
こんにちは、銀匙です。
さてさて、α7はオールドレンズ母艦として購入したわけですが、いつまでも本体のレビューやってるわけにも行きませんので、これからはレンズの話主体で行こうと思います。
今回はロシア製パンケーキレンズ、インダスター50-2と、カールツァイスプラナーを取り上げようと思います。
まずはインダスター50-2から。
このレンズはM42マウントです。
大変小さく薄いので、パンケーキレンズと呼ばれます。
α7につけますとM42-NEXアダプタの方が分厚いくらいです。
アダプタが厚い分、本来パンケーキレンズをつけた時の機動性が高まるというメリットはありません。
ただ、このレンズはレンズ構造がド定番のテッサー型なので意外とまともな写りをします。
50mmF3.5と明るくは無いし、60cmまでしか寄れないのでボケには期待出来ません。
見た目によらず真面目一辺倒なレンズです。
幾つか撮ってみましたよ。

実りの秋。柿の木の大木です。
これだけ実ってると枝が折れるんじゃないかと心配になります。
枝って丈夫なんですねぇ・・・
田舎の道路

破綻はありませんし、ホントに見た目通りの描写。
素朴な味わいです。ホント見た目通り。
年代を考えるとハイコントラストモノクロとかの方が面白いかもしれません。
そして、このレンズに関する情報です。
ロシア物の定番ですが、製造年でいうと1950年~80年までが良いと言われており、特に60年代が一番の黄金期とされています。
このタマの場合は製造番号上2桁が製造年らしいので、それで判断しましょう。
注意点としては、逆光に物凄く弱いです。
黄金期を含む古いタマはコーティングが未成熟なのでカンタンにゴーストが出ます。
また、古い個体はお約束の「ヘリコイドが硬い」ヤツがいます。中には回らないほど硬い物もありますのでオーバーホール前提で買うか、直接現物を確認してから買いましょう。
構造は超単純なので整備性は悪くありませんが、黄金期の普通の個体でも6000円から8000円てとこですから、まともな物を買うのが吉でしょう。
続いてカールツァイスプラナーです。
カールツァイス社製のプラナーは色々なマウントにありますが、これはQBM(クイックバヨネットマウント)ので、Tスターコートはされていない世代の50mmF1.8です。
まぁ、プラナーとしては素というか、超ドノーマルなスペックです。
プラナーの50mmはキングオブ標準レンズと呼ばれています。標準レンズの王様と言われては期待も高まりますよね。
メジャーというか人気のタマはTスターコートがされた50mmF1.4で、ヤシカ・コンタックスマウントの物かと思いますが、あれは日本製です。それが良いんですが、超人気商品なのでとても高いんです。
普通の店なら5万は下りませんし、オークションでも3万弱で安いほうです。
一方、私の買ったこれは西ドイツ製。正真正銘本物のカールツァイス製。
ただ、その割にお値段5000円という事からも解るとおり、ジャンクの故障品でした。
何せ絞りは動かないし、ピント合わせするヘリコイドは硬くて回しにくい、全体は傷だらけ。
前のオーナーは何したんでしょうとオークションの出品者も書いていたくらいです。
レンズだけは奇跡的にクリアでした。誰かが洗浄したのかもしれません。
そんなQBMプラナーに工具片手に3日がかりで奮闘しました。
分解組み立て手順をそらんじられるくらい何度も挑戦しました。
が。
結論から言うと絞りの不調は直せませんでした。
正確には、F5.6以上絞れない。2箇所のバネがへたれ過ぎていました。
とにかくね、職人技に頼りすぎですよ、このレンズ。
押しバネと戻しバネの強さが均一にならないと絞れても元に戻らないとかね。
PENTAXの55mmF1.8とかの方がよほど生産性が高くて故障が少ない良い設計です。
そりゃQBMで故障が頻発するわけだと思いましたよ。
バラすと色々解って面白いです。
で、ヘリコイドの方は直せましたし無限遠も出てますからピントは正確に合わせられますし、深く絞り込まなくてもカールツァイスのプラナーだと解る特徴は解りましたので、これでテストして、気に入ればヤシカコンタックスのまともな個体を探そうと考えました。
というわけで、まずはサンプル。
こういう何の変哲も無い景色を撮っても、それなりに絵にしてしまうのはさすがプラナーです。
しかし、私はまともなコンディションのカールツァイスプラナーを探すのは止めました。
それは、こういうショットが混ざるからです。
まぁ人それぞれなのですが、私はこういう背景処理は「ザワついてウザい」と思うので、気に入らないのです。
私はローライHFTプラナーも持っていますが、こちらは「ボケに沈み込む」と言われるだけあり、ボケ、特に光に滲みが硬くありません。ピントが合ってる所も含めて柔らかい。
それゆえにHFTプラナーは全体的にゆるいと言われますが、私はザワつくくらいならゆるい方がいいので、HFTプラナーを取る事にしました。
ツァイスは全般的にボケにクセありと言われるので、ボケスキーな私とはあまり相性が良くないんですが、突出した繊細派と言われるプラナー50mmでこれですからね・・・
ちょっとガッカリ。いやだいぶガッカリ。
名玉と言われるものでも自分が気に入るとは限りません。
でも名玉で玉が少ないものほど高いし、苦労して高い金払ってやっとの事で手に入れたら嬉しいんですよね。
で、撮ってみて写りにがっかりしても、払った額の事を考えると悪く言いたくない。思いたくない。
なので、特に高いレンズに関するネガティブな情報ってなかなか無いんです。
でも、5000円で買った私はあえてそのまま書いておきました。
私は仕事で評論してるわけじゃなくて、あくまで「オールドレンズ遊び」ですからね。
思った通り書きますよ。
こんな風に言うとジャンクレンズで評価するなとかキングオブ標準に向かってなんて事をとか思う方も居るかもしれませんが、まぁ世の中色々な考え方があるという事です。
あしからず、です。
うちの関連日記・・よろしければこちらもどうぞ。
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番外編:引き伸ばしレンズについて
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2014/4/20追加
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