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銀匙のブログ一覧

2020年03月29日 イイね!

2020年現在、私がおススメしたいミラーレス用オールドレンズとかカメラシステム

こんな時間にこんばんは、家に籠ってる銀匙です。

さてさて、ふと気づいたら前回NEXやα7向けのおすすめレンズを記事を書いたのって5年も前だったんですね。


まぁそれからも色々失敗しましたし、色々後悔もありますけど、今現在防湿庫に残ってる個体はいずれも理由があって取っておいてるわけですし、おススメできる理由があります。
なので5年ぶりに、現在おススメできるオールドレンズとかカメラボディとかの話を書いてみようと思います。

※以前にも紹介してる物もありますけど、それは重ねておススメという事でご容赦を。

さて、まずカメラボディの方ですが、中古まで視野に入れるのであれば、オールドレンズ母艦として適切なのはやっぱり
NEX-6
α7
α7Ⅱ
NEX-5R(5T)
この4つになると思います。順位もこの通りです。


以前プロカメラマンのコメントを紹介しましたが、オールドレンズはあくまでも趣味です。
趣味にバカほど予算突っ込める人もそう居ないですし、私は何度も言ってますが予算を突っ込むべきはレンズであってボディは二の次です。
ただ、最低限レンズを運用する為に必要な物があります。
例えばこんな感じです。
・電子水準器があること
・MF用に拡大できるEVFがあること
・イラつかない程度のレスポンスを確保していること
・マウントアダプタが豊富にあること
・2アクション以内で露出補正出来ること
・重すぎないこと
例えばどれだけ良い超広角レンズであっても、水平線が5度も傾いていたら写真として破綻します。
しかし超広角レンズの映像を見て正確に手持ちで水平が出せる人間はそう多くないのです。
ゆえに光学ファインダではなくEVFになりますし、電子水準器は絶対に必要なのです。
レンズを装填する時は出来るだけ1つのアダプタでレンズとカメラをつなぐ方ががたつきが少なくて済みますから、専用のマウントアダプタが豊富にそろっている方が良いわけです。
露出補正は出来れば専用ダイヤルがあるほうが良いですが、しょっちゅう操作するわけでもないので2アクションでも良い。でも3アクション以上かかるのは頂けない。
まぁ全部書いていくとふざけんなってくらい長くなるのでこの辺にしておきます。
あとはトータルとして、バッテリの種類は4つくらいまでにしておいた方が良いと思います。
充電器の管理が結構大変。ボディ直充電可能というのも、実は専用ケーブルでないとダメというパターンが多いし予備バッテリが充電できないという別の問題もあるので、あればベターだけど必須ではないんですよね。

というわけでやはりNEX-6がぶっちぎり1位で、条件付きでα7、α7Ⅱと続きます。
α7とα7Ⅱはどんなレンズを使うかで順位が入れ替わります。
EVFのない5R(5T)が入ってるのは後述するたった1つのレンズの為ですが、そのレンズには明らかに5Rが最高の相性なのです。

では、ボディの話はこの辺にして、レンズ行ってみましょうか。
ご紹介するにあたっては、レンズ単体よりは組み合わせとしての見た目や話もしたいので、セットにしてご紹介していきます。
まず全体での私の印象を一言で示し、製品名、セットでの総重量、外観写真、コメントの順で書きます。
また、NEX6ではマウントアダプタとしてフォーカルレデューサー付きのアダプタを装填しています。
フォーカルレデューサーとはレンズのイメージサークルを0.7倍に縮小し、NEX6のAPS-C受光部に「ほぼ」フルサイズのイメージを取り込めるようにするものです。
つまりNEX+オールドレンズと言えどもフルサイズレンズの撮影画像を切り取らず、フルサイズのまま撮影出来る環境という事です。
したがって素通しのマウントアダプタよりは重いです。
というわけで、セットでの重さを記すことにしたのです。


あと、最初に書いておきますが、現在SONYが売っている24mm-70mmの標準ズームレンズ(SEL2470GM)は886gです。
いいですか、レンズ単体で886gですからね。


では始めます。

「鬼才」Sigma dp0 quattro 596g

もう何を差し置いても1番に紹介すべきカメラでしょう。
実レンズは14mmF4、それをAPSCフォビオン受光部で受け止め、35mm換算21mmとなるシステムです。
クアトロ世代になってフォビオンのいなし方に慣れたのか、シグマのカメラは暴れなくなりました。
設計者が光学的にベストだけど、まさかこのまま通るとは思わなかったという14mmF4レンズもそのまま採用されました。
ゆえにdpクアトロはメリル世代から極めて高性能と評判の高かったdp3クアトロと、この「ゼロディストーション」dp0クアトロの2台は別格の存在です。
画面端にまっすぐな物を配してもまっすぐなまま写し取る、常識が通じない14mmレンズ。
単なる曇り空でさえドラマに仕立てる脂の乗ったクアトロ世代フォビオンセンサー。
それらをマネージメントするSPP(SigmaPhotoPro)というPC現像ソフトウエア。
このカメラを運用するにあたっての注意点はただ1つ。
絶対に、間違っても、jpg保存してはいけない。
SPPでFillLightを適切に設定してこそ、その真価が発揮されるのですから。
中古で5万台まで下がってる今こそ、だまされたと思って買ってみてください。
雄大な自然にレンズを向けてあげてください。それこそがdp0の生まれてきた理由です。


「デキる執事」GRDigital4 218g

もう何度紹介したか忘れましたけど、結局風景を28mmで切り取る仕事を任せられるのはいつだってGRDigital4しか居ないのです。
今はGR3が出ましたけど、28mmというたった1エリアの為に10万投じられる人は多くないはず。
そしてGRはGRDigitalの後継ではなく、よりスナップシューターとしての性能を強化しています。
だからこそ、たった1/1.7インチの1000万画素センサーで、発売から9年も経ったコンパクトカメラを手放せないのです。
確かに最新のコンパクトカメラ、例えばRX100シリーズに及ばない性能は多々あります。高速で動く物を対象になんてできません。
しかし、RX100では到底たどり着けないステージに、片手で簡単に切ったショットで到達するのです。
撮影者すら気づかなかった領域、見た目以上となる解釈を「こうでございますか?」とひょうひょうと描写してくる。
50万かけて組んだ一眼レフよりも、迷った時に頼れる存在。
決して出しゃばらず、ポケットにじっと潜む、主人以上にデキる執事。
それがGRDigital4というカメラです。
中古で2万円前後になって久しいですが、ずっとそのまま下がらない。
9年経ったコンパクトカメラでまともな値段がつくなんて個体は、あとはCONTAXのTVSデジタルくらいでしょう。
リコーの究極の名機です。
1万5千円台で買えるGRDigital3でも大体同じことが出来ます。GRD4なら白でも黒でも中身は同じ。
買うならグリップのべたついてない個体をどうぞ。


「超広角の終着点」NEX5R-UltrawideHeliar12mmF5.6 457g

NEX-5Rはこの為に生まれてきたのだろう、というのは大げさです。
ですがマゼンタ被りのしにくい秀逸なAPS-C受光部を内に納めつつ、同じ受光部を持つNEX6よりも引っかかりにくくコンパクトな筐体を有するわけです。
本当にコートのポケットにねじ込めるのに、いざとなれば軽機関銃のように秒間10コマを刻める能力もある。
一方、UltraWideHeliar12mmF5.6の初代レンズは、ライカスクリューLマウントでありながら、同じくコシナがフォクトレンダーブランドで発売したベッサLという距離計の無いカメラでの使用を想定したため、ライカの距離計に連動しません。
であるがゆえにきちんとしたヘリコイドを有する12mmという超広角レンズでありながら信じられないほど小さい。
※第2世代からは距離計に対応し、フィルタを付けられるボディにするために巨大化してしまいました。レンズ構成はメーカー曰く初代も第2世代も全く同じとのことです。
そしてこれよりも望遠であるSuperWideHeliar15mmF4.5はデジタルカメラに装填すると派手なマゼンタ被りを起こすのですが、UltraWideHeliarはα7で周辺部に薄目のマゼンタ被りが出る以外は出ないのです。
それでも安全を求めるならα7Ⅱで注意して運用するか、最初からAPS-Cで四隅を切り落として18mm相当として運用するかのどちらかです。
私は徹底的に安全主義なので後者を選び、その為にNEX-5Rを用いました。
元々距離計概念が無いNEX5Rとの相性は大変良く、ほぼ大体が無限遠設定で良い風景撮影においてはUWHの距離設定が無限となってる事を確認し、映像を背面液晶で見つつシャッターを切る。
信じられないほど小さな筐体はそれだけで35mm換算18mmの映像をメモリーカードに納めます。
このレンズ、逆光耐性が信じられないほど高いです。今時の超広角にありがちな緑の多重円がベターっと画面いっぱいに広がる事もありません。
湖に沈む夕日とか、これでしか撮れない世界は確実にあります。
また、実際の所はα7Ⅱでマゼンタ被ったことはほとんどないので、時々α7Ⅱにつけて「12mm広い~」と言いながら楽しんでます。
惜しむらくは12mmというあまりにも広角なことと、初代が発売された時、距離計非連動だったために売れず、個体の生存数が少なすぎることでしょうか。
上述した15mmのSWHはたまに見かけますが、マゼンタ被るので買わない方が良いです。
売ってるとすれば全て揃ってて5万くらい、専用ファインダが無くて4万くらいですかね・・
超広角をお探しの方はぜひ。北海道とか連れてくと楽しいですよ。


「中望遠の結論」NEX6-SIGMA60mmF2.8Art 548g

銀塩一眼の世界では、中望遠=85mmF1.4という図式がありました。
しかしF1.4を達成するため、その筐体は太り、ガラスは大きく重くなりました。
そこに一石を投じたのがタムロンの52系(90mmF2.5)でした。
要はF1.4なんかなくてもボケが綺麗なら使い物になるよ!ということを示し、今尚名玉として初代52B、通称茶筒はリストに載ってます。
しかし、90mmをAPSCで運用すると135mm相当になり、ちょっと長すぎる。
APSCとフルサイズの係数は1.5ですから、55mm~60mmが中望遠という事になります。
ただ、ボケ具合はあくまでも焦点距離並みですから85mmの方が良くボケますし、解像度も高い・・はずでした。
その常識を打ち砕いたのがDP3メリルにも搭載された、この60mmF2.8レンズでした。
APSC専用レンズとして、このレンズはArt、つまりガラスレンズの設計だけで諸収差を抑え込む大変凝った設計をしています。
超解像、剃刀などの名を欲しいままにしつつ、ボケの質も滑らかで、それでいて大変軽くコンパクトな仕上がり。
もう85mmF1.4に固執する理由はなくなりました。
今はディスコンとなり、ボディ側での収差や歪みの補正を前提とした56mmF1.4を中望遠(換算すると85mmF1.4である為)の後継としていますが、私はこれこそ中望遠に求められていた要素をしっかり持っているレンズだと思います。
電源OFFにしたときに振ると小さくカタカタ音がすることとか気にしないでください。
NEX6の起動が遅くなるなら撮影する間電源入れっぱなしにしてください。
そんなことがどうでも良くなる位の仕上がりをもたらしますから。



「標準ズームのお手本」NEX6-SEL1855 545g

545gです。
ボディもレンズも全部ひっくるめ、バッテリもメモリカードも、プロテクトフィルタもフードも入れて、全部込々での重量です。
レンズ内手振れ補正も入ってます。ちゃんと仕事してくれます。
1インチセンサーのコンデジに比べたってちゃんとAPSCミラーレス一眼たる描写をしてくれます。
換算28mm-83mmの標準レンズとして、普通の使い方をする限り、音もなくしっかり働くAFが入ってます。
特殊な環境条件は苦手です。開放では端の方の描写は緩いです。でも標準ズームとして多くの人が求めるレベルとしては及第点です。
後継のSEL1650に比べて鏡筒が大きいと敬遠されますが、実はこちらの方がちゃんと写ります。意外とボケも滑らかです。
SEL16F28はゆるゆるの描写ですが、こちらは普通に使える標準ズームです。一緒にしては可哀想です。
ミラーレスが一眼レフを駆逐していった最たる理由である、「ちゃんと一眼並みに写るのに軽くてコンパクト」を体現するセットです。
PENTAXの18-55と並び、私がお金を出して買っても良いと思う標準ズームレンズです。
一本は普通のレンズも持っていこうかな、そんなときにピッタリです。



「ありえない筈の広角」NEX6-Distagon25mmF2.8 866g

今、なぜか知りませんが広角でF値を低くするのがブームのようです。
24mmF1.8とか。
それは寄って寄ってF値を低くして、ボケにくい広角レンズでボケを生み出そうとしてるのかもしれません。
ボカしたいなら標準域買えよと思うんですけどね。
それはともかく、このY/Cコンタックスマウントの25mmレンズ。
開放値はF2.8です。普通ならボケないと思いますよね。雑にピント合わせてもF値を5.6辺りにしておけば何とかなると思いますよね?
残念ハズレです。
このレンズはEVFでしっかりピントを合わせたいところを睨みながら細かくフォーカスリングを回して厳密にピントを合わせないといけないんです。
あり得ないほどの剃刀ピントなんです。
他の広角レンズなら上に書いたことが常識です。
ですがね、だからこそピントが合っていれば物凄くしっかり解像してくれます。
富士山の5合目から街灯1つ1つを粒として点としてしっかり描けるレンズなんです。
さらに重いです。そのうえKIPON製のフォーカルレデューサーも重いです。でもYCコンタックスのレンズには並のフォーカルレデューサーではパワー負けしてしまうんです。
納得しましたか?じゃあ重さを我慢して連れ出しましょう。
帰ってきて確認した時、EXIFを見なくてもディスタゴンで撮ったと解るほど、
「うへ・・すげぇ」
そう呟く結果を得るために。
なお、このレンズはα7系で運用しても変わりません。フォーカルレデューサーが重いのでNEXでも重量的なアドバンテージが無いんです。



「お洒落なミラーレスの具現化」NEX6-MD45mmF2 615g

ミノルタSRマウントはフランジバックが一眼レフとしては大変短いマウントでした。
ゆえにAF機であるα7000を売り出す時、マウントを変えざるを得なかったのです。
見捨てられたマウント、長らくそう呼ばれてきたSRマウントレンズは、ミラーレスで息を吹き返します。
短いフランジバックはマウントアダプタの長さを短くしてくれます。
とはいえフォーカルレデューサーレンズを組み込める程度には長さがありました。
ゆえに無駄のないみっちりとした高密度感を味わえるのです。
また、このMD世代の45mmF2レンズは、当時流行ったパンケーキレンズのような外観をしていますが、パンケーキレンズに向くもののボケに雑味が酷いテッサー型ではなく、徹底的にこだわったダブルガウス型を採用しています。
つまりパンケーキレンズなのにボケが綺麗なんです。前玉がしっかりと大きいのもポイント。
短いSRマウントアダプタとパンケーキレンズが相まって、NEX6を不格好にしない珍しい組み合わせになってます。
描写はいかにも80年代の一眼レフといった味付けですが、今でも通用します。
家族の旅行写真とか撮ると濃ゆい味付けをしてくれると思います。
特に上の世代の方にとっては「懐かしく古き良き描写」と感じるようですよ。

ちなみにα7ⅡにMD45F2をつけると・・


「ちょっとレトロチック」α7Ⅱ-MD45mmF2 821g

となります。ほんとに80年代の銀塩一眼レフに標準レンズ付けたような感じですよね。
描写に差はありません。フォーカルレデューサーを入れてない分、ごくわずかにα7Ⅱの方が広範囲を写せます。


「極めて平凡な従者」NEX6-MC28mmF3.5 741g

SRマウント2本目は、50mmF1.7に次いでタマ数の多い28mmF3.5です。
50mmF1.7はカメラボディを買うとついてきましたから、実質一番買われたレンズという事になります。
GRDigital4でも選ばれたとおり、28mmという焦点距離は人がちょっと全体俯瞰してみる時の、見たい時の焦点距離なのかもしれません。
人によってそれは35mmだという人と28mmだという人に分かれるようです。
お好きな方をどうぞ。
こちらのセットはGRD4とは違い、見たままそのままの描写です。
ただ、四隅がボケてボケて直らないといったこともなく、実に素直な光学系なので現代のレンズが時折やらかす、特定条件下でのバグのような変な描写はありません。
要は主の言う通り、歯向かわないという事です。これが出来てない躾の悪いレンズが結構あったりするんです。最新のレンズでも。



「マスコミの標準」NEX6-SuperMultiCoatedTakmar35mmF3.5 641g

かつて銀塩一眼と言えばペンタックスSP、そう言われた時代がありました。
ちょうど、前回の東京オリンピックの直前でした。
作っても作っても作るそばから売れていく。まさに飛ぶように売れたペンタックスSP。
市民ももちろん買いましたが、主に買っていったのはマスコミ、そして警察でした。
警察は何の為かというと、現場写真の為。マスコミは何の為かといえば、報道の為。
どちらも徹底的に写実性を求めます。
彼らは55mmF1.8では満足しませんでした。いわく、ボケは要らないんだ、と。
画面の端から端まですっきり見たままに写してほしい。出来ればパッと見た範囲全部を。ちょっと55mmじゃ狭いんだよね。じゃあ頼むよ、と。
そんなニーズに応えるためにペンタックスが用意したのが、このSMCT35mmF3.5でした。
ボケが求められない以上無駄なF値は要らず、携行性と最も売れていたISO100フィルムで実用的なシャッター速度を出せるよう、軽く絞ってF4とするために開放Fは3.5としました。
一方でF8で5mに合わせれば2.5mから無限遠までピントが合うようにしました。常にそこに設定しておけばフォーカス要りませんよということです。
パンフォーカスという事ですね。
こちらは35mmがしっくりくるという方におススメです。
今見ても実に見たまま、ありのまま、そのまま、そういう形容詞がしっくりはまります。
ですがどことなく、いつかの新聞で見たような写真のような仕上がり。
記憶というよりマスコミの写真のイメージたる描写。
現代レンズとは異なる描写ですが、SMCT、つまりマルチコートですから扱いはオールドレンズとしてはとっても簡単。
沢山作られたので値段もお手頃。タクマー55mmF1.8を買って楽しんだら、次に如何ですかという1本です。
モノクロだと一層新聞テイストかもしれません。


「ロシアンパンケーキ」NEX6-INDUSTER50mmF3.5 549g

このレンズは40年以上前に作られた、M42マウントのカメラボディならパンケーキになるレンズです。
パンケーキはテッサーという常識に忠実であり、ピントを合わせた所への鋭い描写は40年以上たった、ノンコートのちっこいレンズとは思えません。
とはいえミラーレスではM42の分厚いミラーボックスの分だけアダプタに厚みが必要なのでパンケーキにはなりません。
ちょっと垢ぬけず、全体に寂しさを薄く乗せるかのようなロシア的描写を楽しむなら、この2千円程度で買えるレンズは良い選択肢でしょう。
モノクロだと一層ロシア的です。あまりピントが合ってなくても雰囲気濃厚なんですよねぇ。不思議。


「メーカーの威信をかけた描写」NEX6-AutoYashinonDS50mmF1.7 727g

80年代の一眼レフでは大体50mmF1.8か50mmF1.7を標準レンズとしてボディとセットにしていました。
つまり顧客が一番最初にファインダ越しに眺めるレンズとなる訳で、これで印象が悪いとラインナップしてるレンズを買ってくれません。
ですから実はとてもお金と時間をかけて良い印象となるように設計されたレンズであり、数が多いので安価でもあるのです。
ヤシノンレンズですが、富岡製かどうかは私には解りません。
ただ、同じヤシノンの50mmF1.9とならび、ボケの蕩け具合は十分に納得出来る1本です。
F1.4以下でないとボケじゃないなんて思ってるあなた、ぜひお求めください。
メーカーがしっかり設計した、これぞ単焦点という要素が満載ですよ。



「望遠x携行性xボケ=」NEX6-TeleTakmar200mmF5.6 911g

例えば雲海を撮る時、望遠でありながらボケに留意しないといけないことがあります。
しかし、100mmを超えるレンズでボケに配慮されているレンズは意外と少ないのです。
特に絞り羽は少なく、簡素になる場合が多い。
ところがこのPENTAX TeleTakmar 200mmF5.6は違うのです。
絞り羽が10枚もあるんで、最小のF22までずっとほぼ円形を保ちます。
それは絞りの制御が完全手動、つまりピント合わせの時に勝手に開放にしてくれる機構が入ってないために出来た事。
しかしミラーレスでのオールドレンズ運用ではそれが当たり前ですし、EVFであれば別に絞ったままフォーカス出来るから関係ないわけです。
NEX6にあえてフォーカルレデューサーなしで装填すれば300mmF5.6レンズになり、その割に大変コンパクトです。
当時のPENTAXが山岳に持ち込むことを想定して、徹底的にコンパクトに仕上げた1本ですからね。
ピントを合わせた所からボケに至るまで綺麗につながった描写をしますよ。
ちなみにPENTAXの200mmF4は完全にハズレなのでご注意ください。
F値が小さいほど偉いなんてことは無いんです。



「対天の川作戦」NEX6-SAMYANG12mmF2 626g

続いては天体系です。
天の川を撮影する時に必要な事、求められる事、それは短時間で暗い星の群れを写すことです。
天の川は暗い星の群れですが、その広大な面積を写すには地上も写し込んでしまいます。
ところが時間をかけて写すと、その間に地球が自転して星が流れてしまうのです。
シャッター速度を上げるにはISOを上げるかFを下げるしかありません。
しかしISOはあまり上げると写真に偽色とかが出てしまうので好ましくない。
ゆえに開放Fの小さい超広角レンズという、なかなか無茶なオーダーになる訳です。
私はUltraWideHeliarという12㎜レンズも持ってますが、こちらは開放F5.6です。
F5.6では天の川は撮れません。例えばRX100M3の24mmF1.8とかを持ってこないといけません。
そして徹底的にこだわる星系写真家が認めるレンズの1つが、このサムヤン12mmF2です。
12mm(APSC専用レンズなので撮影範囲は18mm相当)でありながらF2、そして小さい。
よぅ作ったなという1本ですね。韓国メーカーもなかなかやりますわ。
オールドではないのですが、天の川といった夜間の広域撮影なら1本持っておいて良いと思います。


「地対空ミサイル」NEX6-TeleTokina800mmF8 about 2300g
「究極の万能」WX500 233g

これだけ床置きで撮影が雑ではないかと思われるでしょうが、こんな大きなレンズを飾れるような台が無いのですよ。
重量もNEX6に着けても2.3kgという比喩抜きに「鈍器のようなもの」という重さになります。
まぁこのレンズは三脚につけて部屋から出さずに運用してますからね。辛うじて運用が成立してます。
何を撮ってるかといえば、月面です。地球の空気の流れがファインダ越しに解ります。
これだけはNEX6にフォーカルレデューサー無しで取り付けてますから換算1200mmの超超望遠レンズです。
もう地対空ミサイルのように鋭く一直線に月面を睨む存在です。
え?傍らにあるコンデジはなんだって?
ソニーのWX500というコンパクトカメラですよ。良くメモカメラとして持ち出してるんです。
でもこのコンデジ、24-720なんていう高倍率ズームレンズ持ってましてね。
更に電子処理で2倍に出来るので換算1440mmまでズームできるんです。
ええ。ですから月面撮影はこの2本でしか出来ません。
どっちが綺麗に写せるかって?比べるまでもなくTeleTokinaです。それはもう明確に違いますよ。
ただWX500は部屋の外に持ち出せますからね、旅先で気軽に撮影するには向いてるんですよ。
夜間だと偽色出てきますけど、まぁメモカメラですから。


「切れ味鋭き麗人」α7Ⅱ-NOKTON40mmF1.4 848g

直前のブログで居住まいの為だけに買ったかのような書き方をしてしまいましたが、実際撮影してみると写りの鋭さに唸ってます。
というわけで切れ味も鋭く、麗しき組み合わせとなりました。
ライカLMマウントのアダプタが残念なのは、薄すぎてフォーカルレデューサーレンズが入らないという事ですね。
ゆえにフルサイズで撮影したければフルサイズの受光部を持つα7系でないといけないのです。
まぁAPSCで写る範囲だけ使う手もあるんですが。


「接収されてもゾナーはゾナー」α7Ⅱ-Jupiter3-50mmF1.5(1952年製ツアイスガラス・銀鏡筒) 831g

こちらも何度か紹介してますが、元々ドイツツァイスの技術者と工場とガラスをソ連が接収して作らせたレンズです。
オリジナルレンズとは設計を変えてますが、ゾナーはゾナー。
まさにゾナーの改良版です。
ガラスも製造工程もドイツ製なのは1953年半ばまでのわずか3年弱だけ。
ええ、わかってますよ。それだけ拘って何万も高く払って描写にどれだけ違うが出るんだよってね。
正直わかりゃしませんよ。1960年代のJupiter3だって良い描写をしますからね。
ただ、黒鏡筒時代のJupiter3はちゃんとメンテナンスしてくれるカメラ屋から買わないと製造工程でレンズ裏返しに嵌めてるなんてことがまかり通るくらい製造品質が悪化してるので注意です。
ちゃんと設計通り製造されたレンズなら銀鏡筒でも黒鏡筒でも良い描写ですよ。
このレンズだけは、どこから買うかというのが重要です。
日本ではKing2くらいですかね。信用できる販売元は。
いや、今となっては事実上世界で唯一信用できるロシアレンズの店かもしれませんけどね・・
とにかくまともに整備されたJupiter3は大変いい写りをするんですよ。整備されてない個体があまりにも多いだけなんです。



「信用できる超広角」α7Ⅱ-OM21mmF3.5 888g

OMマウントは全体的に安価でF値の大きなレンズの方が良い写りをすると言われてます。
それはレンズ設計時に無理をさせてないからというのが理由のようです。
代表例としては28mmF3.5ですが、この21mmF3.5も良いんですよ。
とても小さくて、操作しやすくて、色転びやマゼンタ被りも起こさないければ後玉も飛び出ていない。
確かにOM系レンズにしては4万近い値段は高いですよ。でもオールドレンズ全般を見渡した時、20mmクラスの超広角ってほとんどないんです。
以前私は広角はいっそ標準レンズに任せてオールドで追わない方が良いと書きました。
今も金額的にはそうですし、このOMレンズもタマ数は大変少ないです。
どうしても揃えようと思うなら、こういう手もありますよという一例ですね。



「実はエルマー」α7Ⅱ-FED10 769g

またまたロシアレンズですが、じつはこの外観のロシアレンズは大抵テッサー型なんです。
よく写るという意味では正解ですし、更に言えばそれが発展したのが「ロシアンパンケーキ」たるINDUSTER50mmF3.5なんですよ。
ですから私は、あえてエルマー型のFED10を選びました。
この頃のロシアの思想は「社会主義になるとみんな良い暮らしが出来る。その証拠にドイツ製高級カメラと同じものを皆が手に出来ているだろう?」という感じでして、だからこのレンズもライカスクリューLマウントのエルマー50mmF3.5を忠実に再現してるんです。
ニッケルエルマーとかその辺りの世代だと聞いたような気がします。
今でもニッケルエルマーは結構なお値段ですが、こちらは1万円くらい。
手軽にエルマーを楽しむには良いんじゃないでしょうか。


「本日の立役者」NEX5T-MINOLTA28mmF2 742g

さてさて、今までの写真はこの組み合わせで撮ってきました。
この世代のミノルタAマウントレンズは、本当はLA-EA4経由でα7にくっつけてあげればAFも効くんですけど、売ってしまったんですよ。
LA-EA4は下に出っ張るのが嫌いで買い直してないんですよね・・
こっちのアダプタだとMFになりますがフォーカルレデューサーが入ってるのでNEX系でもフルサイズに出来ますし、悩ましい所です。
描写は悪くないでしょう?


さて、ご紹介してきましたとおり、例外はありますがやはりNEX6系のセットの方がα7系より軽いです。
それはカバンに入れて持ち運ぶと良く解ります。
そして冒頭に述べた、ソニーの24mm-70mmの標準ズームレンズ(SEL2470GM)の単体重量である886gを下回るセットも沢山あるんです。
NEX6にSEL1855を付けたセットなどはたった545gしかありません。
いかに現在のミラーレスがファットになってしまったかが解ると思います。
あとはベイヤーセンサーはそろそろ円熟というか衰退期に入ったような気がします。
技術革新が行われても結果的に出力される絵に、金を出して買い換えたいほどの変化がないんですよ。
フォビオンのぶっ飛んでる性能を見続けてきたせいかもしれませんけども、正直最近発売されたもので興味が湧いたのfpだけでした。
思い切って軽量化に舵を切るとか個性を作っていかないと、ただ高くなっただけと思われたら買ってもらえなくなりますよ。
デジカメの売り上げが下がってきてる理由を、メーカーさんには今一度考えて欲しい。
私は自分の防湿庫を見ながら、そう思うのです。

どうぞ皆様、良いレンズシステムを構築してくださいね!
Posted at 2020/03/29 03:44:07 | コメント(0) | トラックバック(0) | My fun lenses | 日記
2016年11月27日 イイね!

紅葉狩りの難しさ。

こんにちは、銀匙です。

昨日は終日晴れという予報でしたので、早朝から行きました。
高速を走り、山道を抜け、一艘の船を借りました。

やっと日の出という頃に水面へと漕ぎ出し、霧とモノクロの世界を進みます。



周囲には誰も居らず、船の電動モーター以外にする音もなく。



予定地点で静かにカメラを構えながら、ただ霧が止むのを待ち続けます。



ポイントをいくつか回りましたが、最も良かったのはこれでしょうか。



ここは亀山湖。

本州で最後に紅葉が始まると言われている場所です。
実際、紅葉情報では色づき始めなどと言われておりますが、現地はすでに見頃を迎え、むしろ散り始めています。
地元では今年は11月中に散るねと囁かれているとか。

囁かれていると言えば、数年前からおかしいと言われているのが、ここ。


養老渓谷です。
こちらも本州最後の紅葉の地とされていますが、谷の上の方はかなり色づいているのに川面の方はすでに枯れています。
正確に言えば青葉と枯れ枝が混じっている状態で、紅葉がない。


これが色づき始め、あるいはそろそろ見頃という景色ではないと思います。
また、秋口の大雨などの影響で、大きな道路が数か所塞がれています。
この為、細い林道のう回路をダンプと一緒に走るといった怖い思いをすることになりました。
しかも車道まで倒れた木が覆いかぶさってきてたりするんですね。
ボディ少し擦っちゃいました(涙)

何年か前から山岳地帯の紅葉の色づきが本当に悪くなったなあと感じておりましたが、今年も当たり年と言われる割にはそれほど良いとは思わず。
私も色々な被写体を相手にしておりますが、紅葉ほど気難しい相手はいないと感じております。
撮影地が至近距離で、毎日歩いて行けるくらいでなければベストの状態を見ることは難しいでしょう。

なので数年ほど遠ざかっていたのですが、やはり今年も苦労していった割には・・という感じでした。

これも地球温暖化の影響なんでしょうかね・・

まぁそんなわけで、すでに2016年の亀山湖と養老渓谷の紅葉は終わりかけですよというお話でした。
Posted at 2016/11/27 14:32:06 | コメント(1) | トラックバック(0) | My fun lenses | 日記
2016年01月31日 イイね!

広角レンズのクセとゴースト・フレア対策について

広角レンズのクセとゴースト・フレア対策についてこんばんは、銀匙です。

さて今回はレンズのお話ですが、珍しく現代の、それも比較的新しいAFレンズの話になります。

主として取り上げますのはソニーがEマウントミラーレスカメラ用に売っているSEL1018というレンズ。

その名の通り10mmから18mmを範囲とするAPS-C用レンズで、35mm換算すると15mmから28mmという、超広角レンズです。
今回はこれをメインに、広角レンズにありがちな「クセ」を上手にかわして撮る方法というのを書いてみたいと思います。


超が付くかはどうかとして、広角レンズ(35mm換算で28mm以下の焦点距離のレンズ)というのは一眼を手にすれば1度は欲しくなるレンズだと思うんです。
特に風景を写される方であれば

 「ああ、もうちょっと全体を撮りたいのに・・」

という瞬間は経験があると思うんです。

しかし、この「広角」レンズは非常にクセが強い事で知られます。
臆する事無く言えば、手振れ補正や高速シャッター、連写機能等が備わっている現代のカメラボディであれば、35mm換算で言う70mm以上の「望遠」レンズの方が写した後に家で見た時、成功している確率は高いと思います。
いや、2000mmで星雲を撮るとかそこまで行ったら別世界ですけど。

じゃあ広角レンズはどんなクセを持つか。

まず、水平をかなり厳密に取らねばなりません。
具体的にいえば2度未満です。
これは既に普通の人間が勘で出来る域を超えています。
そうでないと途端に歪むんです。特に端の方。
水平が取れてるものと取れてない物を出しましょう。

カメラボディの右側を2度下(写真は右が2度上に傾いている)にした写真


水平を(ほぼ)取った写真


まぁこれぐらいでしたら後で修正ソフト使えば良いんですけど、そういうのが禁じられているコンテストでは致命傷です。

なお、広角レンズでは遠近強調効果と画面端での左右方向への伸び効果というのがあります。
簡単に言えば人物の顔を画面端に入れて写してはいけません。
別人かと思うくらい歪みます。
余談ですが、人物を綺麗に撮るなら出来れば焦点距離50mm以上で、出来るだけ中心に置いて撮りましょう。これを守るだけで綺麗さが2割増しになります。
換算では無いですよ、レンズに書かれている焦点距離そのものです。
ですからAPS-Cでは35mm換算で言えば75mm以上となりますね。
あと、50mm以上でもマクロはNG。普通のレンズで撮りましょう。
なぜなら写して欲しくない顔のしわとかシミとか産毛まで克明に写すからです。
これらは特に女性の綺麗さを損ね、ウケが悪くなりますのでご注意。
なんでもかんでも高画質で写しこめば良いという訳ではないのです。

次に、光源を画面の中に入れてはいけません。
出来れば順光、つまり太陽を背にして撮るのが安全です。
ナノうんたらとかTウンタラとかメーカーは誇らしげに色々書いてますけど、大概のレンズはゴーストという緑とか青色をしたダルマ型や多角形の円、あるいはフレアという画面の広範囲が真っ白になる現象が画面内に現れるからです。

私は濃い色のゴーストやきついフレアが出ると無条件で捨てるのですが、残っていた物を。
これはゴーストに加えてレンズ内反射で写りこんだ絞りの形も見えてます。こうなると修正しようがありません。

元の写真


上の写真のゴースト箇所を水色で囲いました(他にもありますが)



では、どうやって守るか。

水平を取る方は、電子水準器があれば夜中や明け方といった暗い状況でも何とかなります。
逆を言えば三脚持って行こうと電子水準器が無ければ暗い状況で水平を取る事はほぼ不可能です。
(ですから私はそのボディで広角を使う予定がある場合、電子水準器の無いカメラボディは全て手放してますし、購入対象にしません)

じゃあゴーストはどうか。
そんな事言ったって朝陽や夕陽の写真を撮りたければド逆光で太陽というこの世で一番厳しい光源を画面の中に、しかも主役で入れる事になります。
ナイトイルミで使われているのは直進性が非常に高く厄介なLEDが主流です。
LEDは家庭内照明でも使われ始めてますが、あれはゴースト生成機です。
その為にはるばる来たのに撮らないなんてありえませんし、家に帰って

「うわあああ真緑のゴーストがああああ」

と気づいた時のダメージの大きさは計り知れないものがあります。

世の中にはゴーストについて、あれもあれで良い物だとか寝言ほざいてる記事もありますが、そもそもゴーストは

 意図的な出現ではないのでカメラマンが制御出来ない

事が問題であり、「ここにゴーストが出れば良いな」という意図をもって出せるならともかく、

 「よりによってそこに出るのかよぉおおお」

という事が大体です。
モデルさんや可愛い子供の顔の真ん中に濃い緑の円がべちょっとついた写真が「良い物」になりますかって話ですよ。
絶対にゴーストなんて要らないんです。
どうしても強い光という演出的に欲しければ画像ソフトにもよりますが、後でゴーストを追加するなんてのもできますしね。

じゃあゴーストをどうやって対策するかというと、

 ゴーストを出さない、せめて出にくいレンズを買う。

この1点しかないわけです。
ところがこれをカメラ屋の店頭で言うと途端に店員の表情が曇ります。

 「い、いや、ゴーストはお客様の撮影条件によりますし」
 「こちらでもこのレンズで出にくいかどうかは保障しかねます」
 「ナノ(自主規制)コートが決してゴーストを出さないというわけでは・・(もごもご)」

というわけで、大枚はたいて買ったレンズで

 「クソがああああ」

となるパターンは非常に多い。
ちなみにゴーストには1つ特徴があります。
それは

 「なぜか新しいレンズほど色の濃い、性質の悪いゴーストが出やすい」

ということです。
えっと思うでしょう?
新しい方がだんだん改善されてきてるんじゃないのと。
違うんです。

例えば一眼ではありませんが、私が推し続けるリコー製GRDigital4(以下GRD4)と、後継のGRでは、逆光耐性は圧倒的にGRD4の勝ちです。
GRD4は最悪の逆光環境である「ダイヤモンド富士」でさえ余裕です。
一方でGRは普通の逆光でも、それこそ白熱球の逆光でさえ、緑のダルマ状に、それはそれは酷いゴーストがべったり出ます。
だから私はGRを売り払い、苦労してGRD4を買い戻しました。
ちなみにGRD1,2ではサッポロポテトが出ます。泣けます。

↓これがサッポロポテト(下手な絵でゴメンなさい)


同じGRDigitalでも異様にGRD4が中古で値下がりしないのは、例えば朝陽を撮りたいなら他に選択肢が無いわけで、そういう「これじゃないとアカン」という需要が多いカメラは値下がりしないんだと思います。
ただ、その需要はレアだからとか、画角的にそれしかないからとかそういったものもあるんで、一概に性能が優秀かどうかは解りません。
中古市場の価格形成は様々な要因がある、という事ですね。

話が逸れました。


で、最初に戻ってSEL1018はどうかというと、逆光耐性が珍しく強いレンズです。
ただ、ゴーストもフレアも0ではありませんし、そもそも基本的な話として、

 望遠域14mmから18mm(35mm換算21mmから28mm)で
 絞りを開放で撮るとパープルフリンジが出るくらい、周辺画質はゆるゆる

という酷い欠点のあるレンズです。

 「ヘイヘイベイビー、7万もふんだくってそれかよ、冗談よせよ」

広角レンズは隅々までビシッとしててナンボです。
パンフォーカスメインなんですからね。
まぁCanonのEF-M11-22も遠方の枯れ木とか写すと盛大にパーフリ出ますけどね(ぼそ)
ただ、ここでぶっちゃけますとね、逆光に強いと謳ってる、

 Vario-Tessar T* FE16-35mmF4 ZA OSS(SEL1635Z)

よりも逆光耐性は上なんです。

SEL1635Z、結構酷いゴーストが人工光源では出ます。LED系は特に。
だからクリスマスイルミとかを撮ると悲惨です。
太陽では出にくいですけど、出ないわけじゃない。
SEL1018より耐性は低いです。
α7Ⅱ使いの私としては、SEL1635Zを推奨したかった。
でもこういう状況では仕方ありません。
一切反射光も無い順光の条件下では悪くないし、買った値段が高かったので散々悩みましたけど、結局SEL1635Zは売りました。
状況によって油断出来ないレンズなんて安心出来ませんからね。
元値が高い分、売値との絶対差額が凄いので泣けました。

では、SEL1018の欠点をどう補うか、です。

まず、水平については電子水準器のあるカメラボディを使えば良いです。
APS-CのEマウントなら以前ご紹介したNEX-5RやNEX-6が今(2016年1月)もお勧めです。
α6000は電子水準器が無いので論外です。
変則技ですが、電子水準器を持ち、ボディ内手振れ補正を持つα7ⅡをAPS-Cクロップモードで使うというのもアリだと思います。

次に21mmから28mmでの画質低下ですが、これは

 レンズフードをきちんと付け、AモードにしてF7.1以上で使う

という事で大体クリア出来そうです。
安全を見るならF8かF9ですね。
また、画質にこだわるならISOは800未満、出来れば100指定で運用する事。
一応OSSが入ってますから手振れ補正は出来ますが、夜明けや日暮れ後のブルータイム、あるいは夜景撮影であれば固定具として三脚を活用しましょう。
この場合の三脚は「ほぼ地面など、高さ30cm未満で良いなら」1000円程度の軽いものでOKです。
固定具ですからボール式でも良い。
ただし電子水準器で厳密に水平を取りましょう。
そして腰の高さより上とかにしたければそれなりの三脚を用意しましょう。
NEX5Rにマンフロットとか大げさじゃない?
とか思うかもしれませんけど、結構違います。

なお、このぐらいの状況であれば手持ちでOKです。


これはどんな状況かと言うと、日の出から18分経過しています。
完全に水平線より上に太陽があるけど雲に隠れている、という状態ですから日の出後なら大丈夫ですかね。
これが撮れるなら三脚要らんよ・・と思うかどうかは各自のご判断で。

さらに書きますと、SEL1018でどんなゴースト・フレアが出るか。
こんな感じです。
元の写真


上の写真をゴースト・フレアを水色で囲みました。


これぐらいなら現場で対応出来るかな・・といえなくもないレベルです。
それでも肝心な所の上に重なった時は涙しながらDelキー押すんでしょうけど。

先程書いたSEL1635Zも市販価格では14万前後の高価なレンズです。
中古市場でも11万前後と比較的人気のあるレンズだと思います。
(FEで超広角はこれしかありませんし)

一方で、今回取り上げたSEL1018も7万もしますし中古でも6万代と物凄く強気ですが、SEL1635Zよりは安価ですし、T*コートも無ければツァイスを謳ってるわけでもありません。
APS-C専用レンズであり、フルサイズに比べれば焦点距離が短く、強い遠近強調効果が出るので、望遠側といえどフルサイズの28mmとピッタリ一緒ではありません。
ですが、逆光耐性を大事にするなら他に選択肢がありません。

ただ、私はAPS-Cより遥かに小さい受光部をもつ、GRD4の絵は好きです。
あれもスペックで言えば6mmF1.9のレンズですから、遠近強調効果はもっと強く出ています。
それでも、良い絵です。

ちなみにGRD4でド逆光で写すとどうなるかをご覧頂きましょう。
勿論手持ちですが、電子水準器で水平だけは確認してます。


私がGRD4を一眼キラーだと言い続ける理由がお分かり頂けるかと思います。
これを手持ちで撮って出してくるんですから。
こんな風に写せない最新の一眼レフや、べたべたゴーストだらけにするウン十万のレンズなんてゴロゴロあります。


まとめますと、今現在売られている高価な最新機器でも欠点はあるわけです。
一般的に35mm換算で30mm未満を含むズームレンズでは大概ゴーストが出ます。
ゴースト嫌いの人の間では例えばシグマ製のレンズ、Canonの安価なラインは出やすいことで有名ですし、それこそニコンのナノクリスタルコートを採用したレンズでも出るものは出るから高かろうと何だろうと信じられないとされてます(言っちゃった)。
ゴースト嫌いの人は大体ニコンの割と高い値段の単焦点に集約していく事が多いのはこういう理由です。それでもハズレはあるようですが。

こういう事を店員は知ってるけど言ったら客がドン引きして新しくて高価なズームレンズを買ってくれなくなるから、まるでこちらの腕次第だと言わんばかりに誤魔化すんです。
酷い話ですよね。
だから店頭で出来るチェック方法を晒します。

100円ショップで売っている、LEDタイプの小型懐中電灯を買ってきます。
親指くらいの太さの奴ですね。
もちろん点灯する事は確認してください。結構不良品が多いですから。
さて、買いたいレンズをカメラにつけ、カメラの背面液晶を見ながら点灯したLEDをレンズに真っ直ぐに向け、レンズの上下左右にゆっくりと動かしてください。
ダメなレンズは背面液晶でも容易に解る位ゴーストが出ます。
それはもう面白いくらいに。
懐中電灯はLED1灯式と多灯式がありますが、ゴーストの出易さは多灯式、ゴーストの形を見極めるなら1灯式かと思います。
強い光源の方が出ますので、従来のムギ玉式の懐中電灯では出ません。
お試しあれ。

なお、サードパーティレンズや広角レンズが全部だめかと言うとそうでもありません。
タムロンはシグマよりは比較的強いようですし、超広角で有名なコシナのULTRA Wide Heliar12mmF5.6 Asp2(UWH)は猛烈に逆光耐性が高いです。
晴天でドピーカンな太陽を斜めに入れて撮っても一切出ないレベル。
どうやって作ったコシナ。ていうかその設計を他のL系とかカールツアイス系とかにも応用してくださいよお願いしま(ry

ではマイナーメーカーがだめかと言うとそうでもありません。
例えば単焦点ですけど、RICOHの28mmF2.8(F3.5パンケーキではない)も耐逆光性能は高いです。
ちなみに望遠ですとオリンパスのOM300mmF4.5、あるいはPENTAXのM42レンズであるテレタクマー200mmF5.6(200mmF4ではない)とかは驚異的な対逆光性能を有してます。
逆光耐性の強いレンズが存在しない訳では決してないのですが、選択肢は非常に少なく、こうやって記される事も大変少ないのです。
そして書いていて気づいたのですが、1つ共通点があります。

中古屋でもオークションでもめったに見ないんですよ、こいつら。
そして出てくると妙に高い事が多い。
SEL1018やUWHが良い例ですよ。新品と普通の中古の値段がほとんど変わりません。
GRD4も最終販売価格程度の中古価格からちっとも下がりません。

こうなるとUWHとか、それこそ今回紹介しているSEL1018を新品で買っとくのが今から必要とするユーザーには得策かも、となります。
だからこそ書いた訳ですが、ゴースト嫌いの人がやっとこさ出会い、決して手放さないんだろうなと今なら解ります。
こんな状況だから店員は言いたくないんだろうなぁ・・

さて。
我々が不幸にもゴーストを生むレンズを逆光等の条件で使わざるを得ない時、撮影現場で暫定対策としてよく使われるのは以下の3つです。
・レンズフィルタを外す事(特に安価なプロテクタや銀塩用の古い物は原因となりやすい)
・絞りを変える事
・ちょっとずつ構図を変えて何枚も撮る事

これらは効果を生む事もありますが、無い事がほとんどです。
腕でどうこうってのはほとんどおとぎ話だという事を強調しておきます。

補足すると、絞りを開けるとゴーストの輪郭がぼけ、フレアが強まります。
絞りを閉じるとゴーストの輪郭がハッキリとするが小さくなり、フレアが弱まります。
カメラを振り、構図を僅かに上下左右にずらす事でゴーストやフレアが弱まる、あるいは光源内に隠れさせる事が出来る、というものです。
EVFユーザーならゴーストの写り具合をリアルタイムで確認出来ますが、OVFユーザーはファインダーで見た時には無かったゴーストが派手に写りこんでた、なーんて事はごく普通に起きます。
そういう意味ではEVFのNEX-6やα7Ⅱ、α99など、SONY機はゴースト嫌いな人には優しいですね。逆光をEVFファインダーで見続けても平気ですし。
ただ、それらの調整は撮影者の撮影の意図と自由を著しく制約するものです。
そんな制約無い方が良いと思われるなら、逆光に強いレンズを探し出して買うしかないのです。

なお、上の3つの制約を覚悟するというのであれば、それなりに選択肢はありますし、安価なものもあります。
例えばAマウントで言えばミノルタの28-105mmF3.5-4.5(Xiじゃない奴)なんてのがありますが、これは5000円とかで買える割にはゴーストが比較的制御しやすいです。
24-85mmより28-105mmの方がより制御しやすいです。
このレンズ、実はα900やα99といったフルサイズユーザーの方が捨てずに持ってるので市場に出てこない代表的なレンズですが、Xi、つまり電動ズーム版が多く、Xiは使いにくいので間違えないようにしましょう。
私はα7ⅡにLA-EA4経由で使ってますが、現場で調整すればこの位なら撮れます。



色々書きましたが、私と同じゴースト嫌いな方のお役に立てば幸いです。
Posted at 2016/01/31 23:12:30 | コメント(0) | トラックバック(0) | My fun lenses | 日記
2016年01月21日 イイね!

GRDigitalのグリップ変色を戻す方法。

GRDigitalのグリップ変色を戻す方法。ご無沙汰しております、銀匙です。

さて、私は以前からGRDigitalⅣ(以下、GRD4)は素晴らしいと書いてきたのですが、てっきり後継機かと思い、一度GRに乗り換えてしまいました。

しかしながらその結果は惨憺たるものだったのはこちらで書いた通りです。

その時は金銭に余裕も無く、在庫も無かったので泣く泣くGRDigitalⅡに買いなおしたのですが、よく言われている動作の緩慢さに加えて

 GRD2は逆斜光でサッポロポテト現象が出る。

というのがよりによってというシーンで出てしまいました。
サッポロポテト現象はシグマのDPシリーズで有名ですが、実はGRDigitalでも1と2ではたまに出ます。
怒り狂って当該写真は消してしまったので手書きで恐縮ですけど、



こういう事です。

なのでずっと程度の良いGRD4が出ないかしらと気にしていたのですが、ようやく探し当てて購入しなおしたというわけです。
長かったなぁ。やっぱりGRD4良いわ。今手にしても素晴らしい。

ただ1つ、この個体は買う前から問題が解ってました。
それは、

 グリップの所が白く変色している。

という事。
GRD4のグリップは革の表面みたいに凹凸があるのですが、その凹部分が真っ白になっており、豹柄みたいだったんです。
これはGRD1~4全てに共通した欠点であり、現役だった頃はメーカーサービスで木のグリップに入れ替えたり、社外品のジャケットを着せて誤魔化せました。
しかし今はどれも生産終了で手に入りません。

どうするか。

あれこれ考えたのですが、最初の手段で充分落ちましたので公開します。
他にお困りの方がいれば参考にしてください。

ちなみに冒頭の写真は作業後の状態です。
強く光を当てても凹部と凸部の色の差がない事がお分かり頂けるかと思います。


用意するもの:

・アルコール(消毒用でもサイフォン用でも可)
・水
・レンズペーパーあるいはシルボン紙(無ければ毛羽立ってない布でも可)
・柔らかめの歯ブラシ

やり方ですが、
①GRDから電池やSDカードを抜きます。
 誤作動したら悲惨な事になりますので必ず電池は抜きましょう。
 ストラップをつけてるなら邪魔になりますので外しましょう。

②レンズペーパーにアルコールをたっぷり含ませます。
 それをグリップにちょんちょんと軽く押し当て、アルコールを押し付けて
 染み出すように塗っていきましょう。

③塗り終わったら1分位待ちます。

④柔らかめの歯ブラシに水を含ませ、軽くレンズペーパーで拭った後、
 特に凹部にブラシの先が当たるようにシャコシャコと磨いていきます。

⑤全体をシャコシャコし終えたら②で使ったレンズペーパーにアルコールを
 軽く足し、グリップ全体を円を描くように拭いていきます。

⑥②~⑤を気に入るまで繰り返します。

ポイントはグリップが柔らかいゴムだという点です。
②で普通のティッシュを使ってしまうとグリップのゴムの摩擦力に負けてティッシュがボロボロになってグリップにくっついて悲惨です。
必ずレンズペーパーかシルボン紙等丈夫な紙か、いっそ布を使いましょう。
肌着のシャツに使われてる綿の布とか薄いハンカチの布とかが良いです。
タオル地は毛羽立ちますからNG。

また、歯ブラシの硬いもの、もっと極端に言えばタワシやワイヤーブラシなどで擦るとグリップが負けてしまい傷だらけになります。ケチらず「柔らかめ」で、出来れば毛先の細くなっているものを買いましょう。100円ショップにあると思います。

この方法は汚れをアルコールで浮かし、アルコールと水を反応させつつグリップに負担をかけない程度のブラシで物理的に掻き取る、という物です。
ただしアルコールも水も、機器内部に入るのは大変よろしくないのでダバダバ使うのは止めましょう。あくまでグリップ表面に「塗る」感覚で大丈夫です。
根気強くやりましょう。

これでダメだと本当に死に物狂いでジャケットを探し出すか諦めてそのまま使うか、いっそ自分でグリップを塗るか、一から作るかになるかと思います。

では、では。
Posted at 2016/01/21 21:39:01 | コメント(0) | トラックバック(0) | My fun lenses | 日記
2015年08月10日 イイね!

GRはGRDigitalの後継ではない、という話。

こんにちは、銀匙です。

えーと、今日はGRDigitalとGRについての話です。
先に言っておきますと、GRが気に入ってる人は読まない方が良いです。


私はGRDigital(以後GRDと書きます)は2から世話になってます。

GRDの描写は独特で、カメラに全部お任せでも選択するシャッタースピード、絞り、ホワイトバランスの見事さは圧倒的であり、「一眼レフキラー」だと感じました。
そしてGRD4に買い替えた時も良き所を失わないまま手振れ補正や処理速度の向上といった技術の進化具合に感心し、決してしゃしゃり出ないが一流の写りを見せる事を「優秀な執事的カメラ」と表現したものです。
28mmかどうかじゃなく、GRDだから向けてみたい風景がある。
結果にワクワクしてオートモードに入れ、露出補正だけこだわる。
ダイアモンド富士を撮るといった特殊な条件の時だけAモードやMYセッティングを駆使する。
そういうカメラでした。

そして先日。
既にGR2も売りに出されたのですが、GRとWifi以外ほとんど変わっておらず、それ以外の機能はGRもファームアップすれば得られると聞き、GRの流通在庫新品が5.6万を切ったので、GRD4からGRに買い替えたのでした。

しかし。

タイトルの通り、GRは、GRDの後継としては使えませんでした。
簡単に言えば、同じリコーのCX6とかGX100の後継に近いです。
そう。

 ありきたりな描写をする、普通のカメラになってしまったんです。

GRDは、先程も申し上げたとおり、「描写が独特」でした。
家に帰ってきて、シャッターを切った状況から、撮影者が「このくらいの感じでこう撮れてるくらいだろうな」と予想する内容を「超えた」1枚を納めている。

「うは、よくあの射光に耐えたな」
「おお、あの微妙な朝焼けをここまで映し出すとは」
「WBをこうしてくるか・・・一眼よりよっぽど頼りになるな」

そういう感じで「唸らせる」カメラでした。周りでもそういう評判でした。

しかし。

GRは「期待値か、期待値以下」の結果しか収まっていませんでした。

「・・まぁこんなもんか」
「逆光で真緑のゴーストが派手に出てるな・・こりゃダメだ」
「見たままの描写だな。普及型コンデジと変わらん」
「あぁ、なんかブレが強調されてる」

確かに、スペック上は著しく進化しています。
でも、別にスペックに金を投資したいんじゃないんです。
「高級カメラ持ってるぞー」なんて事を誰かに言いたいんじゃない。
ましてや「新しいかどうか」なんてどうでもいい。

 撮影者の求めるシーンで、期待以上の「写真」を残せるカメラが欲しい。

ただそれだけなんです。

私が家のPCで見て評価し、最終的に保存しておく「残存率」は、GRD4が10枚のうち7枚とすれば、GRは0から2枚でした。
そして、GRで残した物の共通項は「ストリートスナップ」でした。

要するに、GRは町の中のスナップに対する適性が上がった一方、今まで得意だったネイチャースナップに対する適性が消えうせてしまったのです。
その2つの差は何かと言うと、ボケが大事か、緻密な描写が大事か、です。

ストリートには、とにかく写したくない物が溢れてます。
その中で提灯1つ、グラス1つ、特定の1人の顔1つ「だけ」を浮かび上がらせる事に長けている方が便利です。
一方で自然を広角で撮る時には「四隅まできっちりピントが合い、微妙な色加減まで緻密に、真実より記憶に即した写し方」が必要です。
GRD4はネイチャー寄りでしたが、GRはストリートに特化してしまった。

GRを買うときにオーナーレビューを探しましたが、なんか数が少なかったんです。
それに、よく考えれば新発売時の定価が10万もしたカメラです。
メディアは褒めちぎらない筈が無いし、オーナーだって10万も払ったものが悪いなんて信じたくないでしょう。
それに、ストリートスナップで逆光を画面に入れない人ならGRは便利だと思います。小さくて軽いのは確かですし。

ただ、GRを風景スナップで用いると、GRD4に比べて結果がつまんなくなったなあと思います。

今更ですが、この理由をスペックから考察してみます。
GRDはレンズが5.9mmF2.4(GRD1・2)か6mmF1.9(GRD3・4)です。
対するGRは18.3mmF2.8です。
この差は受光部がGRDは1/1.7CCDだったのが、GRではAPSC型CMOSに大型化したためです。
私がレンズの描写と「35mm換算値」について。で書いた通り、35mm換算値が同じ「28mm」だとしても、被写界深度は素のレンズの焦点距離に依存します。
GRDシリーズは6mmとGRシリーズの18.3mmよりも「広角レンズ」であるため、より浅いF値でも深い被写界深度が得られます。
逆を言えばボケは苦手だったわけですが、そこを補っていたのが「レンズ前1cmまで寄れるマクロ」でした。これは主にブツ取り、ご飯写真で重宝されました。

一方、ストリートスナップでは「数メートル先の対象にピントを合わせつつ他を暈したい」というニーズがあり、それがGRDでは無理な相談でした。
GRはGRDに比べて18.3mmと「望遠」になりましたから、これが出来るようになった。
ただ、レンズ前1cmマクロも出来ず、レンズの特性上被写界深度が浅くなったのに小絞りボケを嫌ったのかF4という浅い絞りを多用する為、「遠景がハッキリしない」写りになった。
これをローパスレスで補おうとしたがゆえに「遠くの森を写すと葉の重なりがモワレやシャギーを増やすので見づらい」方向になってしまった。

裏返せば都会のスッキリしたビル郡などでは「高層ビルの窓枠まで見える精密さ」と「ピントを合わせたい近距離~中距離の対象をハッキリ写し、他をボケさせる」事が出来るので、都会の中で使う向きには大変よろしいカメラになった。
ただ、それはGRDと真逆の路線であり、ゆえに「GRDの後継」ではないのです。

GRの方向性はSONYのRX100系やCANONのパワーショットなど、いわゆるメジャー路線ですが、ライバルはズームレンズですからより沢山の状況に対応出来るわけで、広角単焦点でストリートはどうだろうと首を傾げます。

なので、世間の評価を別の物差しで調べてみる事にしました。
下取りの値段、です。

GRD4は2013年まで売られていて、当時の最終販売価格は3万5千円でした。
GRは2015年まで売られていて、7月の販売価格は5万5800円でした。

それが。

GRD4の下取り値は2015年8月現在で27000円です。
GRの下取り値は2015年8月現在で39000円です。
(両方ともカメラのキタムラの数字)

GRD4は2年経過してもなお8千円しか下がってません。
一方で、GRはまだ新品が売られてるのに16800円も値崩れしました。

さらにいえば、今時点でGRD4の上級中古は3万円を軽々と超えますので、2013年の新品最終販売価格をほとんどそのまま維持してるといえます。
同程度のGRの中古は4.5万だそうですので、1.5万しか差がありません。

私は別にブローカーじゃありませんが、中古買取価格というのはそのカメラに対する人気のバロメーターだと思います。
なかには伝説や噂、希少価値等が多すぎて大した物でもないのに高いって事もあります(ライカ・コンタックス系に多い)が、値崩れする物で良いものはありません。

ちなみに他のカメラが半年も経たずに目を覆うばかりの値段になっている事が多い中、GRだって発売から2年経過してる事を考えれば健闘してます。
GRD4が発売4年を経過してなお新品並の値段で売られてるのが化け物というだけです。

ただ、GRのライバルたるRX100は4兄弟それぞれが今なお新品でも中古でも結構売れていて、かつ値崩れも少ないのを見るとGRはGRDの頃に比べれば厳しい価格競争に立つ事になったと思います。
ガチで戦いに行くという選択をリコーさんがされたのだと思います。

さて。
今後の行く末は解りませんが、私の用途にはまるで合わなかったGR。
1週間経った時点で売り、その時在庫があったGRD2と引き換えてきました。
本当はGRD4が良かったのですが、その店の人いわく。

 「GRD4はお待ちの方もいらっしゃいますから店頭に並びにくいですよ」

あぁ。
GR買ってから様子見てGRD4売れば良かった。
下取り買い替えの方が数千円高かった事に目が眩んだ自分のせいです。

そんなわけで手持ちのカメラがGRD4からGRD2にランクダウンしてしまった今回のGR騒動ですが、


  GRはGRDigitalの後継ではない。
  描写はストリートスナップ向けの一般的な上級コンデジのそれであり、
  風景スナップに対し、GRDigitalのような感動を期待してはいけない。


そう記して終わりにしようと思います。
ええ、酷評です。

まぁ、何が一番がっかりしたって逆光時のゴーストです。
あれは撮影者はどうにもならないですからね。
GRDはゴースト自体出にくいし、出てもライカのズマールとかと似た巨大で薄いホワイトのシングル円でしたからまだ可愛げがありましたけど、GRのゴーストはグリーンでだるまのような多重円ですから誰が見ても解るし、グリーンでべったり塗りつぶされてるから誤魔化しようがない。
SIGMAの19mmF2.8とか、いわゆる新しい世代で逆光に弱い系のレンズに共通した特徴ですが、組み込みレンズでそれじゃどうしようもないじゃないですか。
そりゃ、海原とか空ならAdobeのLrのスタンプとか使って直せばいいんですけど、直せない状況はあるし、修正不可ってコンテストも多いですし、そもそも後処理でどうにかすりゃ良いってなんか違う。

いずれにせよ、GRDのように最強風景スナッパーを期待してGRを買っちゃいけませんというお話でした。
Posted at 2015/08/10 10:49:16 | コメント(0) | トラックバック(0) | My fun lenses | 日記

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