2006年07月14日
ちょっと気付いたことを書いておこう。
今日現在、加藤電機のホームページのリンクに、「重要VAS基準とは」とタイトルされたページがあり、その下の方に「国土交通省からの発表により、保安基準に適合した盗難発生警報装置でない場合には、車検に通りません。」とある。
しかし、よく理解されている方ならわかると思うが、厳密に言えばかなりの嘘である。
国道交通省にも確認したが、「そういうことを言う業者は無いはず」とのことであった。
もし、仮に今7月1日以降登録の普通車にVAS登録で無い盗難発生警報装置を付けたとして、3年後の車検が通らないかと言えば、必ずしもそうでは無い。
時と場合によっては、全く問題無くパスするというのが今回の法改正の中身である。
ところが、いかにも自分たちの所の物を付けていないと、車検が通りませんということを全消費者の前で言うのであるから、行き過ぎと取られても仕方が無いであろう。
今後か約3年後「あの時は施行間も無くで混乱していて、最悪のことを消費者にわかってもらうためだった」と言い訳すると推測されるが、消費者にとっては迷惑な話である。
本件を知った時からきな臭いと思っていたが、ここに来て信頼が一層揺らいだのは言うまでも無い。
参考まで、VAS基準は法律では無い。
単なる業界の自主基準の登録制度に過ぎない。
正確には道路運送車両法の保安基準(S26.7.28)の運輸省令第67号の改正(追加)の法令に基き、全国自動車用品工業会がその法令を遵守する製品をわかり易くするために策定した登録制度ということになる。
であるからして?、「明示されていないVAS基準の中身は?」と全国自動車用品工業会に尋ねても、「うちの管轄外だから、上記法令を見てくれ」ということになる。
私には、道路運送車両法を楯にして全国自動車用品工業会を隠れ蓑にした「談合」に写って仕方が無い。
Posted at 2006/07/14 18:36:20 | |
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2006年07月14日
技術屋としては、要求仕様を知りたいと思う。
だが、パブリックコメントを募った時に載った内容以上のことは官報を入手しないといけないので、まだ先になりそうだ。
そこに詳細が書かれているということなのだが、そもそもパブリックコメントを募った時の内容を満足していれば充分なはずである。
それ以上のことを官報の法令で要求するのは騙し討ちだからだ。
そこで、パブリックコメントのときに公表された内容に目を向けてみることにしよう。
機能的なところより、数値的な物を中心に見ることにする。
項目は3つで「イモビライザー(電子式移動ロック装置)」、「盗難防止用警報装置」と「施錠装置」である。
<イモビライザー(電子式移動ロック装置)>
③ イモビライザーは、車両が自走するに必要な少なくとも2つの独立した装置の機能を停止させることにより、又は少なくとも1つの制御装置が設定するコードにより、車両が自走しないようにすることができるものであること。
★コメント:前半の「2つの独立した装置の機能を停止させる」が書かれている意味が不明である。「かつ」ならともかく、普通に考えると、後者でそれ以外の条項を満足すれば不要であると思うが、いったい何を言いたいのだろうか。
⑤ イモビライザーは、容易にその機能が損なわれ、又は作動を解除されない構造であること。
(中略)
・ 選択可能な入力キーパッドにおけるコード入力の可能性は、少なくとも1万以上の種類があること。
★コメント:通常はテンキーを想定していると思われるが、ドアノブ操作や数少ないキーによる設定の場合、意味付けされるコードが9999通りは不可ということになるとすると、4桁数字が最小限ということだろうか。
・ コードは、5万通り以上の種類を有し、ローリングコードが組込まれている、又は5000種に対する最低スキャン時間が24時間以上を要するものであること。リモートコントロールにより設定を解除できるイモビライザーは、設定解除後5分以内に原動機の始動装置に操作が加わらない場合には、イモビライザーが作動状態に戻るものであること。
★コメント:後者は、逆算すると通信エラーを起こした場合に17.3秒間解除や設定が出来ないということを意味するので、実用的な仕様と言えないのではないだろか。
そもそも、ローリングコードが組み込まれていれば、その種類が少なくとも良い、すなわち、ローリングコードが組み込まれていなければ、その種類を多くするというのが順当な論理な気がする。
盗難防止用警報装置、施錠装置も同じである。
<盗難防止用警報装置>
① 車両への侵入又は干渉があったときに、音声信号又は音声信号と光学信号等により警報を発するものであること。
・ 音声信号の作動時間は、1 回につき25~30秒であること。
・ 警報の作動回数は、1度の作動で10回以下であること。
★コメント:長くても短くてもだめで10回までということだが、こんな短い時間と回数で撃退効果があるのだろうか。
(中略)
・ 光学信号の点滅周波数(音声信号の断続周波数)は、60~180回/分であること。
・ 光学信号は、25秒以上5分間以下の時間で持続するものであること。この場合において、点滅する灯火器は、方向指示器、非常点滅表示灯又は室内灯であること。
★コメント:センサーライトでもあるまいし、警報音より長く動作させて撃退効果があるのだろうか。
・ 少なくともドア、ボンネット又は荷物室の開放が検出されたときには、車両への侵入又は干渉があったものとして警報を発するものであること。
★コメント:「少なくとも~又は」が微妙で、「少なくともいずれかが」と解釈されると、ボンネットセンサまで省けないということだろうか。
② 警報装置の操作装置は、容易にその機能が損なわれ、又は作動を解除されることがない構造であること。
・ 電子式操作装置は、5万通り以上の種類を有し、ローリングコードが組込まれている、又は5000種に対する最低スキャン時間が24時間以上を要するものであること。
・ 機械式操作装置は、1000通り以上の鍵の種類を有するものであること。
③ 乗降時遅延機能を有する警報装置の遅延時間は、降車時にあっては15秒から45秒の範囲で、乗車時にあっては5秒から15秒までの範囲にあること。
★コメント:遅延とは警戒までの時間で、降車時はドアを閉めた時が基準なのであろうか。乗車時の遅延とは、リモコン使用時の始動しない場合の再警戒までの時間なのだろうか。その後ドアを開けた時を除外しておかないと発報して機能上問題ではないだろうか。
④ 警報装置は、原動機の作動中に不意に作動しないものであること。
★コメント:正規の使用者が走行中に誤動作で作動・発報しないという意味であろうが、盗難に遭って走行し出したら作動・発報しないというのも機能上問題ではないだろうか。
<施錠装置>
③ 施錠装置は、堅ろうであり、かつ、容易にその機能が損なわれ、又は作動を解除されることがない構造であること。
(中略)
・ 電子式施錠装置は、5万通り以上の鍵の種類を有し、ローリングコードが組込まれている、又は5000種に対する最低スキャン時間が24時間以上を要するものであること。
(中略)
・ 変速装置に作用する施錠装置は、変速装置が後退位置又はニュートラル位置(オートマチックの場合にあっては、後退位置、ニュートラル位置又は駐車位置)にあるときにのみ、作動するものであること。
★コメント:何を以って施錠なのかということもあるが、オートマチックの場合、これまで一般的なパーキングのみで問題無いであろうが、マニュアルのシフトロックが必須になるということだろうか。そもそも、ニュートラルでロックされる様になってるのは事故の元ではないだろうか。私はサイドや後退というより1速に入れている。
ここまで見てわかったことがある。
まず、やらせなのか7件しか無かったパブリックコメントの回答には、ここに書いたような有効な?疑問がほとんど出されていない。
当時の公表資料は違った物だったのか。
少なくとも、上記論理レベルで法制化されたのでは世も末である。
そして、全国自動車用品工業会が「事故」と言っているのは、誤報を含んでいるということではないかということである。
それならば、私も悩まされた。
しかし、品質向上のために認証や登録をしてもらうのは構わないが、正常な動作にまで無意味な規制をかけて、適合しないものは車検を通さないようにしてもらいたいということでは無いので、運用を見直してもらいたい。
もう一つ、中身が曖昧でおかしいということである!
そもそも、7月1日以降、現在市販されているクルマの純正自体が解釈によっては対応していない可能性があるということである。
ゆえに業界が騒がなかった理由がわかってきた。
対応するのがあほらしいのである!
なし崩しになるだろうと。。。
ただし、このままでなし崩しになるとしたら、まずは唯一無比の如く言われるVAS基準の方であると思う。
もうちょっと調べてみたい。
なし崩しになるであろう逃げ手みたいなものはある様なのだが、検証が必要なことと長くなるのでここまでにしよう。
Posted at 2006/07/14 14:30:00 | |
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