江上天主堂(五島市〔旧奈留町〕)
木造ロマネスク様式の天主堂として最も完成度が高いといわれている江上天主堂
2025年05月19日
「奈留島の江上集落(江上天主堂とその周辺)」は、「潜伏」の終焉を可視的に示す構成資産です。
19世紀、外海地域から各地へ広がった潜伏キリシタンの一部は、奈留島の人里離れた海に近い谷間に移住し、自分たちの信仰をひそかに続け、解禁後はカトリックに復帰して地勢に適応した江上天主堂を建てました。
江上天主堂は、禁教期の集落との連続性を高く示し、風土に溶け込むように立地するとともに、在来の技術が用いられた教会堂の代表例です。
江上地区では、明治14(1881)年に外海(現長崎市)から四家族が移住し、洗礼を受けたといわれています。
明治39(1906)年に現在地に民家を利用した結素な木造数会堂(初代)が建てられましたが、大正6(1917)年3月再建に着手し、翌大正7(1918)年の3月、50坪の本格的な木造教会堂、現在の江上天主堂が完成しました。
この江上天主堂は、教会建築の父・鉄川与助氏が手掛けたもので、木造ロマネスク様式の天主堂として最も完成度が高いといわれています。湿気対策のために高床式とし、軒先には独特の通気口を設けるなど、随所に在来工法を用いていますが、内部は本格的な教会建築様式となっており、風土的特徴と西洋的特徴が融合した教会建築となっています。左右対称のシンプルな外観と純白に彩られた板張りの外壁がこの教会の特長です。また、内部はアーチ形の美しい天井、木目塗りの珍しい装飾が美しく、価値の高い建築様式です。平成14(2002)年に県の文化財に指定され、平成20(2008)年には国の重要文化財に指定されています。
平成30(2018)年、「奈留島の江上集落(江上天主堂とその周辺)」は世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産になりました。
(現地説明板などより)
拝観 ホームページからの事前予約制
Photo Canon EOS 5D MarkⅣ
R7.5.4
住所: 長崎県五島市奈留町大串1131
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