平野二郎國臣の銅像（福岡市中央区）

平野國臣は文政11（1828）年3月、福岡の地行下町（中央区今川一丁目）で生まれました。
父親は、神道夢想流杖術師範・平野能栄、國臣は二男で14歳で小金丸家の養子となりました。
弘化2（1845）年18歳の春、黒田藩普請方手附として任官しました。江戸・長崎の勤務を通して文武両道の修行に励み国学・史学・天文学等を学びました。24歳の時、薩摩藩の北条右門と知り合い、国事を論じ幕藩体制の危うさや、これからの国の在り方などについて深く考えます。
安政4（1857）年、国のために働くことを決意、養家を出て、妻子はもとより仕官等の一切の束縛を断ち切り、一人の国の民であるとの思いから名前を國臣に改名しました。
安政5（1858）年、勤皇僧月照を薩摩に送り届けました。月照と西郷隆盛、錦江湾に入水し同船の國臣が救助して西郷隆盛は蘇生しました。
「幕府の滅亡・日本の統一を目指し諸藩の志士たちと交流、「回天管見策」「培覆論」「回天三策」など、幾多の論文や建白書を書きました。
伊集院の山から桜島を遠望し、雄藩薩摩の決起を願った歌
「我胸の　燃ゆる思いにくらぶれば　烟はうすし　桜島山」の歌はよく知られています。
文久2（1862）年、藩主の上洛阻止の罪で桝木屋の牢に捕らわれました。獄中筆硯を許されず、こより文字を考案し八千字を越える建策、論説、書簡等を著しました。和歌だけでも350首に上り、「征寇説」「神武必勝論」上、中、下は名著です。
文久3（1863）年朝旨により禁固を解かれ福岡藩藩命により重役補佐役で上洛しました。8月に天誅組による大和の変が起こり、10月の生野義挙では、七卿の一人の澤宣嘉卿を担いで大将に推挙された國臣は敗れて捕らわれの身となり京都六角の獄に拘囚されました。
そして、元治元（1864）年7月、禁門の変の際、獄吏に討たれました。享年37歳でした。
秀でた国学者で文人・歌人でもある國臣は燃え立つ憂国の情を数々の和歌や建策、論説に託しながら動乱の幕末、江戸、京都、大坂、長州、但馬、果ては筑後、肥後、天草、薩摩と身の危険も顧みず、同志を求め、雄藩の決起を促し多くの志士達と共に新しい国家誕生のために身を捨てて、大義に生きました。その短い生涯は混乱の世に国の在り方を思い、その見識と献身的行動は明治維新の礎石となりました。
辞世の漢詩は「憂国十年　東走西馳　成敗在天　魂魄帰地」です。ただし、平成23（2011）年の冬に発見された平野家資料によると「憂国十年　東走西馳　成否在天　魂魄帰地」と書き記されているそうです。
西公園にある平野二郎國臣の銅像は大正4（1915）年に建立されましたが、昭和18（1943）年に戦時供出されました。現在は戦後の昭和39（1964）年の平野國臣百年祭で再建されたものです。
（現地説明板などより）

Photo Canon EOS 5D MarkⅢ
H26.9.15
住所: 福岡県福岡市中央区西公園