こんばんは、銀匙です。
暑い日はエアコン効いた部屋で縫物でもしてるに限ります。
で、カバンの硬い部分を縫う為にDIYで作ったミシン(手縫い機)ですが、カバンは出来たものの、その縫製作業中に幾つか操作性で不満を覚えていたのです。
どうせDIYで作った物ですから納得するまで作り直しちゃえ、というわけでミシンのバージョンアップを致しましたよというのが今回のお話。
前回出来上がったミシンで不満だったのは
・糸が不必要に繰り出されてしまう
・糸を戻しにくい
・縫ってるうちに糸がテンショナーから外れてしまう
という3点でした。
もともと前回のミシンを設計する際、糸を戻すという行為は多発しないが出来るようにはしておきたいという考えだったのと、引き攣れが起きないようにボビンはテンションの為に若干の手ごたえはあっても基本的に引っ張られるままカラカラ回るようにと作っていました。
ところがこの仕様の手縫い機で縫うと、
1.針を布に通す
→この時ボビンが勢いよく引っ張られて無駄に糸が出る。
2.針を少し戻し、出来た輪に下糸を通す
→この時輪を広げることがあり、少しでも上糸を引っ張れば
更にボビンから糸が出てしまう
3.針を引き戻し、片方の手でミシンを、残る手で下糸を持って両方から引っ張る
→この時ボビンから糸は出てほしくないが手が両方塞がってて固定出来ない!
4.糸を相当巻き戻す
5.1に戻る
という経過を辿り、4のところで盛大に糸をボビンに戻さねばならない訳です。
ところが糸テンショナーが送り出す方向しか考えてなかったために、逆流させると徐々に巻き付けが解けてしまい、長距離戻すとあちこち絡まる訳です。
そしてサイド出しのボビンが地味に縫ってる時に引っかかる。
というわけで、ミシンバージョン2はこうしました。
じゃん。
前バージョンはこんなでしたからずいぶん変わりました。
まず、ボビンはサイド配置から同軸内配置としました。
これは単純にボビンが少しでも邪魔にならないようにという配置ですが、もう1つ意味がありますので後で説明します。
ボビンの着脱はどうやるかというと、ミシンボディの後半を後ろに引き抜きます。
すると木軸だけになりますから、ボビンも後方に引き抜けます。
こんな感じですね。
ボビンに糸を補充したら木軸に通します。
ミシン後半も戻した後、ここも変えたところですがボビン上部に来ている金属「輪」をくぐらせます。
前回のテンショナーは画鋲の周囲に「巻き付ける」でしたが、今回は「輪の中」をくぐらせます。
この変更により糸が前進しようと後退しようとテンショナーから抜けることが無くなりました。
さらに前方のテンショナーも金属の「輪」にしましたので、ここに糸をくぐらせます。
今回はテンショナーとは言ってますが、金属輪にテンションをかける能力はありません。糸のルートもほぼストレートですから巻き付けトルクも発生しません。
じゃあどこでテンションをかけるかというと、ボビン部なのです。
もう一度、ボビンを外した写真を出します。
ボビンを刺す木軸はミシンボディ後半に行くほどテーパーがかかり、細くなっているのが解るかと思います。
一方、ミシンボディ前半に行く寸前で、ボビン直径を超える太さになるようにしているのです。
ボビンをミシンボディ後半にずらせばフリーで回り、前半にずらせばロックされる訳です。
その差は5mmから1cmないくらいという僅かな距離です。
フリー状態
ロック状態
この仕様のミシンで縫うとこうなります。
1.針を布に通す
→この時ボビンが勢いよく引っ張られ、ボビンがミシンボディに対し前進。
自動的にボビンがロックされ、最小限しか糸が出ない。
2.針を少し戻し、出来た輪に下糸を通す
→この時すでにボビンはロックされているが、必要に応じ手でアンロックし
引き出すこともできる。
3.針を引き戻し、片方の手でミシンを、残る手で下糸を持って両方から引っ張る
→2でアンロックしていても再びボビンが自ら前進し、ロックされる。
手は糸を引っ張ることに集中できる。
4.必要に応じ、ボビンをアンロックして出ている糸を巻き戻す。
5.1に戻る
要はボビンは常時ロック状態にし、引き攣れた時などにいつでも指先でアンロック出来る、ただし次の工程ではすぐにロックされる、という仕組みにしたのです。
それはただ単にミシンから糸が繰り出される方向に引っ張られたらボビンが木軸の太い方向に引っ張られ、自ら締め上げるというだけなのですが、これが結構具合がよろしいです。
写真に写っているのはカバンにも使った厚さ1mmの合皮ですが、全く力をかけることなく針が通せますし、余計な糸が出てこないのでサクサク縫えます。
ミシンの針は使い終わったらボディ内に仕舞えますから安全です。
最近は針は14号をメインに使ってます。
革と面ファスナーに一気に刺すには11号だとちょっと心配なので。
あと、手縫い機にはもう1つ問題があります。
最初に引き出しておく下糸を、行程2で上糸の輪の中に入れる部分が面倒なのです。
一針毎に糸通ししてるわけですが、糸はふにゃふにゃなので実に通しにくい。
上糸の輪も毎回綺麗に開く訳でもないですし。
このため、下糸側にも針を付けたこともありましたが、何回か片結びしても緩んできますし、針を遊ばせとくと思わぬタイミングで自分の手に刺さったりするわけです。
で、その答えがこれです。
作った人が不器用ですから歪んでますけどゴミじゃないんですよ。
右側にくるくると2周ほど鉄の輪が出来てますよね。
使い方は簡単で、鉄の輪と輪の間に下糸の先を挟むんです。
上糸の輪の中に入れる時は左側の針金先端で糸の輪を適度に開きつつ押し込んでいきます。
途中で鉄の輪の反対側から出た針金が来ますが、上糸の輪が左から通ってくると、針金が鋭角に折り曲げてあるのでそのまま糸の輪が広がり、下糸を挟んでる鉄の輪をくぐらせてくれるという訳です。
もちろん用が済んだら挟んであるだけなので糸を引き抜けばOK。糸を痛めることもありません。
そんなわけでミシン(手縫い機)のバージョンアップ、完了です。
手縫い機自体を仕舞っておくケースでも縫おうかな・・・