こんばんは、銀匙です。
前回、カメラバッグ沼にはまり、終いにはDIYする為にミシン(手縫い機)から作った話を書いたわけですが、やっとこさ物が完成しましたよというのが今回の話。
作った物は2つです。
1つは大きなカメラバッグ、もう1つはRX100用のケース。
ではRX100用のケースから。
全体像はこんな感じです。
このケースに使用した革はアルカンターラでございます。
タイトルに書いてるんだから解ってますよね。
アルカンターラなんて初めて触りましたが、これ、通販で反物として普通に売ってたりします。
およそ1メートル四方で3500円くらいでしたかね。
自動車用じゃないビニールレザーとかなら同じくらいで1000円も出せば買えますから、めっちゃ高いです。
でも手触りは間違いなくバックスキンです。
手触りも仕上げも良いですし、厚さは1mmくらいありますかね。
それでも裏は布っぽい。決して革のそれじゃありません。
そもそもデニムでさえ布の「厚み」なんて無いに等しいですから、しっかり断面が見えるという時点で布じゃない。
革のようで革じゃない、布のようで布じゃない。
例えば縫製に関しては皮革用の糸で縫っていきますし、私はパンチングレザーでパンチ穴に沿って縫いましたので穴あけはしていませんが、穴の無いタイプなら菱目打ちで先に穴を開けていくのが必須となるでしょうから、ここは革の作法です。
でも切っただけでコバも裏面も奇麗でカスは出てきませんからトコノールは要りませんし、コバ磨きも要りません。これは布の作法です。
革か布、どちらかの扱いではなく、どちらの扱い方も知ってなければ扱いにくい。
人造皮革は人造皮革という1つの分野なんだなとしみじみ思いました。
さて。
このケースは実はかなりタイトな作りになってます。
なぜかというとRX100M3を横に納め、腰ベルトに通す仕組みなのですが、車のシートベルトをした時に変に足の動きを邪魔しないようにしたかったのです。
その為にベルト通し部分にはナイロンバンドを2重に使用し、ベルトとの接触面には別の布を挟み、面圧をかけるようにしています。
表地はアルカンターラで、裏地にはしじら折の布をあしらいました。
表地と裏地の間にはアルミ保温シートを全体に施したことでより肉厚にふんわりとした感触になり、また、ベルト通しがある背面には樹脂パネルを挟み、耐久性に配慮しています。
サイド部分は30mm幅の織ゴムを使用。適度にケース前面を引き戻すことでタイトなホールド感と取り出しやすさを兼ねています。
実際にカメラを入れるとこんな感じです。ぴったりしてるでしょ?
上蓋には8mm幅の織ゴムが縫い付けてあり、ケース前面にあるボタンにゴムを引っかけて固定します。
織ゴムをの着脱は人差し指1本ですぐに出来ますし、無音です。
静かな環境で出し入れする時に、マグネットホックのパチンという音や面ファスナーのビリビリバリバリというような無粋な音を立てる必要はありません。
私は、こういうのが欲しかった。
でも、どこにも売ってなかったんです。
では次、カメラカバンです。
幅36cm、奥行20cm、深さ25cmというサイズは、やや小ぶりなクーラーボックスのような、全く面白みのないデザインです。
ただし表面に使われているのは自動車のシートや内装材に用いられる難燃性の合成皮革です。
実際、製作中に何度も皮革用紐の端末を焼き止め処理する為にターボライターの火を近づけましたが、全く燃えることも溶けることもありませんでした。
表面は普通のシボのある革という感じです。
アルカンターラほど厚みが無いこともあり、かなり厚めの布と同じようなマナーを示しますが、伸びはほとんどありません。
手縫いも出来なくはないですが、せめて目打ちか長針のステッチルレットでガイド穴を開けておく方が良いでしょう。
コバ磨きとかが要らないのはアルカンターラと一緒ですが、こちらの裏布は真っ白なので、縫製の仕方によっては白い裏地が見えます。
どーんと裏布を見せてしまうと意外と気になりませんが、側面とかからちらちら見えるのは割と気になるので裏布を黒く塗った方が良い場合もありました。
こちらは1.5mx1mで送料込み4000円強でしたから、結局アルカンターラとそう変わりないです。
さて、ふたを開けていきます。
蓋は本体に覆い被さっているだけなので、無音で開けることができます。
携行する時は被さっている前タレの部分を本体側につけてあるナイロンバンドに通せば勝手に開いてしまうこともありません。
蓋とかばん本体とは面ファスナーで固定しているだけですから、御覧のように外すことも出来ます。
蓋の内側はしじら織の布をあしらっています。
表地と裏地の間にはこちらもアルミ保温シートをクッション材として全体に施しています。
本体側の内部はこのようになっています。
本体側裏地は耐久性に優れたデニム生地を採用しています。
底には0.75mm厚の樹脂板を敷いて型崩れの防止と荒れた地面に置いた時の保護を兼ねてます。
機能性について、奥(写真でいう上)から説明します。
まず、幅はA4用紙が入るクッションケースが余裕をもって入れられます。
内側側面には、深さ方向の上下2段に面ファスナーを1周ぐるりと縫い付けています。
写真でいう左側面には3つのポケットを装備したサイドパネルがありますが、このパネルは面ファスナーで固定されているだけなので必要に応じ着脱できます。
最もスペースを消費しているのはエツミのE-746というカメラ用クッションボックスを2個縫い合わせたものです。
じゃあ、この中にどれくらい入るか。
この写真では、上から順番に
・A4クッションケース:A4書類30枚を挟んだクリアフォルダを格納
・カメラボックス:以下の通り。
・SIGMA dp0クアトロ
・SONY NEX-5R+フォクトレンダー Ultra wide heliar 12mmF5.6(初代)
・オリンパス OM 300mmF4.5
・KMZ Jupiter-3 50mmF1.5
・マイクロファイバークロス
・ミニブロワー
・サイドポケット:以下の通り
・SONY RX100M3
・スマートフォン&ガラケー
・絆創膏や爪切り、耳かき等の小物
その他、空きスペースに2つ折り財布も入れてます。
このほか、カメラボックスには更にNEX-6に標準ズームの組み合わせを入れられますし、A4書類は更に1束位入りますし、カメラごとの充電器と予備バッテリーもRX100近くの空きスペースに十分入ります。
そのうえでウインドブレーカーや小さなお土産の箱くらいなら蓋と本体の間の上部空間に納められます。
また、RX100だけサイドポケットにしているのは理由があります。
このバッグは車に乗り込む際、助手席に置くことを想定しています。
バッグの蓋は折りたたむなり外してしまえば上が丸ごと開きます。
そしてサイドポケット側を運転席側にする形で置いておきます(写真でいうとバッグ左側に運転席という配置)。
走行中、ふと見ると良い夕日で、駐車スペースもあったとしましょう。
田舎では割とある事態です。
そんな時はスムーズにカメラ持って外に出たいじゃないですか。
だからRX100は取り出しやすい位置に置けるようにしたのです。
こんな風に。
スマホもこの辺りの位置にあればすぐに取り出して撮影し、SNSなんかに送れます。
運転中の操作は「ダメ・絶対」ですが。
ちなみにこのカメラバッグはショルダーバッグです。
ただ、一応肩紐はワンタッチで外すことができます。
肩紐に連なるDカン部分は30mm幅の頑丈なナイロンベルトを使用しており、これがバッグの底面を通り、反対側のDカンまでつながっています。
実際、このかばんを富士山の撮影や海での撮影等に連れ出しながら仕様を煮詰めていったので、自分としては満足しています。
結局のところ、カバンそのものはズタ袋じゃないですが、なんでも入る適度な容量と、くにゃくにゃ変形する融通性がある方が良いんです。
北海道に持って行ったケースロジック製のリュックはまさにこの逆で、あれはここ、これはそこといったように厳密に置き場を指定され、融通が利かず、その割にデッドスペースの多い代物でした。
更にはそこかしこに分厚いクッションが入ってるわけで、見た目で予想するよりずっと物が入らなかった。
空きスペースはあるのに融通が利かないのが更に拍車をかけました。
DOMKEのF-2は、要は幌布の袋です。
それはもうくにゃくにゃと変形してくれますし、クッション材が全く無いので見た目以上にバンバン入ります。
ただ、サイズがちょっと足りなくてA4用紙が入らない。
正確には入るけど曲げないといけない。
クッション性ゼロというのも気になりますし、肩紐が縫い付けられてるのも気になる訳です。
まぁレンズシステムも大体落ち着いてきましたので、それを入れられるよう、色々なカバンを見て、あんまり安くもないのですが様々なカバンも買いました。
確かに表参道に電車で行くのにこのかばんを使うかと言われればNOです。
それこそF64のコンパクトなカバンの方が都心の電車内では溶け込めるでしょう。
でも、田舎で、車の助手席で、空港で、車からホテル、車から撮影場所までで、保有する機材を納め、運ぶ時には私はこのかばんを手に取るでしょう。
ちなみに三脚は三脚で別のケースに入れて持ちます。一緒には入れません。
精密電子機器の隣に重い鉄(アルミ)パイプ置きたくないですから・・
また使ってるうちに気になるところが出てくると思いますし、もう1個作るかとなるかもしれませんが、今のところはこれで満足です。
ミシン(手縫い機)から作ることになるとは思いませんでしたけどね。
でも、市販されてるもので納得できるカバンが無い以上、作るしかないじゃないですか。
え?諦めろ・・ですか?
車でも試乗の時に気になったことって手放すその時まで気になるじゃないですか。
それと同じで、人間、本当は諦められないんですって。
ただ我慢してるというか、見ないふりをしているだけで。
諦めたらそこで試合終了です。
探しても無いなら自分で作る。
作れないなら作れるように知識を増やす。
練習して及第点の腕になる。
縫うのが痛ければ工具から作る。
そうして納得出来るところまでやったほうが、たとえ完成までたどり着けなかったとしても後々満足できると思うのです。
そう。
今まで買ったカメラバッグ全部と工具代と材料費と書籍費全部合わせればDOMKEのF-2が何個買えたかなあという状況であったとしてもです。
まぁこういう人がドロ沼にはまるんですよというオチですねw