上官殿!
本日はワタクシ二等兵の地元である群馬県と新潟県を結んでいた、かつての国道17号 三国隧道(=トンネル)を偵察して参ります!!
(上官殿)三国トンネル!そういえばまだ私と二等兵が若い頃、新潟に行く際に何度も通っているな。
はい!
(上官殿)でも今は新トンネルが出来て、私達が通っていた旧トンネルは通れないだろう?
その通りです!
ですが・・・知られざる ”抜け道” から、旧トンネルの目前まで行けるのであります!!
《関越自動車道》
晴天に恵まれた休日。
ワタクシ二等兵と乙三三式車両改は、関越道を北上。
月夜野ICで下道に降り40分ほど走ると、朝露の残る上越国境に到着です。
山の斜面には大きな穴が2つ。
左が現道の「
新三国トンネル」、2022年(令和4年)3月開通。
そして国道としての役割を終えた「
三国トンネル」は、トンネル手前に架かる「
上越橋」から立入禁止。
現役時代に幾度も通り抜けたトンネルですが、こうして見ると全く印象が変わります。
通常の偵察部隊であれば、ここで偵察終了。
もしくは新トンネル手前に架かる新橋の上から、少しでも旧トンネルに接近するに留まるだろう。
しかし!
ワタクシ二等兵は知っている・・・
「三国トンネル」の直ぐ手前まで行けるルートを!!
しかも柵を乗り越える事も無く、立入禁止区域に入る事も無く、完全合法で最接近できるルートを!!!
《新上越橋》
まずは普通に新橋を渡る。
隣にはつい3年前まで国道橋としてバリバリ活躍していた「
上越橋」がよく見えます。
《新三国トンネル》
長さは1,234mと、旧トンネル(1,218m)より少し長め。
幅員が広く、大型車も安心して通れます。
ここで皆様ご注目!
上の画像で、何か気付くことはありますか?
答えは、、、
近寄ってみると、こんな感じ。
一体何の穴なのか?
これは、、、
三国山への登山道入り口
入口付近に案内は一切ないのですが、登山趣味・・・じゃない、山岳訓練を行っているワタクシ二等兵は知っていた感じです。
トンネル脇に開いた穴を通ると、先には丸太の簡易的な橋。
そしてその先に姿を見せたのが、、、
《三国トンネル》
長きに亘り、太平洋側と日本海側を繋ぐ交通の要でした。
他に上越国境の道として、関越自動車道「
関越トンネル」がありますが、こちらは危険物積載車が通行禁止となっています。
当然ながら照明は消され、トンネル内は闇に覆われている。
入口より直ぐに幅員が狭くなっていますが、手前のシェッドは後付け。
トンネル本体はかなり狭く(1.8車線)、大型車は運転に細心の注意が迫られた。
元々戦後に近い古い車体規格で掘られた為、現代からするとかなり手狭なトンネルとなっていました。
「
三国トンネル」の開通は、1959年(昭和34年)6月。
このトンネル開通には、まだ新人議員だった田中角栄氏が強く関わっており、演説で「三国峠を爆破し雪雲を吹き抜かせ、佐渡島まで埋め立てる」と唱えた。
彼は多くの土木官僚に働きかけ、法整備を研究し、三国トンネル建設へと動き出します。
実は今、我々が払っているガソリン税こそ、角栄氏が道路建設の為に成立させた法案である。
潤沢な財源を得て、道路建設は一気に加速。
当時は一部の都市以外ほとんど未整備だった道路が、次々に建設・改修されていきます。
時は流れ、関東と北陸を結ぶ大動脈として機能してきた国道17号と三国トンネルですが、半世紀が過ぎ老朽化。
特に大型車の往来が多い三国トンネルと、その手前に架かる上越橋は、限界に近づいていたようです。
この辺りは気象条件が過酷で有名。
加えて迂回路も無い上越国境に架かるこの橋の責務は、大変重いものだったろう。
更に地中からは、酸性の地下水が染み出し、内部壁や鉄骨が劣化。
最終的に「幅員の狭さ」と「腐食の進行」が、新トンネル建設へと向かう事になった。
旧トンネルから上越橋の東京方面を臨む。
現役時代は一瞬で駆け抜けて、立ち止まることも出来なかった場所の、ど真ん中に立っている。
何かすごく新鮮な気持ち。
ふと上を見上げると、何かが足りないのに気づく。
隧道名を掲げた額が無くなっている。
現役時代は、青バックに白抜きの額が掲げられていました。
せっかくなので、新トンネルを通って新潟側へ。
国境の長いトンネルを抜けても、太平洋側と同じく蒸し暑い我ら大日本帝国であった・・・
旧道上に出来たスペースに乙三三式車両改を停めると、新旧三国トンネルが仲良く並んでいる光景があった。
時は遡って2019年12月、新トンネルがまだ工事中の頃。
煌々と明かり照らされる旧トンネルの姿が、なつかしく感じる。
現在に戻り、封鎖され暗闇を落とす旧トンネル。
あの時とは逆になっています。
トンネル上部には、巨大なパイプが通っている。
実はこのパイプの中には、国土交通省の通信用光ケーブルが通されており、これが移設されていないので、旧トンネルも暫くは使用し続けるのだろう。
新幹線と高速道路の開通により、”準主役” となった三国峠越えだが、重要なルートなのは今も変わらず。
先代トンネルに見守られ、新トンネルも多くの人々を迎え、通していくだろう。
(群馬県側より撮影)
(おわり)
Posted at 2025/09/06 20:54:48 | |
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