上官殿!
7月に入りましたが、梅雨明けの見通しはまだまだでございます!!
各偵察部隊の活動も停滞する中、ワタクシ二等兵、雨が降っているからこその偵察訓練を行って参りました!!
(上官殿)どんな訓練だ?
(二等兵)今回は、国道における走行訓練を行って参りました!
(上官殿)国道って・・・
(二等兵)・・・・・・・・・・
(上官殿)( ゚д゚)ハッ!「
酷道」の方か!!
(二等兵)さすが上官殿!
(上官殿)(๑• ̀д•́ )✧ドヤッ
では報告の前に「
酷道」について整理しましょう。
まず一般的に「国道」というと・・・・・・
・ 主要都市間を結ぶ幹線道路
・ 交通量が多い
・ トラックも多い
・ 市街地の沿道では、店や商業施設が立ち並ぶ
・ 例え山間部であっても道幅や路面状態は良好で、通行には何の問題もない
つまり、適切に整備されていて利便性の高い都市間道路というイメージだと思われます。
そもそも国道は、道路法に基づき国が政令で指定するもの。
まさに、国が管理している道路です。
しかし中には「ここホントに国道!?」と疑いたくなるような道も存在しており、それらをマニアは「
酷道」と呼んでいます。
今回訪れたのは、マニアの間では(悪)名高い「
国道157号」。
石川県金沢市と岐阜県岐阜市を結ぶ、総延長約200kmに及ぶ国道です。
100番台という国道番号が示すとおり、北陸と東海を最短距離で結ぶ非常に重要な位置づけにあるのですが、その重要な役割をまっとうできない「酷道」として知られています。
国道157号が「酷道」と評される一つに、「
温見峠(ぬくみとうげ)」の存在が。
酷道をかじった者であれば、その名を知らぬ者はいないと言われるほどの超有名な峠です。
この温見峠は福井・岐阜県境という豪雪地帯に位置するため、例年11月下旬から5月末の間冬季通行止め、つまり年間の半分近く冬季閉鎖となる、とんでもない国道なのです。
また岐阜県本巣市能郷~黒津間の約6kmの区間は土砂崩れにより、100番台国道にもかかわらず、2005年から2012年まで何と7年もの間、災害通行止めとなっていました。
昨年2020年も土砂崩れにより、この区間は通行止めとなっています。
今回はその酷道区間を走行する事で、高度な車両運転技能を得るべく訓練を行って参ります!!
走行訓練開始地点は、国道157号の終点となる「
茜部本郷交差点」。
岐阜県庁から程近い所にあるこの交差点で国道21号と接続することで、国道157号はその役割を終えています。
ここからしばらくの間は、岐阜市街地を走ります。
先に見える、千手堂交差点を右折して本巣・忠節橋方面へ。
長良川に架かる「
忠節橋」を越えるとすぐに左折。少しの間堤防上を走行。
市街地であった国道157号の終点から40分程度で、市街地・住宅地を抜け、ご覧のような風景になります。
道の駅「
織部の里もとす」を通過。
前の道路には、早くも大型車通行不能の警告看板が。
根尾川沿いを通るようになると、ここでも改めて大型車通行不能を警告。
途中、岐阜県道270号との交差点を通過。
左折方面はかつて国道157号だった区間ですが、直進方面の門脇バイパスが開通した事により、現在は県道と市道に降格しています。
根尾長島集落を通り抜けると、大型車通行不能の最終通告が。
最終回転場との事ですが広いスペースがある訳ではなく、大型車であればかなり無理のある転回を強いられる事になります。
最終回転場から程なくして、根尾能郷集落を通過。
以前(2016年)に訪れた時、ここには道路情報板が立っていたのだが、何故か撤去されてしまっています。
先に見える右カーブを抜けると、いよいよ国道157号の酷道区間の入口が待っています。
「
能郷ゲート」と呼ばれる閉鎖用の頑強なゲートがあり、その先からは分かりやすく、急激に道幅が狭くなっています。
上の画像の右側に見える砂利スペースに、この酷道区間を全国区(マニアの間のみ)とした「落ちたら死ぬ!!」看板がありました。
が、現在は撤去されており、その姿を見る事は出来ません。
↓2016年 訓練当時
ちなみに全国のマニアが羨望の眼差し(?)で見つめる「落ちたら死ぬ」区間が実際にどういう道かというと、
・ 見通しの効かないカーブの連続
・ 狭路のため離合(すれ違い)困難
・ 片側が断崖絶壁
・ なのにノーガードレール
という「酷道」に必要な要素をこれでもか!と盛り込んだような道。
しかもそれがれっきとした国道。
地元民ですらほとんど通らないこの区間、走っている時は常に緊張感を持った運転が必要で、対向車が来ないように祈りながら走るしかありません!
と、と、突入ー!!!
能郷ゲートから先は、ガードレールのない1.0車線幅の狭路が続きます。
乙三三式車両改の車幅だと、本当にギリギリ。
比較的最近補修されたと思われる場所でも、ガードレールは付けない。
ガードレールがない場所だから大丈夫という訳ではなく、むしろ「落ちたら死ぬ」可能性が高い。
真新しい補修箇所に遭遇。やはりガードレールは付けない。
見上げると、かなり大規模な崩落である事が分かります。
恐らくここが、昨年通行止めの原因となった場所だろう。
この後も離合(すれ違い)できる場所は少なく、また見通しも悪いので、常に対向車を気にしながら走っています。
狭い断崖絶壁ノーガードレール区間で対向車に出くわし、うっかり脱輪でもしようものなら、崖下への転落が待っている。
ただし路面状態は良く、先ほどの補修の状況などから分かるように、しっかり管理されているのが分かります。
能郷ゲートから20分ほどで、高さ30m以上はありそうな大崩落の補修跡を発見。
7年もの長期通行止の原因となった崩落箇所だろうか。
大崩落補修跡を過ぎた所に発電所関連の施設があり、その先に根尾黒津の集落が見えて来ます。
この能郷~根尾黒津の間が、2005年から2012年の7年にも渡る長期通行止だった区間です。
2016年当時はここに鉄製のゲートが設置されていましたが、現在は撤去されていますね。
なお根尾黒津の集落は、その辺鄙さ故に定住者はいません。
ただし年間を通じて住んでいる人がいないというだけで、積雪のない夏期を中心に集落に戻られる方がいるようです。
根尾黒津集落以北も“落ちたら死ぬ”区間に勝るとも劣らない酷道っぷり。
ガードレールは少なく、場所によってはデリニエーターすらない断崖絶壁を走らされます。
途中、根尾大河原集落を通過。
根尾黒津集落と同様に年間を通じた定住者はおらず、積雪のない時期に居住されている家屋があるのみです。
実際、ここまでの道のりで写真撮影の途中、セダンと軽トラが横を通過していきましたが、その2台ともこの集落の家屋の前に止まっていました。
そして根尾大河原集落を過ぎると、国道157号線の名物の一つである「
洗い越し」をいくつか見ることができます。
洗い越しは路上河川とも呼ばれ、橋を架けずに川が道路をそのまんま横断して流れているという場所。
前回来たときはむちゃくちゃテンアゲでしたが、果たして今回は・・・
ふぬぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉー!!!
何かよくわからんが、やたらテンアゲしてきたぞー!!!(成長なし)
水量もそこそこあり、今回も絶好調!!!
酷道区間の洗い越しはここだけでなく、今回は他に3カ所。
画像では分かりにくいかもですが、路上を流れる水量はいずれもソコソコあるので、偵察記録のため洗い越しを行き来したワタクシ二等兵の足元は、完全に水没しずぶ濡れ。
洗い越しゾーンを過ぎると、いよいよ峠へ向けて急速に標高を上げていきます。
峠に近いほうが、ガードレールの設置率が高いのは何故だろう。
そして能郷ゲートから約20kmで、県境の「
温見峠」に到着。
温見峠から福井県側を見る。
峠の北側となる福井県大野市側には、県章・市章の入った県境標識に加えて、大型車通行不能の警告と通行規制の標識が立てられています。
一方、福井県側から温見峠を見る。
岐阜県本巣市側の標識は大型車通行不能の警告のみで、県境標識は設置されていない寂しい状況。
なお峠付近には能郷白山への登山道入口があり、今回も5台ほど登山客と思われる駐車車両がありました。
これから訪れる登山のハイシーズンには、この峠が駐車車両で埋まってしまうらしい。
温見峠の北となる福井県側も酷道区間ではあるが、今回はまだ岐阜県での偵察訓練を継続するため、ここで引き返します。
今回訓練を行った、国道157号。
その過酷さは折り紙つきですので、運転に一定の自信のある方にしかおすすめできない道路です。
事故多発につき、生半可な気持ちでは危険が伴いますので十分にご注意を。
後編では、この国道157号より更に過酷で難所を極める、某国道を報告致します!!
(後編につづく)