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2018年04月28日

諸元表で考える車の特徴_各計算値の算出方法

皆さんは車を買い替える時、何を基準に決めていますか。
見た目、装備、広さ、走行性能、静粛性、燃費。色々あると思います。
性能を見てあれこれ考える場合、まずは諸元表(スペック)を見ると思います。この諸元表を見ると、そこに書いてる情報だけでなく、いくつか参考になりそうなスペックが計算できます。私は比較のためにあれこれ計算してみる事が好きです。今回はその計算のいくつかを紹介します。

というわけで、このブログのテーマを久しぶりに「クルマで学ぶ機械工学」にしてみました。この機能を忘れていたわけではありませんよ(うっ...)

まず、私が計算に使用しているシートをご覧ください。





画像をクリックして、大きい画面で見てみてください。

気になっている車の他、比較のため現在所有しているフィットRSと、バイクのGSR750、親戚に譲ってたまーに乗っているホーネット250も記入しました。

1枚目からいきましょう。
1枚目は、多くの車好きの間で使われいている値の計算です。
まず、表の見方を簡単に説明します。
最高出力と最高トルクは、現在の車のカタログに合わせ、SI単位で表しています。
最高出力の単位はkW、最高トルクの単位はN・m、車両重量はkgですね。
白色のセルは数値を手入力しているセル、色付きのセルは、自動計算されたセルです。
数値の左から4番目に、kg/kWと書かれた列があります。これは数値の単位を表すと共に、計算内容も表されています。つまり、この列の計算は、車両重量/最高出力です。これはいわゆる「パワーウェイトレシオ」です。

さて、ちょっと脱線して、パワーウェイトレシオの話です。
パワーウェイトレシオとは何かというと、車の雑誌や好きな人では、およそ「速さの目安」という認識でしょう。ある程度合っていますが、速さというのは色んな速さがあります。加速の速さ、最高速度の高さなどなど...。
出力は、最高速度に関係する値だと考えてください。細かく説明すれば色々長くなるのですが、思い切って短く説明すると「ある質量の物をある距離移動する事(仕事)をある時間単位で行う事が仕事率(出力)である」事と、「空気抵抗や機械抵抗なども、進行方向と逆向きに力を発生している=逆方向に進めようとしているので、それに打ち勝つのに出力が大きい方がいい」という事を合わせます。
ではなぜパワーウェイトレシオが、出力/車重ではなく、車重/出力なのか。
なぜって車重1kg当たりに働く事のできるkWが分かれば、その数字が大きい方が速くなるので、力もりもりの直感に合った計算だと思いませんか。
でも車重/出力とする利点について、私なりに考えてみました。車重/出力にする利点。それは、目標が定まる事です。出力/車重では、良い車ほど高い値になります。究極的な車が目指すところとしては、出力/車重では無限大になってしまいます。そうなるとある車とある車を比較するのは簡単ですが、果たしてこの車はどれほど凄いのかがよくわかりません。
対して車重/出力では、究極的な車は値が0に近づきます。つまり、0を目標にする事になるので、この場合他車と比較しなくても、0に近いほど優れている事が一目瞭然で、0に近づくためにはあとどれくらいのスペックが必要なのかも分かります。
※ただ、実際には車重/出力が0にはならないのは、理解できると思います。

で、パワーウェイトレシオは車重/最高出力です。
もう一つ、トルクウェイトレシオというのも、稀に雑誌等で出てきます。グランツーリスモでも出てきましたね、確か。GT4に付属していた解説書だったと思いました...。
トルクウェイトレシオは車重/最高トルクです。単位はkg/(N・m)です。なので表のオレンジ色のセルでいうと、左から2列目はトルクウェイトレシオです。
しかし、トルクウェイトレシオの右にも、似たような見出しの列がありますね。
これはトルクウェイトレシオに「タイヤ半径」をかけて、変速比(i1は1速(厳密にはのちに説明する「計算ローギヤ」)×ファイナルギヤ比、i2は2速×ファイナルギヤ比)で割っています。

これは何を計算しているのでしょうか。
そもそも皆さん、車重/(エンジンの)最高トルク という計算は、計算する事に意味があると思いますか?
私は、意味がないと思っています。
なぜならエンジンの出力トルクは、トランスミッションとファイナルギヤを介してタイヤに伝えられるからです。そしてそのタイヤも、外径が異なれば前に進めようとする力が変わりますね。つまり、エンジンのトルクというのは最終的にタイヤがどれだけの力で車を前に押すかという形になるのです。ここには、減速比とタイヤ外径を考慮する必要が有るという訳です。
一応説明しておきます。エンジンから出力されたトルクは、トランスミッションにより減速された分強くなります。さらにファイナルギヤ(実際にファイナルギヤというギヤがあるのではありません。デファレンシャルギヤが速比を持っていて、これをファイナルギヤ比と呼んでいます)を介して強くなります。車軸にかけられたトルクは、そのままタイヤに同じだけのトルクを与えます。タイヤ外周に働く力Fは、F=T/R(T:トルク、R:半径)で求められますね(単位を考えればすぐに分かりますね)。そして最終的に、ニュートンの運動方程式F=maに従って車重mの車を加速度a[m/s^2]で加速させる訳ですね。
そいういう訳で、トルクウェイトレシオは加速性能の評価になるのですが、そうであればトランスミッション等減速比の考慮と、最終出力であるタイヤの半径をキチンと考慮すべきだと思います。
ただ、全ての変速比で計算するのも大変なので、1速と2速しか計算していません。

ちなみに混乱しないように、トルクはトランスミッション等を介して変化しますが、エンジンの出力はトランスミッションを介しても変化しません。正確に言えば、エンジンの出力が一定の時、トランスミッションで速度を変化させるとトルクが変化すると言う事です。出力=トルク×回転数 ですね。

もう一つおまけですが、ここでいうファイナルギヤは、変速できない減速比を記入しています。クルマの場合はファイナルギヤですが、バイクの場合は1次減速比(エンジンとトランスミッションの間の減速比)×2次減速比(トランスミッション出力のドライブスプロケットと後輪ホイールのドリブンスプロケットの速比)です。

ようやく左側のオレンジ色のセルについて説明終わりましたね...(ぜぇぜぇ...)。
平たく言ってしまえば、ここまでの色付きセルは、値が0に近いほど「速い車」ということになります。

次に2枚目の画像に入ります。

2枚目の画像は、速さ以外のスペックを計算しています。
「計算ローギヤ」は、その車が持っている変速比で最も高い数字を入れています。「計算ハイギヤ」は、その車が持っている変速比で最も低い数字を入れています。これはMT車であれば当然1速と最終ギヤですが、マニュアルモードを搭載したCVTなどでは、マニュアルモードの最終減速比と通常走行の最小減速比が違う場合が多いので、わざわざ最大と最小を抜き出している操作になります。

レシオガバレッジは、計算ローギヤ/計算ハイギヤです。この数字が大きいほど変速比の幅が大きい事を示します。レシオガバレッジが大きい利点は、加速時は高い減速比で鋭く加速し、高速での定速運転では低い減速比で燃費と静粛性に優れた運転ができる事を示します。特にAT車では、このレシオガバレッジが大きいほど、トランスミッションとして優れているという評価が多いです。

タイヤの外径(直径)は、(ホイールインチ×25.4)+2×(タイヤ幅×扁平率/100)で計算します。(1インチ=25.4mm)
車もバイクも同じです。タイヤ外径の単位はmmです。
後に計算する100km/hのrpmのために、記入するタイヤ外径は、駆動車輪側のタイヤ外径にしています。

100km/hのrpmは、100km/hで定速走行した時のエンジン回転数を計算しています。計算は(10^8)/60×ファイナルギヤ×計算ハイギヤ/(π×タイヤ外径)です。
回転数が低いほど、低騒音で燃費が良くなる傾向にあります。

これら計算を行って、各クルマの考察をしていきます。

まず、S660を始めスポーティな軽自動車は、パワーウェイトレシオこそフィットに劣るものの、トルクウェイトレシオが意外とフィットとほぼ同じです。これは重量の軽さやターボによる高いトルクだけでなく、タイヤ外径が影響しています。タイヤ外径が小さい分、加速力は高まります。一方、100km/hのエンジン回転数は高いです。

スイフトスポーツのパワーウェイトレシオ、トルクウェイトレシオは共に非常に良い数字になっています。ダウンサイジングターボによる強力なトルクと、1000kgを切る圧倒的な軽量化が結果として現れています。このスペックに並ぶスポーツカーはないかとロードスター、BRZと入力しましたが、驚くことにこれら2台よりもスイフトスポーツは優れたトルクウェイトレシオを持っています。最新のシビックTYPE Rでようやく良いスペックになりましたが、450万円の車と200万円の車を実際に比べる人はそういないでしょう。つまり、スイフトスポーツは200万円代で相当高性能な車を買えるという、スペック重視の人にとっては非常に良い車と言えます。

シビックハッチバックのパワーウェイトレシオとトルクウェイトレシオは、当然フィットRSよりは良いものの、意外と差は少ない印象です。シビックは重量が重めなのが影響してそうです。
その代わり100km/hのエンジン回転数は低く、高速も快適に走れそうです。

"気になっているSUV"のグループですが、パワーウェイトレシオとトルクウェイトレシオはヴェゼルとエクリプスクロスが一歩リード。
ヴェゼルのレシオガバレッジは9.4と驚異的で、トルクウェイトレシオが高い割に100km/hのエンジン回転数も低め。
XVもレシオガバレッジが広く、特にXV 2Lの100km/hのエンジン回転数は1503rpmと驚異的に低い。100km/hでCVTの最も低い速比で走ることが出来れば、2L水平対向エンジンとの組み合わせもあり非常に静粛性の高い走行になります。
この計算をすると、マニュアルモードでも60km/hで5速又は4速以上入らない事に納得出来るでしょう。まだまだ高速用のギヤを持っていると言う事です。

おまけで記入したバイク2台ですが、やはり色々とずば抜けていますね。
GSR750は驚異的なパワーウェイトレシオとトルクウェイトレシオです。これを車で手に入れるなら、GT-Rは1000万円でパワーウェイトレシオは4.2kg/kWですから、1000万円以上の価格になる可能性が大きいです。「スーパーカーに迫る性能が100万円で買えると思うと、バイクは安い」と言う人もいますが、この計算だけで言えば割と正しいです。
ホーネット250は、中古で約40万円でした。それでもスイフトスポーツと並ぶトルクウェイトレシオであり、やはり高性能です。意外とGSR750よりレシオガバレッジが大きいです。そしてリアタイヤのサイズがGSR750と同じとは...。改めてとんでもないバイクですね、ホーネット。
かなりローギヤードなバイクなので、100km/hの時のエンジン回転数は、車では考えられない7749rpmです。でも大丈夫です。レッドゾーンは16000rpmですので。現代ではあり得ない、超高回転型バイクです。

ここで非常に重要な注意ですが、車両重量にはドライバー又はライダーの体重が含まれていません。例えば60kgの人が運転する場合、1500kgの車を運転するのと、200kgのバイクを運転するのとでは、どちらが体重による影響が大きいでしょうか。当然、200kgのバイクの方が運転手の体重の影響を受けやすいですね。乗った後の総重量において、バイクの方が運転手の体重の割合が大きいためです。

このように、諸元表から多くの情報が読み取れるものです。最終的な購入の判断は実車を見て、試乗するのが良いと思いますが、参考として、また空想として、こういう計算を行うのも楽しいものです。そして計算し、数字として残していく事で空想が広がるので、「色んな計算をしてみる、考えてみる」事と「表計算ソフトの基本を学ぶ」事をお勧めします。
ブログ一覧 | クルマで学ぶ機械工学 | クルマ
Posted at 2018/04/28 23:19:38

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