湧出館(高島市・旧朽木村)
湧出館(わきでやかた)遺跡は、比良山地と丹波高地に挟まれた朽木谷を北流し、琵琶湖に流れる安曇川によって形成された河岸段丘上に位置します。地元では、この湧出館遺跡に関する次の伝承が残っています。
その昔、朽木氏には一人の姫君が誕生されました。その姫君は、日ごとに美しく成長されたが、年頃になられるにつれて病の身となられ、病気は日増しにつのり、人目をはばからなければならないようになりました。
そこで朽木氏は、つながりのある村井の里人に頼み、ここに、その姫君のために屋敷をつくれました。その姫は「湧出姫」という名前で、その後、その姫君がどうなられたかわかりませんが、村井には「湧出」と云う地名が存在し、ここに、その姫君の屋敷である「湧出館」があったとされています。
この湧出という地名が、姫君の名前から由来しているものか、あるいは、地名から湧出姫というのかわかりませんが、湧出姫の伝説は、今も語り伝えられています。
〔昭和55(1980)年朽木村教育委員会刊「朽木の昔話と伝説」より引用〕
この伝承を示す遺構などの痕跡は確認されていませんが、平成16(2004)年に、この地域一帯で行われた圃場整備の際に、飛鳥~奈良時代の土器片や平安時代末~鎌倉時代にかけての土器片が発見されました。
特に、平安時代末~鎌倉時代にかけての土器片が発見されたことは、南側の棚林谷を挟んで隣接する「池の沢庭園」と同時期であることが判明しました。このことから、庭園に伴う居住空間が、この湧出館遺跡に存在していた可能性が考えられ、今後の調査が期待される遺跡です。
(現地説明板などより)
Photo Canon EOS 5D MarkⅢ
H29.8.5
住所: 滋賀県高島市朽木村井
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