犬飼滝(霧島市・旧牧園町)
和気清麻呂、坂本龍馬も訪れた犬飼滝
2018年02月20日
犬飼滝は、滝高36.0m、滝幅21.8m、滝壺幅33.4mある滝です。
天孫降臨神話の霧島山を源流として鹿児島湾へそそぐ天降川は、急峻な地形により、激しい侵食を繰り返し深谷をなしています。
犬飼滝周辺には、渓谷に囲まれた出湯の里、新川渓谷温泉郷、和気神社など遺跡名勝があり、古来から多くの著名人が訪れています。
史実によると西暦769年(称徳天皇の時代)には、皇位争いをめぐり、道鏡の怒りにふれ和気清麻呂公がこの地に流され一年間滞在しています。この間、和気公は、村の美女を生贄に供える河童祭の陋習を止めさせたほか、中津川の開削工事をし、人々や田園を守るため河川変更の大事業を行いました。
天正13(1585)年島津家の家老上井覚兼が、安楽、犬飼を訪れ日記に犬飼滝を詠んだ歌を記してからその後有名になり三州随一の名勝の地と言われるようになりました。
「曇りなく 日かけうつろふ 晴間にも さみたれ増る 滝の白糸」(覚兼日記)
慶応2(1866)年坂本龍馬・お龍夫妻がこの地を訪問し、これが日本最初の新婚旅行といわれています。
二人は当時の自然環境豊かな霧島路を天降川の河口、浜之市から霧島山の源流まで登り、ついに高千穂の峰に至っています。
龍馬の姉 乙女への手紙
「此所は、もう大隅の国にて和気清麻呂が庵結びし所、陰見の滝其の布は十間も落ちて、中程には少しでもさわりなし。実、この世の外かと思われ候ほどのめずらしき所なり。此処に十日計も止まりあそび、谷川の流にて魚をつり、短筒をもちて鳥をうちなど、まことにおもしろかりし。」
犬飼滝周辺は平成12(2000)年「新鹿児島百景」の第一位に選定されました。
霧島を訪れた文化人の代表的和歌
「有明の 星は冴えつつ 霧島の 山の谷間に 霧たちわたる」(若山牧水)
「罪なくて 遠流に遇へる 清麻呂も 霧島にいて 聴きし滝音」(与謝野鉄幹)
「大きなる このしずけさや 高千穂の 峰のすべたる あやつゆうぐれ」(斎藤茂吉)
Photo Canon EOS 5D MarkⅣ
H30.1.28
住所: 鹿児島県霧島市牧園町下中津川
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