こんばんは、銀匙です。
さて今回はタイトルの通りなのですが、買って良かったなあと実感するレンズとはナンだろうというお話です。
まず、私は雑誌を買いません。
カメラ雑誌に限りませんけど理由は簡単です。
本文も宣伝しか書いてないからです。
だって、企業が売り出したいレンズに都合の良い情報を並べ、
「だから今までのレンズはダメだった、それに比べてこのレンズはこんなに良い」
という結論ありきで書いてるんですもの。さらに
「今ならOOで買えばOO%のポイントがついて更にお得!」
なーんてCMがすぐ隣に書いてある。
まぁ仕方ないんです。
自分の雑誌のタマ握ってる大スポンサーが見てる前で、
「うわ、今度発売になった22万のズームレンズ、しょっぼww」
とは言えないですもの。
雑誌を買った人が
「よっしゃこのレンズ買うたろ!」
と、注文してくれなければ、
「おう売上目標達成したわ、次の製品もよろしく頼むな」
と言ってくれないし、そうならないとスポンサー降りちゃいますからね。
「売上増の為の雑誌」ですから、貢献してくれなきゃクビです。
だからスポンサー撤退するとその企業の悪口書きまくるでしょ。
マクドナルドとか東京電力とか。
色々溜まってるんですよ、マスコミさんも。
で。
私はそういうゼニ関係のしがらみ一切ありません。
自分の身銭切って買ったレンズですから好き放題書かせて頂きます。
前置きが長くてすみません。
今回の撮影先は銚子の海です。
状況は雨から晴れに向かっており、夜明け前に現地に着きます。
雲と風向から水平線から日の出が見える事はなさそう。
というわけで、海風の中、主に空と雲が日の出頃に刻々と色の変化をする様を広く切り取るという事を想定します。
持っていった組み合わせは以下のとおり。
●NEX-6にULTRA WIDE-HELIAR(12mmF5.6)
ULTRA WIDE-HELIAR(通称UWH)は、コシナがフォクトレンダーのブランドで売っている、銀塩ライカマウント用の超広角レンズです。
私が持っているのはその第二世代、AsphericalⅡです。
詳しくは
こちら
これをライカM-NEXアダプタを付けて撮影してみようと。
狙いはズバリ、
「NEX6でガンガン使って色被りするのかしねぇのか」
ということ。
このレンズ、35mmフルサイズのイメージサークルを持っています。
なのでα7では魚眼でもないのに12mmとして使えるという脅威のスペックです。
しかし。
その割に広角に飢えてるはずのAPSCデジイチユーザが買い占めない。
中古価格の推移を見てればマイナー路線だという事が解ります。
なぜか。
超広角過ぎる、というのもあると思います。
それに加えて、特に四隅、時には画面全域をマゼンタの色が覆い被さる
色被り
という現象が起こるからなんですね。
この現象、ご本家マウントであるはずのライカM系のデジカメでも起きる。
それも鑑賞に耐えられないほど強く起きる。
特に空を写した場合に顕著に現れる。
超広角の主用途といえば風景、つまり空は縁が切れないので、それで空で色被ってどうすんねんと突っ込みどころ満載なんです。
いや、本来は銀塩、つまりフィルム用なんで、フィルムで使えば色被りなんて起きません。
だからコシナに石を投げるのはお門違いです。
ただ、そういうわけでスペックの割にあんまり話題の主役になれないというか、デジタル全盛の世の中ではひっそりした存在になってるんですね。
私も実際α7で使った所、確かに色被りするショットが出ました。
そして困った事にどういう光の状況で起きるのかが今一つ良く解らない。
なのでスペックの良さには納得しつつもお蔵入りになってたんですが、じゃあNEX6ならどうだろうというのが今回の趣旨。
NEX6の受光部はAPSCですからα7より狭いですし、なによりα/NEXシリーズの中で文句無く状態の悪いレンズでも受け付けてくれる率が高いですからね。
装着した状態はこんな感じ。
前玉はNEX6の高さよりデカイです。
もうちょっと小さいと良いんですけどね。
で、結論。
や は り N E X 6 は 喰 っ て く れ ま し た 。
これ、リサイズの為にSilkyPix通してますけど、それ以外無調整。
逆光、複雑な空の色、そして花のきついマゼンタと朝焼けの微妙な色の混合、全部耐えてます。
他のショットもチェックしましたが、マゼンタ被り発生せず。
もう1度書きます。
NEX6はUWH(Asph.2)で色被り出ません!
Asph2以外の世代は知りませんし、NEX3や7では露骨なまでに出ます。
5Nは割といけるとかどこかで書いてあった気がしますが保障しません。
でもNEX6はいける!
さすが悪食大王の名を欲しいままにするカメラです!
やー良かった。
NEX6につけてもUWHなら35mm換算画角で18mm相当ですからね。
今まではこの画角を得るにはα7にFDの17mmF4を組合せるしかなかった。
あれより小さく軽くなりますから旅行用にいいですね。
最後になりますが、このUWHはライカMマウントなんで、ヘリコイド付ライカM-NEXマウントアダプタを経由して取り付けてます。
花の写真で背景が強烈にボケてますが、あれのF、実は11にしてます。
そして花とレンズ先端との距離は15cmあったかな、くらい。
それくらいガッツリ寄ってます。
いざという時寄れるという意味で、ヘリコイド付マウントアダプターは正義です。
ちなみにUWH本体の最短撮影距離は50cmで、これではちっとも面白くありません。何よりボケません。
欠点はユーザーが組み合わせで補う。これも趣味の醍醐味です。
つぎ。
●α7にリコーXRリケノン28mmF2.8
以前もご紹介したんですが、このレンズをご存知の方はマニアです。
新品で出ていた頃はとにかく表立って話題にされる事がありませんでした。
なぜなら当時はごく普通の広角レンズで、しかも安価だったからです。
メーカーも宣伝打って売りまくるぞというレンズではなかったのでしょう。
まぁ当時の事を考えれば、
「キットレンズで50mm単焦点ついてきたし、次は広角で28mm買うかぁ」
くらいに当たり前の選択肢でしたからね。黙っててもそこそこ売れたんです。
そして今はどうか。
カメラマンの方が知り合いの人にだけ、そっと耳打ちするレンズです。
「良いから見つけたら買っておきな」
と。
他に耳打ちされるのはタムロンの52Bくらいでしょうか。
52BBでも72Bでもなく、52Bです。
訳は使えば解ります。説明しづらいんです。でも解ります。
話を戻します。
私がこのレンズを探した理由は、GRDigital4があまりにも良かったからです。
経緯が気になる方は
こちらで読んで頂きたいのですが、一方で私、28mmや35mmのタマは割と手厚く持ってたんです。
ORION15やJupiter12、オリンパスやニコンの一眼レフ用とか。
そんな良いタマが豊富な中で、そういえばα7につけて本格的に撮影してなかったねという事になり、じゃあ撮ってみましょうかという。
で、PK-NEXアダプタ経由で装着したのがこんな感じです。
レンズは大人しく特徴のない外観です。
和製ズミクロンと呼ばれる同じリコー製のリケノン50mmF2とそっくり。
金属の筒、柔らかめのブロックパターンをもつヘリコイドラバー。
絞り羽の枚数もオーソドックスな6枚。
最短撮影距離は30cm。まぁ28mmとしては及第点です。
20cmまで寄れたら良かったんでしょうが、我々Eマウントユーザーはマクロが欲しけりゃ上にも書きましたがヘリコイド付マウントアダプタ買えば良いんです。
ヘリコイド付PKNEXは確かKIPONが出してます。
amazon辺りで探しましょう。
私はフードとしてライカもどきのチャイナノーブランドをつけてます。
プロテクタ+フードでフルサイズ28mmで蹴られないようにする為にはかなり浅いフードでないとダメですね。
APSC機だとこの辺結構雑でもいけるんですが。
じゃ、結果です。
この色、この空気。
まさにこの目で見てきた世界です。
α7にリケノン28mmは相性良いですね。
NEX6より良い。
NEX6だと切り捨てられてしまう周辺部の始末がアクセントになっているのだと思います。
今まで28mmといえば神クラスのレンズであるORION15一択だったわけですが、ORION15とは違った、柔らかさや淡さを緻密に表現出来る。
これはですね、ライカレンズの方程式です。
うちにはかつて、ズマールやズミクロン、エルマーといったライカ(L系ですけど)が居りました。
あまりに相性悪くてズマロン以外手放したんですが、そいつらの匂いです。
そして奴らほど繊細過ぎない。カラーでもいける。
(ライカL系の真骨頂はモノクロで発揮されます。圧倒的に)
それはリケノン50mmF2、和製ズミクロンでもそういう感じでしたから、その当時のリコーの方程式だったんでしょう。
フォコターとはちょっと違いますけど、あれは引き伸ばしレンズなんでね。
とはいえ、不採算でリコーは一眼部門を打ち切っちゃいました。
どうして当時の日本人は買ってあげなかったんでしょうね。
XR1000Sとか使いましたけど、ごく普通に使えるカメラでしたけどね。
とにかく、リコーレンズ、名品です。
50mmF2も名品ですが、このXRリケノン28mmF2.8も文句無く名品です。
α7との相性もバッチリでございます。
見かけたら手に入れて吉というカメラマンの耳打ちは伊達ではありません。
そのリコーさん、今は全周撮影レンズとか訳解んない物作ってますけどね。
一眼用レンズはPENTAX買っちゃったから作らないでしょうし・・
GRでも買おうかな。でもGRD4生きてるからなぁ・・うーん。
最後になりましたけど、買って良かったなと実感するレンズとは何かと言われたら、それはもう間違いなく、出来上がった写真を見て、
「そうそう!これ!これが撮りたかったんだよ!」
と、椅子から飛び上がりたくなるような写りをしてくれるレンズ、という事です。
有名だから、Award取ったレンズだから、誰々が使ってたから、新しいから。
知った事じゃありません。
自分が気に入らなきゃ箪笥の肥やしになりますよ。
玄人好みとか通好みって言うのは「悪いレンズを無理やり褒める褒め言葉」
そんなものはありません。
名品は見る人のレベルを問わず、「あぁ、これは良いものだ」と納得させる表現力があるんです。
ちなみに28mmといえば、FE28mmF2をSONYさんが出しましたね。
はっきり言います。
ボケや色の処理が雑すぎて使い物になりません。
FE35mmもロクデナシでしたけど、またやりやがったという感じです。
あれで5万ですよ。
XRリケノンの50mmと28mm両方買ってもおつりが来ますし、よっぽど幸せになれると思います。
最終的にデジタル加工で修正すりゃ良いなんて雑に考えてるのがそのまんまレンズに出てます。
あれならミノルタのSR世代のレンズをT*コートしてAF化して売ったほうがマシ。
過去の資産は美味しく生かすべきなのに、勿体無い事してますね。
それでは。