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銀匙のブログ一覧

2009年02月02日 イイね!

My fun lenses 01 - 等倍のマクロタクマー50mmF4

こんばんは、銀匙です。

今回から不定期ですが、私の使っているレンズを紹介して行こうと思います。
ラインナップはM42、タムロンアダプトール、α、そしてPENTAX。
あまりWebで見かけない物からよく話題に上る物までありますが、いかんせん私が選んでますので、

大いに偏りがある

のはご容赦願います。はい。

さて、今回はPENTAXのM42レンズから、マクロタクマー50mmF4を紹介致します。
握り拳ほどの小さなレンズですが、マクロタクマーは絞りがプリセットで、等倍まで写せるのが特徴です。
その為、無限遠付近の状態はこれくらいですが


等倍にするとここまで伸びます。


このレンズに関しては手持ちのタクマーレンズカタログに掲載されておりましたので、当時の説明書きを添えたいと思います。

(引用開始)
マクロタクマー50mmF4
近接撮影、文書複写に最高性能を持つレンズです。
開放絞りでもすみずみまでシャープなピントで、その切れ込みの良さはマクロ系レンズのトップにあると評価されています。
∞から等倍撮影までが出来るダブルヘリコイド採用の鏡筒、露出倍数が簡単に判る色別された倍数目盛りと露出倍数指標など新機構がいっぱい採用されています。
なおライカマウントアダプターBと併用すると引き伸ばしレンズとしても使えます。
最短撮影距離0.234m、重さ236グラム、フィルター径49mm
(引用終了)


M42のPENTAXレンズでは、スーパーマクロタクマーの50mmF4もありました。
スーパーマクロタクマーは絞りが完全自動絞りとなるものの、最短撮影距離がやや長く、ヘリコイドがシングルとなり、1/2倍までの撮影となります。
この2つのレンズはある程度併売されていたようですが、やはり失敗しにくい完全自動絞りの方が良かったと見えて、現在ではスーパーマクロタクマーの方が多く見かけます。
そしてプリセットとはいえ、元々精密な文書複写などに使われるレンズゆえか、絞りの形もギザギザで開放F値も4と暗いです。
フィルム時代には露出倍数の問題もあった為、レンズには倍数計算がしやすいように色分けされ、色毎の倍数も記載されています。
デジタルではそれほど気にしなくても良いのですが、フィルムでは難しかっただろうなと思います。

では、このレンズはダメか。
下は大体2/3倍まで寄り、軽くF5程度まで絞って撮影した写真です。
室内ですがISO200のjpgで、手持ちでの撮影です。


通常のレンズは、無限遠の位置で撮るのがもっとも美しく、最短位置に近くなるにつれ描写が甘くなりますが、マクロレンズはその逆で、遠い方が甘くなります。
当然AFはついておりませんので、使い方としては、まずはおおまかな合焦距離(倍率)を定め、構図をファインダーで見ながら自分が動き、ピントを微調整して何枚か露出を変えて撮るというのが良いと思います。
当時のうたい文句の通り、開放から十分良い描写をしますので無理に絞る必要はないと思います。
水族館や植物園、あるいはハイキングなどで、身軽かつ手持ちで撮りたい。
そんな時に連れて行くには良いお供かと思います。
Posted at 2009/02/02 22:34:04 | コメント(3) | トラックバック(0) | My fun lenses | 日記
2008年01月28日 イイね!

PENTAXの8枚玉 ~追記~

M42を楽しんでる方、つい読んじゃってる方こんばんは。
銀匙です。

先日、PENTAXの”8枚玉”にて、探し方の1つに上げていた「6」のフォント。
比較写真を撮りましたので載せます。

左が8枚玉、右がSMC世代です。




やっぱり隣に並べると良く解りますよね。
「6」の文字が違うでしょ?
よく見ると「4」も違うような気がします。
ちなみにフィルタ径はどちらも49mmです。
胴体はちょっとSMCの方が太いみたいです。

・・・・はい?

なぜ50mmF1.4のSMCを持ってるですって?
先日8枚玉の為に手放したと書いてただろうって?
いやぁ、よく読んでらっしゃいますね。
嬉しいです。

ええ、手放しました。
ゴムローレットのSMC50mmF1.4は微妙に気に入らなくて。
下取りに出したら変色してるって買い叩かれて悲しかった・・・


・・・・・え?
そうじゃない?
PENTAXの50mmF1.4を何本持ってるのかって?
今は3本です。
写真にある”8枚玉”とSMC、それとこの写真を撮った”8枚玉”


・・・なんで8枚玉を2個持ってるんだって?
そりゃ、買ったからです。
先週の金曜に秋葉原の魔窟に寄ったら、8枚玉とSMCが仲良く並んでジャンクコーナーに居たんです。

いずれもレンズ小カビありでしたけど変色は全くないし、絞りもヘリコイドもちゃんと動いたんです。
最初はSMCだけ買おうかなと思ったんですけど、結局悪魔にそそのかされて8枚玉も買っちゃいました。
ジャンクらしく、2本で3500円でした。


・・・そんなに持ってても仕方ないだろうって?
まあ、いつかは下取りに出すでしょうね。
不要な物は市場に出すのがM42のルールですから。
ただ8枚玉は予備を持っていても良いかと思いましてね。
いつ出会えるか解りませんし、壊れるかもしれませんし。


・・・カビはどうしたんだって?
日曜の昼下がりにちょこっと復旧作業をしましたよ。
レンズだけバラして、クリーナーとアルコールとエタノールで洗浄して、レンズ磨きで拭いて終わりです。
1個あたり3時間くらいで取れましたよ。

↓こんな感じで。



・・・妙な工具が写ってるって?
まぁ、修理も趣味の1つですから。
平均すれば直すのは月1本とかそんなもんですし。
だから専用工具は少ないですよ。
吸盤オープナージャンクコンパスレンズサッカー、レンズ専用クリーニング液、大判のレンズ拭き、ブロワ、それにレンズペーパー位ですか。
後は100円ショップとかホームセンターで買える物です。
アルコールなんてサイフォン用ですし・・・


・・・やり方はどこで覚えたって?
Webにはこんなページが幾つもありますから。
レンズ名で検索すれば個人で発信してる方も居ますし。
中にはPENTAXの120mmF2.8とか広角系のように難しいのもありますけど、標準から望遠はそれほど難しくないですよ。


・・・オーバーホールまでして何が楽しいんだって?
オーバーホールして使うと愛着わきますからね。
レンズ沼も下手に膝だけとか、首から上は沼の外にって思う方が辛いですよ。
体ごと潜ってみれば快適です。


・・・財政破綻するって?
そりゃ森山農園で毎週のように買い物すれば私なんて破綻しますけど、M42沼は幾つもあるので、自分の財政範囲で楽しめる沼もちゃんとありますよ。
標準レンズはお手頃ですし。
ツァイスの新品50mmF1.4は数万と高値ですが、それ以外は普通です。
良上品でもツァイスのテッサー50mmF2.8とかビオター58mmF2とかは1万円しませんし、PENTAXも5千円程度ですから。
各国のレンズが豊富にあって、得意分野も違うから、何本か持って行って比べるのも楽しいですよ(笑)


・・・このページの目的は何だって?
内緒です♪
Posted at 2008/01/28 23:21:18 | コメント(1) | トラックバック(0) | My fun lenses | 日記
2008年01月24日 イイね!

マウントアダプタとM42レンズ探しの基本事項。

マウントアダプタとM42レンズ探しの基本事項。





M42愛好家の方、気になっている方、おはようございます。
銀匙です。

M42レンズを使う上で、ほとんどの場合でお世話になるのが「マウントアダプタ」なる代物です。
今日はこの部品を使う事の注意点、それとM42探しの基本についてご説明します。

といいつつ、レンズの基本知識から(笑)

まず、M42というのは追認された呼び方です。
同じ直径42ミリ、ネジピッチ1mmのレンズマウントが様々な呼び方をされていたため、一緒で良いじゃんという事でM42(エムヨンニー、またはエムヨンジュウニと読みます)と呼ばれました。

では、様々な呼び方とは何かというと、例えばPENTAXではペンタックススクリュー(略称Sレンズ)、元祖M42であるプラクチカではプラクチカスクリューorプラクチカマウント(略称PS・PSマウント)、ベッサではスレッドマウント(略称TM)などと呼ばれてました。

PENTAXカメラをお持ちの皆さんは取説で見た事ありませんか?
「Sレンズ使用時のFI」という設定項目を。
あの「S」はスクリューの略称なんです。
※FIはフォーカスインジケーター、つまり合焦センサーですね。
 この機能は特にデジタル一眼で強力な味方になります。

コシナフォクトレンダーレンズを買うと、レンズリアキャップにPSと刻印されてます。あのPSはプラクチカスクリューの略です。
ペンタックススクリューではないのでご注意を。

最近まで売られていたベッサフレックスTMというフィルムカメラのTMはスレッドマウントの略称です。
なお、天体望遠鏡やフィールドスコープの世界ではTマウントという、M42レンズとよく似た別規格のレンズがあります。
TMを中途半端にTマウントなんて書くと別の意味になりますのでご注意を。

さて、これらを総称したM42マウント。
でも物凄く古い規格です。

PENTAXでは東京オリンピックの頃に大流行したSPというフィルム一眼のシリーズのマウントであり、プラクチカも第2次大戦頃のカメラです。
最近まで売られていたベッサフレックスTMが唯一現在新品で買えるM42カメラであり、M42専用の35mmフルサイズファインダーですからM42レンズのボケを強烈に楽しめますが、フィルムカメラですのでランニングコストは高い。
このままなら、使えないレンズです。
(なお、ロシアカメラでもM42マウントがありますが、工作精度上の理由で全くお勧めできません)

事実、M42レンズは近年まで日本では見捨てられたレンズでした。
耐用年数を過ぎたフィルムカメラでしか使えず、古い規格で、古い設計で、古いコーティング(PENTAXのSMCレンズ群は除きます)だったからです。

マウントアダプタが出来た事で、現代に蘇った古き良きレンズ。
それがM42レンズなのです。

マウントアダプタというのは、その名の通り、本来付けられないレンズをつけるための、規格間を埋めるアダプタです。

上の写真ではM42レンズをミノルタ(ソニー)のαボディ(Aマウント)で使えるようにする為のアダプターです。
こんな物体ですが、大体4千円から1万円程度のお値段。
結構高いです。

さて、このM42マウントアダプタ。
どのメーカーのカメラでも使えるわけではありませんし、制約ももちろんあります。

共通の最大の制約は、ピントあわせと絞り設定が手動になる事です。
この時代にオートフォーカスはありません。
よって、カメラはマニュアルモード、あるいは絞り優先モードで使う事になりますが、絞り優先が一眼レフの基本ですから大きな問題にはならないでしょう。
プログラムモードしか使った事が無い人でも、絞りを操る事で撮れる写真が劇的に変わる事を理解する良い機会になると思います。
シャッター優先モードをどうしても使いたい方は・・・M42とは相性悪いです。
諦めてください。

もう1つ留意しなくてはならないのが、AE、つまり露出制御の暴れです。
通常、絞り優先モードにすれば分割測光が正しく作用し、適切な露出を割り出してシャッター速度を決めてくれますが、M42を付けると中央重点測光しかできない場合が多く、暗めに写ります。
よって、絞り優先でもケースによって露出補正を+1.0程度上げる必要があります。
露出補正をずらして数枚撮り、確認すれば良いだけの話です。

逆に良い事もあります。
それは電池の寿命が異様に長くなるという事。
私の持っている*istDS2は、AFレンズでNiMhバッテリを使用した場合で、大体4~500枚が限度と言われていますが、M42を付けると1000枚オーバーまで撮れた事もあります。700枚は楽勝です。
AF、つまり合焦用モーターを使わない事に加え、レンズが一般的に明るい為、フラッシュの出番がほとんど無い為と思われます。


また、一部のM42レンズでは、自動絞り専用といって、レンズ後端のピンを押さないと絞りが動かず、開放でしか撮れないレンズがあります。
例えばコシナフォクトレンダーのレンズは全てこれです。

マウントアダプタの多くは、この自動絞り専用レンズを見捨てていますが、自動絞り専用レンズまで対応しているのが近代インターナショナル製品です。
なので、マウントアダプタは近代インターナショナル製を強く勧めます。
PENTAXの場合は純正アダプタが4千円、近代製は6千円と、2千円程度高いですけど、何でも使えるという安心感は2千円の価値があります。
ヨドバシカメラは近代インターナショナル製品を取り扱ってますので、店頭に無くても取り寄せてくれます。
(ヨドバシの回し者でも近代インターナショナルの回し者でもありませんが、実情を考えるとそれが一番入手しやすいのです)


さてさて。
M42レンズを近代インターナショナル製マウントアダプタを経由し、現在の国産一眼デジタルカメラで使う場合のメーカー別の事情を説明していきましょう。


●PENTAXのカメラ
(*istD・DL・DS2、K100D系、K10D系)
制約どころか上述の「Sレンズ使用時のFI」をONにする事で合焦センサーが働くほか、マニュアルモードでもAEロックボタンを押す事で適正なシャッター速度に設定してくれるモードが用意されているなど、M42レンズが使いやすい環境に仕上がっています。
さすが、M42レンズを自社で作っていただけの事はあります。
特に*istD・DS・DS2やK10Dではペンタプリズムファインダーを使っていますので、デジタル一眼の中ではマニュアルフォーカスがやりやすいです。
それでも見難い場合は1.13倍に拡大する純正の拡大アイカップかマグニファイアをつければ良いだけの事。
拡大アイカップなら4000円程度で買えますし、AFレンズで使っても問題ありません。
また、K10D系では手ぶれ補正も使えるという話を聞きますし、露出補正幅も+-3EVと広範囲ゆえ、M42レンズで望遠系を使いたい方にはうってつけのボディかと思います。
なお、istDL・DL2、K100D、K100DSuperのペンタミラーファインダーでもペンタプリズム程より若干劣る程度で、ピント合わせ事情は同じようなものと聞きます。
目の良い方は苦にならないでしょう。
ちなみにド近眼の私は*istDS2に拡大アイカップを常用しています。
なお、焦点距離換算は大体1.5~1.6倍となります。
50mmが75~80mm程度の撮影範囲と考えれば大体あっています。
追記:
K20Dでは「デジタル非対応」のレンズにも対応したCMOSセンサーを導入しました。
M42ユーザーには朗報なのですが、まだ値段がこなれてませんね。
というかPENTAX、本気でM42やM、Aレンズ対応を考えているのだととしたら、半世紀近くの資産全てをケアしようとしているのですから凄い事です。
※「デジタル対応」とは、受光部(CCDやCMOS)に対して、出来るだけ垂直に光を送り、受光部の反射を抑えるコーティングを後玉に施したもの、というのが一般的な定義です。
※「デジタル専用」は上記に加え、イメージサークルのサイズをAPSCサイズに小さくしているレンズですので、同じ焦点距離の銀塩対応レンズに比べると小さく軽く作れますが、銀塩やフルサイズデジタルに使うと四隅がケられます。

●ミノルタ・ソニーのカメラ(α7Digital,αSweetDigital,α100,α700)
重大な問題はありません。
ただし、PENTAXのように合焦センサーを設定でONにしたり、AELを押して適正シャッターに合わせてくれる機能はありませんし、ファインダーがミラータイプなので、ペンタプリズム式に比べると合焦しにくいです。
ただし、ミラー式では優秀なファインダーですから支障をきたすレベルではありません。
ペンタプリズムを採用したα700でM42を使っている方は存じないのですが、こちらだと露出補正も+-3EVですし、手ぶれ補正機能も装備しているので、もしかするとK10Dと同じ事情になるかもしれません。
※合焦センサーを殺さないマウントアダプタもありますが、欠陥商品との声も聞きますのでお勧めできません。
マクロなど、剃刀レベルの薄いピントを求める場合はアングルファインダーVNかマグニファイアを装填する必要がありますが、これは現代のマクロレンズを使う場合でも一緒。
なお、目の悪い方なら視度補正レンズを付けたほうが良い場合もあります。
私の場合は視度補正レンズを常用し、適宜アングルファインダーVNを使います。
焦点距離換算は銀塩35mmの1.5~1.6倍となります。
追記:
α350に搭載されたライブビュー機能が気になりますね。
ファインダーだと実際撮影される絵とは微妙に異なるのですが、CMOSに入った情報を液晶で見るライブビューならそのままですので、失敗も減るのかな?
08年末に出るという噂のフルサイズαも気になります。
現時点でM42の名玉をフルサイズデジタルで楽しめるのは、一部のCANONユーザーだけですから・・

●CANONの場合(Kissデジ系、EOS系)
重大な問題はありません。
ただ、ファインダーが甘めでM42レンズだとピント合わせにやや苦労を伴うと聞きます。
アングルファインダー・マグニファイア・視度補正レンズの常用装着が必須に近いという点は知ってて損は無いと思います。
基準としてはファインダの視度補正をきちんと行い、現在お使いのレンズをMFモードにして、1m先の立体物にマニュアルフォーカスする事が難儀するならお勧め出来ません。
焦点距離換算は35mmに比べ、大体1.5~1.6倍となります。
(フルサイズタイプであれば換算の必要はありませんが、そんな高いボディでM42を使うとも思えませんし・・・)

●フォーサーズの場合(オリンパス・パナソニック系)
焦点距離換算が2倍と異様に高いレートである事は重大な制約と言って良いでしょう。
たとえば50mmレンズで100mm相当の画角範囲しか写せません。
フォーサーズマウント規格はかなりのマウントとアダプタ経由で互換性があるので、CCDがせめてAPS-Cサイズだったならと惜しまれてなりません。
この理由のため、M42マウントレンズはほとんど望遠レンズとしてしか使えません。
なお、これを逆手に取って、500mmF8ミラーレンズをオリンパスE300に付け、軽量超望遠システムにしている方も居ます。

●ニコンの場合:
えー、ニコンの場合、M42レンズは重大な制約があります。
無限遠が出ないのです。
つまり近距離から接写専用のマクロレンズとしてしか使えません。
これはニコンのフランジバック、つまりレンズの後端からCCD面までの距離の規格がM42レンズと違いすぎる事が原因です。
解決方法も無いので、M42には最も適さないボディです。
焦点距離換算は35mmに比べ、大体1.5~1.6倍となります。
M42専用に他社ボディを購入するのが妥当かと思います。
例えばPENTAXの*istDSは、中古良上品でも現在2.6万程度まで値下がりしていますので。
追記:
ニコンボディでM42の無限遠も使えるよう、補正レンズを入れたアダプタも近代インターナショナルにはあるようです。
ただし、内面反射が増える為白っぽくなり画質がやや落ちる事、補正レンズと干渉するレンズは使えないなど、やはり他メーカーのボディと比べると制約が大きいですね。
ツァイスのマニュアルレンズを売っているコシナは、発売するマウントをニコンマウントとM42マウントは大体揃えてるのは上記の理由かと。
(Kマウントも限定で出してますね)


最後に、M42レンズ探しの基本の「き」。
まず、単焦点に限定して探してください。
ズームレンズという時点で対象外にしてください。
PENTAX-SMCコートであっても、この時代のズームはF4通しで明るいと言われていました。
元々利便性は少ないM42、単焦点で探しましょう。
実際、名玉と呼ばれる評判の良いレンズは全て単焦点ですし、現代のレンズと違って単焦点がメインであり、数千円から十分探せます。

マウントアダプタを買った後、最初に買うべきレンズは以下のどちらかです。

・PENTAX SuperTakumar 55mmF1.8
・PENTAX SuperMultiCoatedTakumar 55mmF1.8

はい。PENTAXの55mmF1.8です。2つの違いはコーティングだけ。
これが基本中の基本のレンズ。
PENTAX-SPのカメラの普及タイプに同梱されていた、いわゆる標準レンズですから巷にゴロゴロあり、数千円の予算で選び放題。
それでいて写りは単焦点に求める要素がしっかり入ってます。
ファインダーで覗いた時に丁度直接目で見る大きさとほとんど変わらない焦点距離、明るいF値ゆえ夜にフラッシュなしで手持ちで撮れる。
空に向ければ天体撮影も出来る。
ボケ方も全く癖が無く、開放で品良く、絞ればキリッと写します。
文字通り最高のコストパフォーマンスを誇るレンズです。
現代の一眼デジタルに同梱されるズームレンズと比べれば、その差は歴然。
「うそだ!」と叫ぶ事請け合いです。
出来れば変色の少ない後者をお勧めしますが、SuperTakumarで多少変色してても大丈夫です。
以降のM42レンズを選ぶ際の基準として、あるいは常用レンズにも最高です。

ちなみにPENTAXの50mmF1.4はSuperTakumarだろうとSMCだろうとピントが合わせにくいクセ玉です。
最初のレンズとするには不向きですからご注意ください。

なお、どうしてもどうしてもPENTAX55mmF1.8が見つからない場合は、50~55mmのF1.7~F2レンズを探してください。
ただ、見つけたらPENTAX55mmF1.8を買いましょう。

また、長年使われたレンズが大半ですので、手にとって調べる時の注意点を。
1.後玉(最もボディ側のレンズ)は絶対無傷で、コーティング剥がれが
  無いこと。これは絶対遵守してください。後玉の傷は致命傷です。
  1~2割安くても、探しまくって見つけたレンズでも、買っちゃダメ。
  ちなみに最も前の玉に多少の傷があっても全然平気。
  欠けてたらダメですけど・・・

2.絞り機構は完全に作動すること
  Auto絞りモードにして、絞りをF4、8、16あたりにセットして、
  連動ピンを押した時にピンが軽く沈み、軽く戻ること。
  押し込むのに指が痛くなるようなレンズは早晩壊れます。
  絞りが壊れてるなんて論外です。

3.ヘリコイドが完全に動くこと
  現代のレンズに比べると手ごたえがあるのは仕様ですが、ピントを合わ
  せようとしてレンズを回したらアダプタとの連結分が緩んだり、ピント
  のどこかの距離点で引っかかりがあるなんてのは論外です。
  もちろん、試写時はしっかりレンズをアダプタにねじ込んでから。

4.フィルタ枠が歪んでないこと
  歪んでるということは、落としたか強くぶつけた証拠です。
  中も歪んでいる事があり、ヘリコイド不良を引き起こします。
  なにより、保護フィルタ、NDフィルタ、PLフィルタといった重要な
  フィルタ類が付けられないですから論外です。
  (魚眼レンズなど、元々フィルタがつけられないレンズもありますが)

5.レンズにカビ、曇りが無いこと
  自分で分解して直す選択肢は専用工具を揃えた後考えましょう。
  専用工具は必要最低限でも2万近いです。
  M42レンズで2万といったら結構良い玉が買えますよ。
  自分で分解するのは最後の手段。
  2万のレンズが買った夜にゴミ箱行きなんて悲しいですよ。
  と、経験者は語るのです(涙)
  ちなみに業者に修理依頼するにも万単位の金がかかると考えてください。

6.バルサム切れ(剥がれ)のレンズは止めましょう。
  バルサムとはレンズとレンズを張り合わせている透明な接着剤のこと。
  これの異常は修理業者もお手上げですし、DIYなんて絶対無理です。
  バルサム問題を回避するにはレンズ構成を調べ、群と枚が一緒のものを
  買う手もあります。5群5枚とかですね。
  3群4枚という場合は2枚のレンズを1群にしていますから、1箇所は
  バルサムがあると言うこと。
  ただし、これはお店を信じるしかありません。素直に聞きましょう。
  「これくらい平気ですよ~」とか言う店とは縁を切りましょう。
  良い店と付き合うことが大事なのは車と一緒です。

7.ちょっとでも気になる点があるなら止めましょう。
  名玉と言われて捜し求めてやっと手にしても、なんか引っかかる。
  そんな場合は止めて吉です。予感は大概当たるのです。


というわけで・・・
M42を始める方のお勧めボディセットをご紹介します。

1.PENTAX-*istDS(またはDS2)
  +近代インターナショナル製マウントアダプタ
  +PENTAX55mmF1.8
  +SANYO製エネループ(NiMhバッテリ)
  +NiMh充電器
  +SDメモリカード1GB

2.PENTAX-K10D
  +近代インターナショナル製マウントアダプタ
  +PENTAX55mmF1.8
  +SDメモリカード2GB(1GBx2個)

このセットを、2008年1月現在に探す場合の予算を見てみます。
1の場合、中古で探せばレンズ込みで5万円かかりません。
例えば「フジヤカメラ」で本日時点で*istDSの良上中古が2万5千円程度。
これにマウントアダプタで6千円、電池と充電器で6000円、SDメモリは千円程度ですからボディ周りで4万弱。
レンズに1万の予算を割いても5万弱ですね。
SDメモリ1GBとしたのは、最高画質の6Mモードで撮っても350枚は撮れるので、1日使っても余裕綽々で間に合うからです。
*istDを外したのは、現存個体数が少なく製造年月が経っている為です。
*istDL・DL2・K100系を外したのは価格差が無くあえて選ぶ理由が無いからですが、こちらでも良いです。

2の場合、中古の良上品K10Dが7万円弱、アダプタが6千円にSDメモリが2千円。
レンズに1万の予算を割いても8万でお釣りが来ます。
(SDを2GBとしてのは画素数が多いので、1枚余裕を持たせただけです。)
K10Dを新品で買っても8万弱ですから、レンズ込みで丁度10万かな。
予算10万で中古ボディにして縦位置グリップか予備バッテリを加える手もありますね。


1か2を揃えれば、M42レンズを最も制限無く使えます。
余った予算でレンズをもう1本買ったり、拡大アイカップを買っても良いと思いますが、いずれにしろ、その後はお好きなだけ、世界中のメーカーが競って作ったM42単焦点レンズ群(通称M42星雲)の中から自分好みのラインナップを揃える事が出来ます。


~お願い~
上記情報はカメラ店、カメラ技術者、Webなどから得た情報を整理したものですが、もし間違いがありましたら教えてください。
訂正します。



~2013年3月追記~
上記記事は2008年に記載したものですが、それから5年が経った2013年時点で変化のあった部分について言及した記事を作成しました。
こちらからどうぞ。


~2013年5月追記~
SONYのNEXを使ったオールドレンズ遊びについての記事を書きました。
よろしければこちらからご覧ください。


~2013年11月追加~
α7を使ったオールドレンズ遊びの記事です。よろしければこちらもどうぞ。
α7とα7R、オールドレンズ向きの母艦はどちら?

α7にお勧めオールドレンズ

α7を操作した第一印象

α7のレビュー編その1

α7のレビュー編その2

番外編:引き伸ばしレンズについて

α7とオールドレンズ(インダスター50とカールツァイスプラナー編)

α7とオールドレンズ(再びカールツァイスプラナーとXRリケノン28mm)

2014/4/20追加
α7とオールドレンズ(LEICA引き伸ばしレンズ、FOCOTAR)
Posted at 2008/01/24 06:47:17 | コメント(6) | トラックバック(0) | My fun lenses | 日記
2008年01月22日 イイね!

PENTAXの”8枚玉”

M42レンズ愛好家の方、そうでない方、こんばんは。
銀匙です。

今日ご紹介する玉は、PENTAXの【8枚玉】、SuperTakumar50mmF1.4です。


このキーワードに反応する、ましてや欲しがる方はM42病末期症状とカテゴライズされるそうです。
ちなみに初期症状では同じ焦点距離の別メーカー品を集めだし、コシナフォクトレンダーやコシナツァイスを調べだすそうです。
※50mm前後のレンズを5本以上持ち始める、「標準レンズ症候群」という合併症を併発する事もあります。
中程度になると東側諸国(旧東ドイツ、ロシア等)のレンズを探し始め、ローライのM42レンズといった珍品を見つめたり、DIYでオーバーホールしたり、M42レンズ1本に万単位の金を突っ込んだりするそうで。

当てはまるなあ・・・(T△T)
てことはそろそろ終わりが見えてきましたかね。
あははは・・・


さて、【8枚玉】というキーワード。
これは普通、レンジファインダーの王様であるライカに冒された方(通称ライカ熱)が捜し求める超名玉、Summicron35mmF2.0の初期型モデルを意味します。
そして圧倒的にライカの方が患者数は多いです。

もっとも、ライカ熱8枚玉症候群の場合、
「コーティングも素晴らしい状態のレンズをたった20万円で買えました。いやぁ、これで4個目です。撮り比べるのが楽しみで」
というような恐ろしい経済力をお持ちなので、私と争いになるような事はありません(笑)

ただし、病状は似ている所があります。
Summicron35mmF2.0は8枚玉で青いコーティングがされた初期モデルと玉数が減った後期モデルが存在しますが、実はPENTAXのSuperTakumar50mmF1.4にも、初期型の極初期に6群8枚の黄金色の単層コートがされたレンズが存在し、それ以降のModel2からは6群7枚になっています。
ライカ熱の方の場合は「青色の8枚玉、青色の8枚玉・・」という呪文を唱えますが、私の場合は「黄金色の8枚玉、黄金色の8枚玉・・」となります。
まあ、普通の方から見れば「どっちもビョーキ」ですね(汗)


なんでそんなのが欲しいのか。


通常、全く同じ光学性能を出せるなら、レンズの数が少ない方が有利です。
レンズ構成が単純化でき、軽くなり、ガラス透過時の明るさ損失も減ります。
内面反射も少なくてすみます。
でも、同じ素材であれば、レンズ構成が多い方が、一般的に光学特性は良いのです。
PENTAXは後期型からレンズにトリウムという物質を混ぜる事によって飛躍的に光学性能を上げ、6群7枚にしたそうです。

しかし。

このトリウムという物質は放射性元素。
別にレンズから青白い光が出たり、カメラ構えただけで黒こげになるほどタップリ入れたわけではない(汗)のですが、レンズのガラスは延々とその放射線を受け続け、トリウムと共にごく僅か入ってしまう不純物によって、製造後数十年経った現在ではレンズヤケと呼ばれる麦茶色か茶色に近い色へと変色する現象がおきてしまいます。

なので、SuperTakumarの50mmF1.4や35mmF2は大概「レンズヤケあり」と表記されて売られています。

備考1:一部のカメラ屋では「これが当時の色です」なんて言うそうですが、絶対そんな事はありません。即、縁を切りましょう。

備考2:後にPENTAXは素晴らしいコーティング技術(SMC、SuperMultiCoatedの略)を開発したので、現在の50mmF1.4は通常のガラスレンズ+SMCによる6群7枚構成で発売しています。
つまりSuperTakumar50mmF1.4のModel2以降、コーティングやAF化という変更はあってもレンズ構成は一緒なんですね。
現行レンズ(FA50mmF1.4)のレンズ説明はこちら

備考3:じゃあレンズヤケしたSuperTakumar50mmF1.4は悪いかと言われればそんな事はありません。ただ、余りにもヤケが酷いと撮影結果が茶色っぽくなるので、僅かに明るさが失われる事、デジタルカメラの場合は現像時に色温度変換をしてあげる必要が出るくらいです。


さて、話を戻して。
PENTAXが最初期だけ作ってくれた、8枚玉の50mmF1.4、Model1。
これはトリウムを含有していないレンズに、単層の黄金色のコーティングが施されています。
よって放射性元素によるレンズヤケはなく、純粋にレンズ枚数を増やして光学性能を上げ、今でも当時の明るさと光学性能を楽しめる贅沢なレンズといえます。

ただSMCの威力は絶大で、8枚玉に対して逆光環境で完勝、順光でも良い勝負らしいので、現在では事実上大枚払う価値はありません。
レンズが多い事で多少の特徴はあるそうですが、まあそれは保有者だけの趣味の領域かと思われます。

珍品という意味では120mmF2.8も生産数が少なく名玉なので市場に出る事は稀ですが、「120mmF2.8」というキーワードで根気よく探せば必ず巡り合えます。
しかし、50mmF1.4の8枚玉は少ない上、同スペックの7枚玉が巷に溢れているので森の中で1本の木を探すような苦労があります。
さらに、当時は50mmF1.4は上級ながら標準レンズとしてカメラを買うとついてくるレンズでそれほど大事にされなかった為、現存数が極めて少ない。
なのに、下取り値はModel2以降のレンズと全く変わりませんし、8枚玉の市場価格はModel2以降と変わりません。
それゆえ、Model1の貴重性を知ってて保有しているオーナーは手放しません。

というわけで、PENTAX製の35mm一眼レフ用M42レンズの中で、一番見つけにくいレンズですが、「実家にぽつんと置いてあった」「カメラ屋のジャンクコーナーにあった」というようなケースもあるから面白いレンズなのです。

これを知っているカメラ屋さんは僅かに居ますが、上述の通りずば抜けた美しい描写をするわけでもないので、あえて捜し求める人は末期症状というわけです。
金銭的価値はありませんがトレジャーハンターに近い感覚です。



さて。
そこまで言われるとちょっと気になるゾ、M42遊びの一環として探してみようじゃないのという珍しい方も居るかもしれません。
なので、Model1と呼ばれる8枚玉の探し方を現物で説明します。


当然の事ながら、【8枚玉】なんてどこにも書かれていませんし、店頭で分解なんてさせてくれるわけがありません。
【8枚玉】自体を知っている店員さんも稀です。
よって、自分で、外観で見分けるしかありません。

特徴は8枚玉らしく8つ。
全て満たしていなくてはModel1ではありません。

まず、特徴その1は、金属ローレットである事。
ピントを合わせる部分が総金属製で多角形。
凸凹のゴムが巻かれたレンズはもっと後の世代です。


その2は、光に対してある角度で反射させてみると、黄金色に輝く事。
単層コートの証です。七色に輝くレンズはSMC世代です。


ここまではSuperTakumar世代共通の特徴です。
トリウム含有のModel2以降も同じですからこれだけで飛びつかないように。
この2つの特徴は遠目でも解りますので、これに該当したら3以降に進む目安としてください。

その3は、レンズ越しに反対側を見た時、現時点でもほぼ色の違いがない事。
要するにレンズヤケしていない事です。
トリウムレンズの金属ローレット物は必ずヤケています。
こんな風に見た時、ヤケた物なら茶色に見えます。


その4は、銘番の書き順です。
【8枚玉】は以下の順番で並んでいます。
1:1.4 /50 Asahi Opt. Co. ・・・
Model2以降は以下の順番で並んでいます。
1:1.4 /50 {製造番号7桁の数字} ・・・

Model1の並び方。

でも、正直言って覚えているのは難しいので、写真を小さく印刷して持っている方が確実ですね。

その5は「6」の文字です。
Model1は6が丸く、太っています。
絞りの「5.6」「16」が特徴的です。
Model2以降は6の字が細く、縦長のフォントに変わっています。

その6は、絞り切り替えレバーの裏の刻印です。
Model2以降のレンズには、絞りのManual・Autoを切り替える為のレバーの裏に、6桁程度の番号が刻印されていますが、Model1だけ刻印がありません。

その7は、後玉の出方です。
リアキャップをしないとあっという間に傷つきそうなくらい、みょんと後ろに飛び出しています。
ゆえに後玉にガッツリ傷が入った個体も多いです。
(現行品だろうとM42だろうと、後玉の傷は写りに大きく影響しますので絶対手を出してはいけません)

その5~7は、下記写真でどうぞ。



その8、最後の決め手は重量です。
Model1は8枚玉の為、レンズ+リアキャップの重量で約245g前後、Model2以降は同230g前後です。
ただ、15gの違いを確実に知るにはデジタル式で無いと厳しいですし、秤を持っている店は皆無なので、買ってきてからのお楽しみでしょうかね。
秤を持ち歩くようになったら私以上の「ビョーキ」です(汗)



ちなみに中古相場ですが・・・ありません(爆)
Supertakumar50mmF1.4全体の個体数が多すぎて相場を形成していないのです。
また、Model1に限って、しかも蔵から見つけたという人を除いても、ジャンク品で2千円で買ったという人も居ればSPとセットで1.5万円程度で買った人も居れば、Model2以降のレンズと同様単体で12000円前後で買ったという人も居ます。
なお、2万近く払って買った人も居るようですが、M42単層コートの標準レンズにそんな大金を突っ込む事はないと思います。
それなら素直にFA50mmF1.4を買ったほうが幸せだと思います。
AFでSMCで2万程度の相場ですし・・・

私の場合は1万円丁度ですから高いと思われるかもしれませんが、この値段にはオーバーホール料が含まれています。

そう、このレンズは先日120mmF2.8を丁寧に直してくれた工房で偶然見つけ、譲っていただいたレンズなのです。
カビ、曇り、絞り不良を綺麗に修理し、無限遠調整も完璧に行われ、当時の前後キャップまでつけてこの値段なら、私は高くないと思います。

でも、わざわざSMCの50mmF1.4を3千円で売ってModel1に1万円払う感覚こそ「ほとんどビョーキ」の証ですね(笑)
Posted at 2008/01/23 00:49:23 | コメント(3) | トラックバック(0) | My fun lenses | 日記
2007年11月16日 イイね!

Jupiter9を見つけました。

M42レンズに興味を持った事がある方なら、旧ソ連製のJupiter9 85mmF2という名を1度は耳にした事があるかもしれません。
それを都内の片隅で見つけたので買ってきました。

私は中望遠クラスとして、既にフォクトレンダー・アポランサー90mmF3.5SLを持っていますが、Jupiter9はアポランサーより2段以上明るく、F2クラスの中望遠としては軽い事、そして生い立ちに興味を引かれてずっと探していたのです。


前側より


後側より



上の写真のように絞り羽の数が15枚あり、F2.5とか2.3といったアバウトな絞り値を設定しても常に真円を保つのが特徴です。
また、このレンズは非常に安い事が特徴で、数年前ならば新品でも6000円程度で売られていた事もあったそうです。
近年ではM42がブームだった事のほか、カールツァイス設計ゆえに人気がある事、新品生産が終わった事、加えて後ほど書く問題が重なり、6000円では見かけません。

私は昨日店に並んだ、外観程度が悪いと評価された中古品を7350円で買いましたが、数日前、他の店で1万円の値札を下げて出された中古で割と程度が良いレンズは他の方がその日に買っていったそうです。
数ヶ月前にはロシアレンズ専門店で調整済みで1.5万くらいの値札が下がっておりましたが、それもあっという間に売れたそうです。
そんなわけで、やっとこさ手に入れた1本なのです。


ほうぼう調べた聞きかじりですが、このレンズは東西分断前(1930年代)のドイツにて、旧カールツァイス社が作っていたレンジファインダーカメラ用のゾナー85mmF2が原型で、これをM42向けにチューニングした物だったそうです。

旧ソ連や現ロシア製のレンズは現在でも割と見かけますが、何故旧ソ連がドイツのカールツァイスレンズのコピーをしたのか、その経緯をちょっと引用します。

第2次世界大戦の戦後処理において、本来、ドイツのイェーナ市に本拠を構えていたカールツァイス社は全て旧ソ連の物となるはずでした。
しかし、西側(主に米軍)はその技術力が旧ソ連に渡る事を恐れ、ほとんどの技術員を米軍占領地であったオーバーコッヘン市に強制移住させ、ツァイス・オプトン社を創設します。

一方でイェーナ市の工場や取り残された技術員は、東ドイツで旧ソ連のもと、人民公社カール・ツァイス・イェーナとして起業します。
M42レンズに多いですが、表にCarl Zeiss JenaやDDRと書いてあるレンズは東ドイツのカールツァイス製になります。
また、この工場設備やカールツァイスのレンズ設計を用いて、旧ソ連、そしてロシアは様々なレンズを製造し始めます。
その中の1つが、Jupiter9というわけなのです。

80年代の旧ソ連崩壊に伴って品質は下がりつつも、Jupiter9はほんの数年前までロシアで作り続けられていました。
M42という非常に簡単かつ広く世界に普及しているマウントだった事と性能の割に安い為、外貨獲得に一役買っていたのでしょう。


さて・・・
現在の国内における中望遠単焦点レンズの情勢を見ると、名玉が集中している事もあってとても高価な状態です。
たとえばαでは85mmF1.4が中古で10万前後、新品のPlanar T*85mmF1.4ZAは15万、PENTAXでもFA77mmF1.8は新品で7.5万前後、85mmF1.4☆レンズは中古で15万。
どれも欲しいんですがどれも手が出ません(汗)

M42に限ってもPENTAXのSMCタクマー85mmF1.8、またはその原型であるスーパータクマー85mmF1.9は5万前後で、名玉で使いやすいM42であるがゆえに滅多に売りに出される事はなく、高値で安定しています。
そんな中、フォクトレンダーアポランサー90mmF3.5SLはF3.5ではありますが写りの評判は良く、新品で3万弱だったので頑張って買ったのでした。

そんな中で見るとJupiter9の価格競争力は凄まじい事が解ります。
1930年代の設計ゆえに逆光にまるで歯が立たないといった欠点もあります。
ゆえに10万近い現代のレンズやSMCタクマーと同じとは言いませんが、中望遠として十分明るいカールツァイス設計のレンズが数千円なら人気が高まるのもうなずけます。
ロシア製ゆえ、新品が作られていた頃でも入荷予定なんて立たなかったというのも購買意欲をかきたてたのでしょうね(汗)


ただ、上にも少し書きましたが、M42版Jupiter9は新しくなるほど品質が下がるという厄介な問題があります。
また、どの年代でも品質の個体差が激しいようで、この子は大丈夫なのかは正直不安ではあります。
物によってはヘリコイドオイルがレンズに垂れてきたり、絞り羽が取れたり、ひどいケースでは常にボケまくるので専門業者へ修理に出したらレンズが前後逆に組んであったなんて事もあったようです・・・
この事を指して、「ロシアレンズはロシアンルーレット」などと言う人も居ます。

新品が出ていた頃は店によっては新品を一旦分解してオーバーホールし、その代わりにやや高い値段を付けて売ったり、数本買って当たりを残して他を売る人も居たそうです。

私がこの子を買ったのは割と使い込んでる形跡がある事、レンズは傷や変色が少ない事、店頭で実際に試してヘリコイドや絞り動作で気になる点がなかった事、店員さんいわく古い年代の物であろう(汗)という曖昧な理由ですが、折角我が家に来てくれたので大事に使おうと思います。

とりあえず、実写サンプルです。
絞りはF2.3程度、ごく軽く絞った状態です。


被写体としたPENTAX-SMCタクマー55mmF1.8レンズの回りにはあえてごちゃごちゃと物を置いてますが、それらを綺麗にボカしてくれていると思います。
*istDS2のフォーカスエイドも機能しているようです。
もう少し早く手に入れていればモーターショーに持っていったのに・・

アポランサーの色鮮やかな鋭い表現とJupiter9の薄目の柔らかい表現はとても対照的ですが、どちらも気に入ってます。
頑張って、特性をふまえた付き合いをしようと思います。
Posted at 2007/11/17 01:54:58 | コメント(4) | トラックバック(0) | My fun lenses | 日記

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