<車中央からホイール方向をながめた場合>
●タイロッド時計回し
・タイロッドが縮む(タイロッドエンドにねじ込まれる)。
・トーアウト方向に動く。
●タイロッド反時計回し
・タイロッドが伸びる(タイロッドエンドから離れる)。
・トーイン方向に動く。
<タイロッド回転の目安>
タイロッド1回転あたり=タイロッド長の変化は約1mmが目安。
タイロッド長の5mm増減なら5回転が目安。0.5mm増減なら半回転(角度180度)。
なお、タイロッドを1mm動かしたからといって、タイヤ間の計測値は1mm変化するわけではない。おそらくタイロッドを移動した長さより、計測値の変化の方が大きい。
5
【タイロッド調整量】
ステアリングのセンターは後しにして、ひとまずトーゼロ(前側=後側)を目標に合わせる。
たとえば図のように「前側1510mm」「後側1490mm」だった場合、左右のタイロッドを均等に回して合計10mmを調整するようにする。
つまり、「左タイロッド5mm長く」「右のタイロッド5mm長く」調整すると10mm動くので、前後とも1500mmのトーゼロになる。
調整量が決まったら以下の「6」にすすむ。
(ちなみに)トーはお好みもあると思いますが、ノーマル車なら「トーゼロ ~ ややトーイン」の設定で良いかと思います。
このDIYでは正確なトーゼロに合わせることは不可能です。トーアウトを避けるため、「若干トーイン」気味の「トーゼロ」を目標にすると良いかもしれません。
(トーの特性)
トーイン(ハの字型): 直進安定性が向上するが、左右方向の反応が低下。
トーアウト(逆ハの字型): 直進安定性が低下するが、左右方向の反応が向上。
6
【タイロッド調整】
回転方向ややこしいので早見画像をご覧ください。以下はトーゼロに合わせる調整です。
(1)ステアリングをきる
タイロッドに手が届くようステアリングをきる。助手席を調整するときはハンドル右に。運転席ではハンドル左。ジャッキアップはしない。
(2)タイロッド清掃
タイロッドエンドに密着のロックナットを外す前に、ねじ溝の異物を除去。砂利などがあるとロックナットと一緒にタイロッドも回ってしまうため。
(3)念のため目印をつける
不安な方はペンなどで開始地点をマーキング。タイロッドとタイロッドエンドの両方に、一直線や点などを描くなどして作業前のゼロ地点を把握。目印は何周回したとか、作業前に戻せすときにも使えます。
※タイロッドは黒いので黒ペンでは見えません。白ペンやシール、塗装用タッチペンなどでOK。
(4)ロックナットを解除
ロックナットを緩める。運転席側でも助手席側でも、外側から見て「時計回し」で解除。固着している場合はゴムハンマーなどで工具をたたくなどする。
(5)タイロッドを回す
タイロッド芯は六角のため「U字スパナ」で回す(ストリームなら14mmスパナ)。調整したい量をまわす。
※タイロッドエンドには遊びがあるため、タイロッドが回転しなくても何度か傾きます。遊びを省いた量をまわす。
※目安として、タイロッド回転1周でタイロッド長は約1mm変化。
(6)反対側のタイロッド
(5)でまわした同じ量を回す。トーイン・トーアウトの調整なら(5)と同じ方向の回転(外側から見て)になる。
たとえば「外側から見て時計回し1周」なら、反対側のタイロッドも「外側から見て時計回し1周」。
(5)再計測
ステアリングを中央に、前後輪の長さを再計測 ※。トーゼロになるまで(5)~(6)を繰り返す。トーゼロになったらロックナットを固定。
※計測初期値とズレることがありますが、その時の前後の長さが一致しているかの確認のため初期値は無視してください。
7
【ステアリングのセンター出し】
トーゼロになったら試走です。もし直進走行でステアリングのセンターが合わなければ再度タイロッド調整します。
図のように、トーゼロの直進走行でハンドルが右よりならタイヤは左向き。ハンドルが左よりならタイヤは右向きになっています。
作業は上項6の繰り返しですが、今回はトーゼロのためタイロッド調整の回転方向が左右輪で「逆回転」になります。
6のトーゼロ調整では、タイロッドは左右側とも「のびる」か「ちぢむ」の同じ目的の回転でした。タイロッド全長を伸ばすか縮むかをしたかったため。
トーゼロからのセンター出しでは、一方のタイロッドを「のびる」にすると反対側のタイロッドは「ちぢむ」にする必要があります。タイロッド全長は変えたくないため。
トーゼロでのセンター出しの場合、上項「早見画像」で「同じ色の矢印方向(赤か青の矢印)」に同じ量だけ左右タイロッドを回せば、トーゼロのままでタイヤの向きだけ変えられます。
図7で説明するなら、
・「右ズレ」の場合は「図6赤矢印」
(左のびる/右ちぢむ)
・「左ズレ」の場合は「図6青矢印」
(左ちぢむ/右のびる)
の回転方向となります。
8
【タイロッド回転量】
多少のセンターずれならタイロッドは片側で1周(360度)も回す必要がないと思います。
上項7の画像のずれ程度なら片側タイロッド60度前後の調整でセンター付近になるかと思います。
タイロッド芯は六角なので、6面(6分割)で考えると左右タイロッドを調整しやすいと思います。
1面ずつ回すと1/6回転(=角度60度)。基準とする面から次の面に変わると60度。30度ならその半分(基準から角1個移動)などの目安に。
(1)タイロッドにシールなど目印を付けて開始地点を把握(トーゼロ調整時の目印でも可)。
(2)たとえば1/6回転なら、反対側のタイロッドも1/6回転。ロックナットを固定。
(3)試走してズレを確認。
(4)希望のセンターになるまで1~3を繰り返す。
作業前や後に、前後輪の長さ(トー)を計測してみるのも良いと思います。
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