佐野常民と三重津海軍所跡の歴史館(佐賀市)
明治日本の産業革命遺産の構成資産の三重津海軍所跡にある佐野常民と三重津海軍所跡の歴史館
2025年12月18日
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三重津海軍所は、佐賀県佐賀市諸富町・川副町にある幕末佐賀藩の洋式海軍の拠点だった場所です。佐賀県と福岡県の境界を流れる筑後川の支流である早津江川河口に位置しています。
安政5(1858)年、佐賀藩(鍋島家)が以前からあった「御船屋」を拡張して海軍の伝習機関として設置しました。翌安政5(1859)年幕府の「長崎海軍伝習所」閉鎖に伴い、長崎海軍伝習所で学ばせていた多くの佐賀藩士の士官教育を継続するためと、所有する西洋船の修理場等が必要となったため、従来からあった施設の範囲と機能を増設しました。海軍教育やオランダ製の木造帆船である「飛雲丸」や木造スクリュー蒸気船である「電流丸」、木造外輪蒸気船「観光丸」が運用され、洋式船の修理、慶応元(1865)年には日本初の実用蒸気船「凌風丸」の建造が行われるなど、後の産業国家日本における造船分野の取り組みの端緒となりました。
発掘調査や文献調査の成果から明らかになった運用方法から「船屋地区」「稽古場地区」「修覆場地区」の三地区に分かれています。「船屋地区」は、三重津が佐賀藩洋式艦隊運用根拠地となる以前から使用されていた藩の和船運用施設の一つで「稽古場地区」は銃等を用いた調練施設。「修覆場地区」は、洋式船の金属部品製作加工を行った「製作場」とドライドックのあった「御修覆場」から構成されています。
ドライドッグは現存する日本最古のもので、木製骨格(フレーム)の内部に粘土と砂(または破砕貝殻)を交互に積み重ねて成形する工法が用いられています。明治4(1871)年には鍋島直正遺髪が「三重津」に到着、佐賀城に移送された記録があります。
海軍所廃止後は明治35(1902)年に佐賀郡立海員養成学校が設立され、佐賀郡立甲種商船学校、佐賀県立佐賀商船学校を経て明治43(1910)年に佐賀商船学校となりました。
三重津海軍所跡は、幕末の海軍の様子や日本の伝統技術と西洋技術の融合、自然環境を巧みに使った洋式船の運用方法が具体的に分かる貴重な遺跡として平成25(2013)年に国史跡に指定され、平成27(2015)年には北は岩手県釜石市から南は鹿児島県鹿児島市までの8県11市に所在する23の資産で構成されている「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成資産として世界遺産に登録されています。
令和7(2025)年現在、現在、遺跡の保全と理解促進のため、屋外展示工事が行われており、ドライドックの位置を地面で示したり、タブレットで当時の様子を再現するVR(仮想現実)技術を用いたりする整備が進められています。
跡地にある佐野常民と三重津海軍所跡の歴史館では、
佐賀の七賢人の一人、佐野常民(さのつねたみ)は、幕末から明治の先駆者として、政治、産業、科学、芸術などの様々な分野で活躍した人物です。特に、西南戦争の時、博愛社(日本赤十字社の前身)を設立し、現在では、「日本赤十字社の父」と呼ばれています。
佐野常民の遺徳を顕彰し、博愛精神を学び普及していく施設として、佐野常民記念館が平成16(2004)年10月、生誕地である川副町早津江の地に開館し、令和3(2021)年9月に「佐野常民と三重津海軍所跡の歴史館」としてリニューアルオープンしました。
佐野常民と三重津海軍所跡の歴史館では、佐野常民に関する歴史資料、三重津海軍所のドライドック木組遺構の原寸大模型、時空年表、マルチビジョンを駆使した映像などを用いた展示や解説を行っています。
明治日本の産業革命遺産ガイダンスコーナーでは、世界遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の全体像や価値、構成資産としての三重津海軍所跡の評価についてパネルや映像等により解説します
三重津海軍所跡展示室では、三重津海軍所の変遷、運用や遺跡の価値等について、象徴的遺構であるドライドック木組遺構の一部を再現した原寸大模型や大型スクリーン映像、パネル等により解説します。長崎での海軍伝習とそれがどのように三重津海軍所に引き継がれていったのか、佐賀藩保有の洋式船とその運用・メンテナンス、国産初の実用蒸気船「凌風丸」建造への取り組み等について、模型や資料、出土遺物、パネル等により解説します。
映像ホール・イベントホールでは、
幕末佐賀藩の近代化の背景、三重津海軍所の成り立ちや特徴、船屋地区・稽古場地区・修覆場地区の機能などについて、空撮映像やCGによる再現映像等により、わかりやすく伝えます。イベントホールでは企画展やイベント等を開催します。
佐賀藩の近代化事業展示室では、10代藩主 鍋島直正が取り組んだ、大型の鉄製大砲を鋳造するための反射炉(金属溶解炉)の建造、精煉方での西洋技術に関する様々な研究等について、資料や出土遺物、パネル等により解説します。また、佐野常民をはじめとする佐賀藩の近代化事業を支えた偉人たちについても、その功績とともに紹介します。佐野常民展示室
では、全長23mの年表に、写真などを用いて、常民の生い立ちや功績をわかりやすく紹介します。また、収蔵資料や常民に関する裏話などをサイネージで紹介し、展示ケースでは、常民にまつわる実物資料や絵画を観覧することができます。映像シアターでは、独創性、先進性や人間愛あふれる常民の80年の生涯を大迫力のパノラマ映像で紹介します
赤十字コーナーでは、佐野常民が初代社長で設立にも深くかかわっている、「日本赤十字社」の救護活動や海外への支援活動の様子などをパネル、映像で紹介し、関連図書や広報誌等を展示しています。
開館時間 9:00~17:00(最終入館16:30)
休館日 月曜日(月曜日が休日の場合は、翌平日)、年末年始、その他臨時休館日あり
観覧料 大人500円 小中学生200円
Photo Canon EOS 5D MarkⅣ
R7.11.22
住所: 佐賀県佐賀市川副町大字早津江津446-1
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